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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十一章〜気分転換で〜
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9.カオスダンジョンを造ろう

「今回のコンセプトは何にしようかな。仕掛けは300個ばっかり考えてるがコンセプトに応じて柔軟にしないと。……この前に作った誰もクリア出来ない通信用の予定だったVRMMOって名前の世界のダンジョンは好評だったなぁ……」


 魔人領に降り立った今村は準備中と入口の立て札に書いて今の所1階しかない山の洞穴で考えていた。


 因みに準備中に入るとこの辺りで一番強い人物の場所に飛ばされる仕組みにしてあるので今の所魔王城の将軍室に飛ばされるようだ。


「ん~でもアレは下地に各種ゲームの知識がないと一生クリアできない気がしないでもないが……まぁ、いっか。」


 今村が作ったクリアさせる気のないふざけ切った世界をVRMMOと称し、最近アップロードと言って半日だけその場所から全員退去させて造ったダンジョン。


 内訳は。


 1階のモンスターは触れると即死。しかし、足の裏だけそのモンスターを即死させる能力があるという設定で、踏みつければ相手が勝手に死ぬ。

 また、空中に何の仕掛けもなく不自然に浮いているブロックを頭突きすれば入口からやり直しが免れる可能性があり、時々色違いのボックスがあり、そこからは強化アイテムがドロップするというモノ。


 2階では歩いていると一瞬だけ視界が真っ暗になり、気が付いたら毎回同じだが今いた場所ではない見知らぬ場所でモンスターと、あるいはモンスターの群れと対峙しており、倒し切るといつの間にか元の場所に戻っており、金や時々ドロップが落ちているというモノ。


 3階ではモンスターが一匹で行動していると思って触れる、もしくは相手の方から来て触れると見知らぬ場所に飛ばされており、後は2階と同じ流れになるというモノ。


 4階ではモンスターは通常イメージするVRMMOだが、パーティメンバーの美醜や体つきの改竄が行われる。

 簡単に言えばパーティ内で一番アレな人を美人に変えて、一番美人な人をアレに変える。しかもその中ではここに入って来るまでの人の顔を不鮮明にしか思い出せないという状態にしてカップルご休憩用のエリアを備え付けて人間関係がどうなるか試すモノ。


 5階ではこちらからの攻撃が効かない上、触ることも出来ない。しかもパーティの中で一人しか見ることが出来ないという白いワンピース姿の黒髪長髪の女性を徘徊させ、目が合うと見えるの?と訊き始めて『助けて』と連呼させる。そして次の階層に行こうとすると血涙を流して絶叫するモノ。


 6階では敵モンスターが急激に愛らしく子連れになり、怯える子どもモンスターを庇うように可愛らしいモンスターが襲ってきて撃退せざるを得ない状況にして良心の呵責をさせた後、次の階層に行く前に坊さんの説法を聞かされて命のありがたみを強く訴えかけられるモノ。


 因みにそのお坊さんはダンジョン内最強の存在で刃向うと強制的に説法が延長される。


 7階では急に世紀末になってヒャッハーしている人々の相手、モブキャラに世紀末覇者の方が出ており、死闘。


「……7階は…変えるか。何もいないはずの空間に野生の何かが飛び出るようにしよう。」


 今村はこんなことを考えながら1階を開拓し終えた。


「……BGMつけるべきか?ん~……いや、ステージが進むと前の所に戻れない仕掛けを作るので忙しいしどうせここまで来る奴らには分かる奴いないだろうからいいか。次の階に行こう。」


 8階のことを考えながら今村は上の階層を造り始めた。


「……8階はスーパー的な造りにしてモンスターはバーゲンセールの猛者たちにしようかな……サブキャラに売ってある物を付けて……」

















 ガダルナンド家は最近生まれたエリーを除いて意気消沈していた。特に、ソフィの落ち込み様は酷く、彼女はベッドから起きて来なくなっていた。


 しかし、彼女は体と頭が動きたくないと命じていてもやるべきことがある。彼女の兄が描いた陣。その行き先についてすぐに調べ上げたソフィがそれが示すこの世界の座標を両親に話すとそこが魔人領だとすぐに分かり家庭内は今村の失踪は魔族の仕業だと断定。そして泣き寝入りをするしかなかった。


 この世界で人間は弱い。魔族はおろか、他の種族にすら勝てないのだから事態に魔族が関与しているのであればたかが一貴族程度では何もできない。


 ―――少なくとも、周りはそう思っている。だが、ソフィは違った。他の民族であればともかく、魔族であれば何とかなるかもしれないと思っている。


 魔族は魔王をトップにして力を示したものに恭順するという社会なので彼女が魔王を叩きのめして彼女の兄を探せと言えば探せるかもしれないのだ。


「……そふぃーねぇ?」


 ずっと側でソフィを見ていた弟、エリックがソフィを気遣うかのような声を出して首を傾げる。そして彼はソフィに更に近付くと抱き締めて言った。


「げんきだしてー」

「……うん。元気だから、離して?」


 ソフィは何か悪寒を感じてエリックから離れて今村の寝る時の所定位置だった場所に横になる。その様子を見てエリックは溜息をつきそうになって堪えた。


(はぁ……折角の転生なのになんかなぁ……女神様みたいなティア母さんも天使みたいなソフィ姉さんも皆暗いし……まぁ、しばらくすればまた俺の面倒看に戻るだろうけど……にしても、可愛いなぁソフィ姉……さっきもいい匂いしたし。)


「……エリー?」

「!な、なぁに?」

「変な顔してたから……」


 ソフィの心配げな言葉にエリーはびくっと体を震わせるが、ソフィはそれよりもとやっと行動を起こすことにした。


「魔術と、魔法。それに剣術とサーベル。……あとハルバード……取り敢えずはこのくらいでいいかな……」

「そふぃねぇ?どーしたの?」


 いきなり物騒なことを言う姉にエリックが更に気遣わしげな言葉をかけると彼女はいなくなった二人の兄のタンスの下まで行き、それを開けた。


「うん。これで……はぁ……おにぃのにおい……」

「そのほんなーに?」


 服を引っ張り出して首元に巻くという奇怪な行動には触れず、彼女がタンスの中から引っ張り出してきた本を指摘するエリック。ソフィはすぐにタンスの引き出しを閉めてからエリックの質問に答えた。


「おにぃが描いた本!おにぃがソフィの為にくれたの。ソフィに合いそうな武器の使い方とか描いてあるの!」


 これを見てこれから頑張ろうとするソフィ。それを見てエリックはこの人は女勇者か騎士になるんだろうなぁ……じゃあ俺も鍛えないと。そんなことを思いながら魔力の使い方について考えを馳せた。



















「キャッハ~!9階は装備品強制転換!勿論次の階層に行くまで全ての元の装備は奪い取る!そして男は皆際どいラインでキレッキレのバニースーツに紫色の網タイツにウサ耳バンド!女は寿司ネタの着ぐるみ!今回は優し目に玉子率を異常にしてやろう!武器は食べれない無限回復式の豆腐!あとネギ!それか納豆!選ばせてやろう!そして術式系統は全部大根召喚に変える!そして敵は全部知性系の悪魔!しかも普通に常識がある奴らで行こう!ククク……今から出会った瞬間の微妙な視線を想像すると笑える。実際はどうなるかなぁ?」


 今村は、楽しそうだった。




 ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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