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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十一章〜気分転換で〜
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19.戦車でバトる

「……た、たたぁ……だから嫌なんだよ……エステ感覚で神の力持って行きやがって……」


 ずたずたにされたエルフォードとして今村が生きていた世界の神は途中で写し身と代わっていた体を元の空間に顕現させる。


「はぁ……にしても、あれだけ大勢に熱烈に想われてたら言い方は悪いけどソフィちゃん程度の想いじゃああなっても仕方ないか……」


 神はこの空間の支配権を奪われた際にモニターを眺めている女性たちを見てそう思っていた。


 彼女たちはもっぱら今村のことを見ていたが途中でソフィのことにも気にかけてクロノが若干不機嫌になって下界に行こうとしたりなど問題があったりもしたが、神がやられている間に入れ替わりでモニターを見ていた。


 そして、最後の方でどう見るかなとその時点ですでに写し身と入れ替わっていた彼が彼女たちの様子を窺っていると全員ソフィに非があると断言したのだ。


 曰く。


「明確に5人の定義をしていない中で選択肢を出されたのに今村のことを無意識内で除外している。話の流れを叩き切ってでも想えない人物じゃダメ。」


 だとのこと。確かにそのくらい想っていなければほぼ世界の敵と言ってもいい彼の隣に居続けるには不足かもしれないがそこまで押しを強く持てるにはある種の才能がいるだろう。


「……まぁ、確かに受け身じゃ永遠に彼と結ばれることはないだろうけど。」

「ぉ……さまぁ……」


 苦笑して呟いた彼の耳に女性の声が聞えた。彼はほぼ反射的に写し身を展開して身を隠す。するとその場に世にも美しい美少女が顕現した。彼は信じられないという感情をありありと乗せて溜息をついて目を抑えた。


「……あなたが、この世界の神ですか?」

「…………そうだけど。ねぇ、君さ……」


 彼女は神の話はどうでもいいとばかりに自分の用件だけを突き抜いた。


「ヒトシ・エルフォードもしくはヒトシ・フォード・ガダルナンド……いやわかっているのですよね?お兄様を、返して?」


 彼女は蠱惑的な表情でそう告げた。神は引き攣った顔で答える。


「む、無理だ。あの方はもういない。」

「あの方。ほう。……やはり、そういう方ですか。居ないということはどこかに行かれたんですよね?どこですか?」

「いや、それ教えたら俺マジで不味いことになるから……」

「じゃあ死んでください。」


 彼女はほぼ無表情で挙動を一切見せずに写し身の神を殺して情報を奪い取った。そして呟く。


「成程。今村、仁というのですか……そして、確かにそうですね。あの方々の言う通りです。5人と言われた時に私がっ……まだまだ、私があの中に入るには未熟ですね……うん。【クロマ・アロガン】という世界で今は2軍の構成中ですか。まずはそこで鍛え直しを……」


 そして彼女は詠唱の1つもせずにこの世界から消えた。それを確認して神は再び姿を現す。


「……だから、エステ感覚かよ……ってか、マジすんませんって気分。あ~またモンスターが生まれたよ。可哀想な今村さん。いや~……わくわくするね。」


 ニヤリと悪戯が成功した時の子どものような顔をして神はそう言い、ある神が作り上げた大方の文明が崩壊した後に、その生き残りや他の世界の人々が秘境の地で第1世界に迫る空間を創り上げたと言われる【クロマ・アロガン】の異様に女性の多いと言われている特定地域に後で匿名物資供給をすることにした。














「……そういやお前いたな。」

「…………何か、言い返す気力もないわ……」


 今村が久し振りに「幻夜の館」に返ってくると白崎が書類の山の中で死にそうになっていた。


「ふむ。少ない方だな。ちゃっとやっちまうか。」


 今村はそう言って両手にペンを持ち、そしてローブと髪を動かして計20本。更に空中に50本浮かせた後白崎が書いたものを含めて書類を片付け始めた。


「……私、やる必要あったのかしら……?」

「あったに決まってんだろ。今は練習とでも思ってやれ。……つーか王女様だろうが、これ位出来ないとな。あ、アフトクラトリアの五月蠅い要求に妥協案とか要らない。突っぱねろ。つーか一部の地域が非常にウザいな。沈める……」


 目の前で片付けられていく書類を呆然と見ながら白崎は自分がやってきたことに疑問を覚えるがそれは兎も角として今村に言っておくことがあったのを思い出す。


「……何だか第2世界の上位層から侵略を受けているようよ。私は基本事務仕事をしていたから詳しくは分からないけど……」

「ほう。みゅうが残ってたのに瞬殺できないってことは群体型か?まぁ、今来たみたいだし皆殺しにしてやるよ!」


 今村は何らかの世界がこの世界にぶつかって空間に穴を開けようとしている場所にもう一つの世界を創り上げて愉しげにその場所へと飛んで行った。


「……あ、その前にご褒美だ。」

「痛っ……飴玉?舐めてるのかしら?」

「舐める物だから存分に舐めてやれ。」

「……別に上手いこと言ってない……うま……美味しっ!え?何コレ。」


 白崎が飴を投げられて受け取って変なことを言っている間に今村は今度は本当に戦場へと移動していた。












『ハロー侵略者諸君!俺はしがない化物だ。死にたい奴だけ掛かって来い。嫌な奴は逃げるといい。それじゃ始めるぞ~』


 今村は戦車群を布陣させてその中でもひときわ大きなお手製の巨大戦車の上に立ち、敵軍にそう告げた。その声が聞こえたと同時に敵軍にパニックが起こる。


「ま、【魔神大帝】だ!【魔神大帝】が出たぞぉぉぉおおおぉぉっ!」

『……単なる化物だってば。まぁいいや。それより今から俺は酒飲むから。今の内に逃げないと知らないよ?』


 そう言いながら今村は戦車に乗り込む。するとなぜかその中に先客がいた。


「ハローであります!提督閣下!」

「……何でお前が……いや、もう訊くだけ無駄か。」

「戦車ある所に私在り!シャルジュことシャルル参上であります!ささっ提督閣下はテキーラをどうぞ!」

「……ここ一人乗りだが……」


 異能力者用の特殊なテキーラの瓶を受け取りながら今村はそう言いながら今村専用の狭い車内で足下の少し開いた場所に腰を浮かせた彼女にそう言うと彼女はきりっとして言い返してきた。


「大丈夫であります!もし劣情を催された場合は私で発散すれば問題ないであります!先に発散させるのでありましたらいざという際に動けないと些か問題がございますので口をご使用くだっ!」

「黙れ。挽き肉にするぞ。全く……今から戦争なんだから。」


 今村はシャルルをテキーラの瓶で殴ってその流れでテキーラを煽り笑った。


「楽しくやって行こうぜぇっ!ひゃぁっはぁ!」

「ウラー!提督閣下!いざ参るであります!」

「右翼砲撃開始!弱卒どもに地獄を見せてやれ!ファイヤぁっ!」

「ファ~イヤッ!」

「左翼進軍!適宜攻撃!」

「ミンチにするであります!」


 目の前の敵は一人攻撃されるだけでそれが波及的にダメージを広げていく。それを見てシャルルが今村に尋ねた。


「提督閣下!敵の様子が変であります!無駄に苦しんでいるであります!」

「破壊躙を付与してある。簡単に言えば同一の存在にはダメージが波及するようにしているんだよ。全くこの程度のことも分からんか?」

「失礼しました!黙って働くであります!」

「鈍ってるな~お前。罰ゲームだ。テキーラ一気!」

「はっ!ふみゃっ!」


 一口でギブアップしたくなるシャルルだが頑張って飲んだ。


「よしご褒美だ。」

「も、もうのみぇにゃいでありましゅ!あふぅ……」

「全く、今から傑作集の砲撃を見せてやる!『ヴォルケーノカノン』!」


 今村たちの乗っている巨大な戦車から世界を破滅させるために創った砲撃が放たれる。そして眼前の物は消滅し、空間には強制的にあけられた穴と歪みそれと戻ろうとするエネルギーのぶつかり合いで放電の様な現象が巻き起こされていた。


「素晴らしいであいましゅ!酔いも覚める一撃でありましゅ!素敵抱いて!」

「お前最後の台詞何処で覚えて来た……まぁいいや。序でに相手の世界に乗り込もう!ヒャッハー!」

「ひゃっはーであります!」


 そう言って今村たちは敵の世界に乗り込んで行った。




 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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