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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十一章〜気分転換で〜
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13.久し振りの再会の会話

 今村はあの後校内に留まって色々と面白そうなものを見つけたがまだ残っていると知った教授たちが大量に押しかけてくる気配を感じたのでさっさと退散して彼カオスダンジョンのダンジョンマスター室に戻った。


「ご苦労。」

「ぎぎっ!」


 サポートキャラ代わりの蛮食植物くんにお茶を淹れてもらうとダンジョンの経営の方を任せておいた方のキャラに顔を向ける。


「かかった?」

「いえ。一応雑魚がかかりましたが……一回の突進してくる魔物に何度もあっさりと負け、侵入を諦めた模様です。」

「……そうか……あと、何で人型に近付いてんの?いや、まぁここは俺が過ごすために作ったから人型の方が利便性が高いのは分からんでもないが……」


 空気洗浄の代わりに造っておいた蛮食植物くんのつがい(予定)のキャラ、雲の女王が勝手に人型を取るようになっているのに今村は若干微妙な顔を示すがそれはそれとして天井を仰ぐ。


「あ~入って来いよ。諦めるなよ。もっと熱くなれよ!」

「ダンジョン内の気温を上げますか?」

「いや、俺は寒い方が好き。……そうだなぁ……何か適当に誰か拉致ってこのダンジョンに取り組んでもらうってのもアリかもな。」

「ギギッ!ぎぎぃ!」

「ん?マジ?もうそんな時間かぁ……じゃ、おもてなしの準備してやって。」


 蛮食植物くんが時計を示すと今村は昼間約束したことを果たしに来るであろう人物の為に蛮食植物くんに指示を出した。


「……え~っと?ここの文化は早目に来るだった?時間通りだったか?それとも遅めに来る?」

「ニンゲン文化でしたらおそらくマスターのことを重んじていれば早めに来て待機します。対等だと思っていれば時間通りに、軽んじていれば遅めに来ます。魔族文化であれば時間通り、遅め、早めの順です。カーセル文化であればニンゲンと逆です。」

「ふむ。まぁどっちにしろ夜の結構遅めって言っておいたし来るには結構時間はあるし大丈夫だろ。」


 現在、夕暮れ時。まだ太陽の日がここにも残っているくらいの明るさであるし学校自体がまだ終わっていないだろうから蛮食植物君にもそんなに慌てないでいいよと言おうとして紋章陣が輝きだした。


「…………ここと人間領って時差……」

「ないです。」

「今、赤の時刻で合ってるよな?学校が終わる時間だよな?」

「はい。」


 つい先ほど各地で周囲の知的生命体が分かるように赤い魔法の光が上空にあげられていたのを思い出して自分が間違っているわけではないと確認する。


「赤の時刻って……カテゴリ的に夜じゃないよな……」

「……まぁ、非常に大まかに言えばあながち間違いでもないですが……」


 ちょっと話し合っているとこちらからも多少は魔力を入れなければかなり魔力的にきつい紋章陣は向こうの魔力だけで起動してソフィが出てきた。


「おにぃっ!……あ、えっと……」


 出てきて開口一番に今村のことを呼んで飛びつき、そして雲の女王のことに気付いて表情だけ気まずいと言ったものに変えるが体はくっ付いたまま離れなかった。


「……えっと……初めまして。お、兄様の妹のソフィと言います。」

「……初めまして。クラウディアと申します。……お離れになった方がよろしいかと。」


 二人の間に何か亀裂が入るような背景が入るかのような温度差があった。今村は取り敢えず蛮食植物くんが有能で片付けを終えていたのでまぁいいかと席に座り、ソフィも別の椅子に座るように促した。


「……あ、あれ?ど、どうしよ……体が言うこと聞いてくれない……」

「嘘つけ……マジかよ。『マリオネットデイズ』」


 本気で思考と体が別々に動いていたソフィに引きながら今村は魔力で強制的にソフィを引き剥がして対面に座らせる。


「んで、……何?」


 早速話をしようとしたところでソフィがノートを10冊ほど出して目の前に置いたので今村は質問する。表紙に書いてある物で予想はつくのだが自分の予想が外れてくれるのを期待しながら訊くとソフィは小首を傾げながら一冊今村の手元に渡してくれた。


「……うわぁ……」

「どうしたの?」


 表題、大好きおにぃとどうお話しするか。No,4この時点で今村は総毛だって投げ捨てたくなったがまだ家族愛だと……それでも嫌だなと思いつつ割り切って表紙を捲ろうとしてソフィが何かを思い出したらしくひったくった。


「だ、それは、ダメなやつだった!見るならこっち……もダメ……あ!1番ならいいけど……これは今から話すから……」

「お、おう……」


 ちらっと見えた所に幼い字で二人の子どもの名前一覧があって引いた。だがまぁそれは隠す位だから改善したはずとおいておくことにして今村の方の質問は後でにすることにしてソフィが口を開くのを待つ。


「と、えっと、まずおにぃ…様にお尋ねしたいのが……エルフォードという名前なんですが……」

「偽名。」


 ソフィの言い辛そうにしていた言葉をきっぱりと返す。ソフィはどことなく安堵した様子で続けた。


「そちらのクラウディアさんとはどんな……」

「あれは雲の化身を創った。因みにまぁ言うまでもないだろうが属性は水でアレの彼氏であり彼女の属性は木の蛮食植物くんだ。」


 ちょっと最後の方はソフィに理解は出来なかったが一先ず納得することにしてソフィは話を続ける。


「え、と、その、答えたくないならいいんですけど……お家から出て行ったのは何でで、その後何してたのか……」

「家から出て行ったのはそこに俺は必要ないから。で、何してたかは……まぁ何て言ったらいいかな……簡単に言えばここ造ってた。」

「ひ、必要ないわけ、ないじゃな……ないですか……そ…ソフィ、あのあともうどうして……あ……どうし……て……なんで、そう、思ったんで…すか?」


 ソフィは目に涙を浮かべながら反論するが途中でノートを視界に入れて質問を先にしなければならないと震える声で続けた。


「どっち?……まぁどっちも答えればいいか。家出の件はまぁ周囲の空気を読めばわかる。つーか、俺は元々死んでた奴に宿っただけだしねぇ……まぁ色々説明すると……」


 今村は軽く経緯と今村がいなかった状態でどのようになっていたのかという話を終える。


「そ……そん、な……の、かんけー、ない……じゃ……ぁ…ないですかぁ……どうし、てぇ……ぇぇ……ソフィは……そんなのよりぃ……」

「『ラグラク』」


 泣いていて何を言っているのか分かり辛かったので今村は要点をまとめて理解させる術をこの世界式にして使ってみた。

 要するにそんなのは現在の世界に関係なくて何で今の兄である今村が消えることに繋がったのか、ソフィはそんな事よりずっと一緒にいてほしかったと言っているらしい。


「それは無理だな。どっちにしろ後……あ、何か言ったらマズイ気がする。」

「あ、あとぉ……なんですかぁ……もっと、わるい、こと……?」

「ないない。俺は基本ハッピーエンドが大好きだからね~」


 ソフィが泣きながら更に嫌なことがあるのかと怯え交じりに訊くのに対して今村は笑いながら答えた。


 ソフィはそれを聞いて半分は落ち着いた。しかし、どこか半分は落ち着かない彼女は今村が暗に近いうちに終わりがあることを示しているとこの時、気付くことはなかった。




 ここまでありがとうございます。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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