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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十一章〜気分転換で〜
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7.まだ家に残ることにしました

「さて、色々したが今度は何しよっかな?ここまで来たら幼少期のイベントを全部クリアしてから出て行くか。それとも面白さの追求を行うか。」


 今村は隠れん坊して遊ぼうと言ってきたソフィに対して鬼役を買って出た後完全に放置して自室に帰って悩んでいた。


(……そろそろ母親さんの……えーっと。サラスティアさんか。また子どもできて出産するらしいし。)


 二人にお兄ちゃんとお姉ちゃんになるのよ~?と言った母親さんの顔は少々複雑そうな顔だったがそれでも新しい旦那様のご意向通りに出産を決めている。


「……やっぱまだ子どもの体だし……眠いな。」


 跡継ぎ問題で新しい旦那さんの屋敷内が揉めるのも面倒なのでそろそろ潮時だよなぁなんて思いながら身をベッドに投げるとソフィの泣く声が聞こえてそれがだんだん近付いてきて大きくなって来た。


「ぅえっ……おにぃどこ~……!?うえぇぇぇええぇん!おにぃ~」

「ちっ……どこか訊きながら歩いてる割に真っ先にここに来てんじゃねぇか。探査系も追尾系も掛けてねぇのに何でだ……?」


 因みに隠れん坊を始めてものの数分も経っていない。今村も流石にこのレベルのお子様にそんな酷いことはする予定もなかったのであと3時間もすれば探しに行く予定だった。


「おにぃぃいいぃ~……いたぁぁああぁっ!」

「う……っと、お前マジこれ俺じゃなかったら死んでるからな?少しは分かってるかこの馬鹿?」


 泣きながら扉を開け放ち、今村を見るなり突撃してくるソフィに今村は影を床下に打ち込んで固定する『シャドウアンカー』を用いて受け止めると軽く怒ってみせた。だが、ソフィはお構いなしに抱きつく。


「……これも俺じゃなかったら体の骨が折れてる。……つーか、お前途中から違う事してるだろ。……えぇい、匂いを嗅ぐな!」

「あぁん……せっしょーなー……」

「また変な言葉覚えてからに……」

「3日前におにぃが言ってたんだよ~?」


 ソフィの天使の如き笑顔と共に告げられる記憶力の良さに今村は特に突っ込みも入れずに3日前と訊いて3日前に考えたその更に前に気になって、そろそろいい感じになって来たかも知れないと思われる人の所へと行くことに決めた。


「ソフィ。俺ちょっと出掛けて来るけどソフィ「行く~」……あっそ。」


 この屋敷から出るにはそれなりに苦労しないといけないのでソフィと争うのは面倒だと大人しく連れて行くことにして今村は屋敷の外に出かけた。












「……!ティアの子どもたちじゃないの!何してるのこんな所で!攫われちゃうわよ!?」

「……こんにちは。」

「こんにちは~ミディアさん。」


 今村が行った先は乳幼児期の際にソフィの母親さんの大間違いを指摘して一緒にあの時の家に駆け付けてくれた知り合いの人だった。因みに彼女は貴族だ。


「お利口な子たちだと思ってたのに……ティアが甘いから……」

「俊君いますか?」

「トール?そりゃいるわよ?まだ子どもだから外は危ないからね。それよりあなたたち、ウチにいらっしゃい。外は危ないのよ?ソフィちゃんみたいなかわいい子は特に危ないんだから……」


(こいつ自体の方が断然危ないけどな。)


 今村の見立てではこの国で彼女をさしで止められるのは自分かもしくはこの国を守護している何らかの存在、後考えられるのは転生者だけだ。

 集団であれば母親さんと新しい父親さんが組めばある程度戦いにはなるだろうが軍隊でも連れて来なければ捕獲は無理だろう。


 そんな益体もないことを考えながら今村の手を取った知り合いの人、ミディアさんはソフィの手も取ろうとしてソフィが今村から離れないのを見て諦めながら彼女の屋敷に移動する。

 到着するとすぐさま子どもは子ども部屋に入れて彼女は連絡を取るために手紙を書きに部屋から出て部屋の中には今村とソフィ。それにミディアの双子の子どもたちだけになった。


「……えーと、ボクはトール・ガナン・クリディアナス。よろしくね?」

「あぅ……ターニャです。よろしく……」


 空気が気不味くなったと感じたのかミディアの息子と娘たちはまず先に自己紹介を行った。それに対する今村は何だか怖い笑顔。ソフィは今村の顔だけ見て楽しそうだなぁとこちらも楽しそうにしている。


「俺は……ティベリー。よろしく。」


 今村は取り敢えず嘘をついてみた。因みに名前の由来はこの体の父親の家であるティベリウス家から採ってみている。それに続いてソフィも挨拶した。


「ソフィはおにぃの妹なの~よろしく~みゃっ!」

「ソフィ・フェンデ・ガダルナンドってちゃんと名乗りなよ。」

「……は~い。ソフィ・フェンデ・ガダルナンドです。」


 今村は消える気満々だから適当でもいいがソフィはそうはいかないので軽く常人の頭蓋骨を陥没させる勢いで殴って真面目に名乗らせるが相手の方はソフィの挨拶に忘我の状態になっており、先に我に返ったターニャの方がトールを見てムクれてほっぺたを引っ張った。


「……わたしの、にぃ。ゆーわくしないで。」

「してないよー。ソフィはおにぃ一筋だもん。あれ?えいっ!」


 ターニャがトールの腕を取るのに対抗してソフィも今村の腕を取ろうとするが今村に避けられる。仕方ないのでソフィは軽く本気を出して今村の腕を取って誇らしげな顔をして二人を見返した。


「……まぁいいや。」


 二人の間で何かしらの視線の応酬が行われているが今村の方の目的はそれではない。これ見よがしにトールの目の前でお腹すいたなぁと言って大規模召喚魔方陣を小さく描くと部屋の中にある物を召喚した。


「んにゃ~?あ、カレーだ!」

「ふぇぇ……何かうん「黙れや、口ん中に手ぇ突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたるぞ?」ふぇぇ…」


 匂いで何度か食べたことのあるソフィが反応しターニャが失礼な発言を口に出そうとしていたので今村に封殺される。しかし、トールの目はそれどころではない驚愕の目に染められていた。


「さて、ソフィ?要る?」

「うん~」

「ま、待って!それ、ボクにもくれない?」


 今村が自分の分をよそってソフィにも上げるのを見るとトールは自分もと口を挟んでくる。それを聞いて今村はチェシャ猫の様な口が裂けているかのような笑顔を浮かべた。


「そんなにいっぱいないよ~?」

「ちょ、ちょっとでいいから!」

「でも失礼なこと言われたし~」


 今村が渋っている間にソフィは今村のアイコンタクトを受けて食事を開始して、質問する。


「おにぃ~ソフィおかわり食べて良い~?」

「食え食え。あとね~これ結構疲れるんだよ~?美味しい物検索で探してたんだけどとっても遠い所から来てるみたいだし~」


 勿論嘘だ。目の前の人物の世界で食べ親しんだものの中でこの世界には存在せずに匂いが強い物を選んだらカレーが来たという話で合って美味しい物検索などと言うモノは存在しない。

 尤もカレー自体は時々食べたくなった時に召喚して付きまとうソフィに口止め料として食べさせたりはしていたが。


「ちょ、ちょっとだけ!」

「しかたないなぁ……ちょっとだけだよ?」


 スプーン一杯分だけトールの口に空飛ぶカレーが舞い込み、彼はそれを口にした途端に泣きそうになっていた。


(……さて、実験だな。この世界と元の世界。彼はどっちを選ぶか。)


 今村がそう思いながら観察しているとティアさんが妊娠している大きなお腹でこの場に走ってやって来て泣きながら心配したと言ってもう出ないようにお願いされてしまった。

 その上で母親さんのお願いと知的好奇心などを戦わせた結果、この実験に際してトール君の反応もそれほどまでに面白くないとのことで止めにすることになった。




 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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