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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十一章〜気分転換で〜
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23.狂ってますよ。今更何ですか?

「はぁ……そういや他の連中は?俺に飽きた?だといいんだけど。」


 拗ねたマキアを放置していると視界に入って来るのでウザったいと思った今村は嫌だがこうすれば多少機嫌を良くするのは知っている今村は自分の枕を投げ与えて機嫌を取り、尋ねた。

 すると真っ先に答えたのはクロノだ。


「……それはないと思うよ?えっとね、みゅうちゃんは何かお兄ちゃんが疲れないようにって攻めて来てた世界を滅ぼすって言ってどっか行った。」

「ふむ。アレはもう滅ぼしたが……」


 その一言に全員が自分たちの頑張りと今村の能力との違いをしみじみと思わされたがそれはさておきと祓がクロノの説明の引継ぎを行った。


「サラさんとヴァルゴさんは私たちを無理矢理連れ出した神の力を奪った分が少し消化不良のような形になっているので細かい転移指定が出来ていなかったようでおそらく『幻夜の館』に直行しているはずです。他の方々は通常業務に戻りました。」

「ふーん。ん?消化不良?え、何それ。神の力を奪った?」


 飽きたわけではないと聞いた時点で興味をなくして聞き流していた今村だがその一言で止まった。


「……あ、はい。多分その所為でご褒美がなくなりそうだったので。八つ当たりです。それに、集団誘拐の現行犯ですし。」

「……まぁ、ご愁傷様ってところだな。」


 今村は後でお見舞いに行ってやろうと決めて取り敢えずこの場は終わりということにして自室に籠ろう―――そう思って歩を進めた所で急に滑ってバランスを崩した。


「うぇ?」

「ふぁっ……だ、大丈夫ですか……?」

「………………大丈夫だが……何だこのラブコメみたいな体勢は。悪いな祓。本当に悪い。」

「い、いえ。私としては嬉しいので謝らないでください。むしろありがとうございます。」


 バランスを崩したところで祓が転倒前に床と今村の間に体を滑り込ませたので今村は祓の豊かな胸の間に側頭部を埋め、片方の手を太腿に這わせる状態になっていた。


(……体幹弱すぎだろ……いや、これは俺の体的におかしくないか?足払い掛けられて祓にやられたって方が納得いくんだが……まぁこの家の中でそういうことは出来ないようにしてあるからこれは完全に俺の過失ってことなんだが……)


 今村はすぐに立ち上がって祓に念の為にもう一度祓に謝罪して訝しみながら一度落ち着くためにも椅子に座ることにした。


「あっ!祓先輩ばっかりズルい!私の胸にも顔突っ込んでくださいよ!」

「っつぁ?」

「キタぁっ!目標値はここですね!」


 椅子に近付こうとしたところで今村はまた転倒しかける。それを見たマキアが転倒箇所に先んじて横になったのを何とか目視した今村は意地でも倒れるのを拒絶するために全力を尽くした。


「っどっだらぁっ!」

「み゛ゃっ!」

「……あ、ごめん。大丈夫?」

「ぃゃ……あんまり……」


 倒れるのを防ぐために滑っている出足にすぐさま送り足を付けて一瞬だけ宙に浮いた状態から体勢を入れ替えてその後のバランスを整えるために少しは寝た所でマキアがウェルカムとばかりに開いていた脚。その間を思いっきり全体重で踏みつけてしまった。


「……いや、ごめん。真面目にごめん。一回術式中断して治すわ。」

「い、いえ……だ、大丈夫です……ちょっと摩って下さい。」


 それは何か違うだろ。今村はそう思ったが加害者なので取り敢えず黙ってマキアが言う通りにした。


「んっ……ふ、ふぁっ……」

「……まぁ、大丈夫そうだな。」

「ズルい!お兄ちゃんクロノも踏んでいいからなでなでして!」


 明らかに違う目的になっているマキアから手を放すと今村の背後からクロノが飛び乗って来た。


「……普通に取り返しのつかないことになりそうだから嫌だが?つーかそういうことしていいとか言ったらいかんよ。大事な所なんだし。」

「でも死なないもん!それにお兄ちゃんが何もしないならクロノここ一生使わないし!触ってよぉ~なでなでして~」

「いつかお前にも本当に好きな人が出来るから、それまで大事にしとけっての。後、将来のことも考えて今からそう言うこと言うのは止めとけ。引かれるだけだから。」


 今村の真顔での返事にクロノが不機嫌になる。


「何でそんなこと言うの?クロノがお兄ちゃんのこと本当に好きなの知ってるくせに。何でそんなこと言えるの?」

「普通、移ろい行くもんだ。狂ってない限りは変われる。今は視野が狭まっていて冷静になれてないだけ。しばらくすれば皆沈静化するって。」


(所詮、俺は代替品だし。……まぁ冷めたらネタにしてやるが。生きている中で最大の汚点ですねって爆笑してやる。……ん?)


 今村がそう思っているとクロノが結構な力で抱き締めて来た。ふとそちらを見るとクロノは機嫌を直していた。


「じゃあクロノは大丈夫ってことだね?もう狂ってるし。お兄ちゃんがそう思ってるなら別にいいよ。変わらないから酷いことでも冗談で言えるってことだね?それだけクロノが信じられてるってことだよね!」

「私も大丈夫ですね。狂っているのは自覚してますし。」

「……っていうより先生を好きな人って皆何かしら狂ってますよ?先生、今更何を言ってるんですか?」


 彼女たちの返答は今村の想定していた斜め上の答えだった。


「あー……何だお前ら?」

「クロノはクロノだよ?」

「私は先生の側女です。」

「先生の性奴隷希望者です!」


 今村は全員無視して無言で取り敢えず体幹が弱っている気がしたということで少しランニングに出かけることにした。











「さて、何でついて来た?」

「警備です。」

「お兄ちゃんと離れたくないから。」

「何か良い事ないかなぁって思いまして。」


 現在人間である今村のランニングなど彼女たちにとっては歩くスピードにも劣るのだがそれにもかかわらずついて来られて今村は気が散りながら走っていた。


「……先生。それより体幹が弱ってるなら体幹トレーニングした方が……」

「エアロビクスの後やるよ。一応、今の俺は人間状態だがそれでも俺は虐待紛いのことされて廃スペックだしそれ位しないと効かない。」


 祓の心配の声に対して今村はそう返す。その直後、どこからともなく現れたトラックが今村を轢きにかかった。


「危ないっ!」


 祓に抱き寄せられて超至近距離に顔を持ってこられた今村はその祓の匂いと柔らかさに自分に対する悪意は反射する術式があるのでトラックの危険性はゼロであるがこっちの方が大分危ないと思って、その直後の爆発音に後ろを振り向く。


「……トラックは?」

「壊したよ?だってお兄ちゃんに怪我させようとしたんだから。」

「当たり前ですよね。」

「はい。当然です。」


 今村は成程、確かに狂ってる。そう思って後で何とかすることにしてクロノにトラックの周囲ごと時間を戻させた後、思案する。


(……これ、無意識型の何かしらの付属能力と考えた方がいいな。多分、祓が恋愛の何かしらの能力、んでもって……何ですぐに思い当たらなかったのか……まぁ今俺が人間だからだが……マキアは性交の神だ。そりゃ一時的でも無意識でも気が向いている奴がいたらそう言うイベントを巻き起こすな……)


 今村はこの件に関しては自身に問題がないと判断するとこの後3日ほど自室に引き籠り、完全ニート状態で術式の成立を待った。




 ここまでの読了ありがとうございました。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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