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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十章~回収~
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12.変わり果てた姿

 今村が色々していた間に会合をしていたアリスたちは「俺の」「部屋」「見る」と言うワードと言い辛そうにしていた顔、それと刺されて死んだという状況を踏まえて


 他人に頼るのは嫌いな今村が助けを呼ばざるを得ない状況になってしまい、今村は「俺の部屋に来て自分の様子を見て欲しい」と言ったと真逆の解釈をして「幻夜の館」へと戻って来ていた。


「お兄ちゃん大丈夫かな……」

「…と、着きましたね。」


 今村の部屋は基本的に立ち入り禁止の術と張り紙と今村以外が触れると粘着するkeep outの黄色い術式コードが浮いているが、彼女たちは今回は緊急時だと無視をして全員で協力してそれらを退かした。


「……何か、強力な結界が張られてる。」

「あ、でもここに綻びが出来てるからここから……」

「パパなら寝ぼけてもこれ位の術式できるのに、やっぱり何か変だよ。」


 尋常じゃなく眠かったので術式が外側からは適当になっているのであって彼女たちを招き入れるために故意に術式に綻びがあったのではないが彼女たちは自分たちの解釈でどんどん進んで行く。


 そして3時間が経過して彼女たちはようやく今村の部屋のドアノブに手を触れることが出来た。


「大丈夫かな……早く行かないと。」

「ですね~何かあったら大変ですから~」

「開けるわよ?」


 今村が刺殺された現場にいた面々は一刻も早くその場に入ろうとして、その扉に手をかける。それに対して後から合流組は若干開けてもいいのかという心配を抱えながら先発組が扉を開ける後ろにいた。


「それじゃ……っ!」


 扉を開く。そこには変わり果てた今村の姿があった。そして先頭にいたアリスは変わり果てた今村の下に駆け寄る。


「可愛いっ!」

「ぅぎゃ……な、だ、だれ?」

「声も幼くて可愛い!可愛いよひとくん!」


 アリスが光の速さで認識した4歳児の今村に飛びついて抱き締めた。今村は目の前にあったお菓子を食べていたのだがそれを落としてしまう。


「退いて。」


 そんな幼児今村に顔をすりすりしたりして興奮しているアリスをみゅうが弾き飛ばした。そして今村の顔をじっと見る。


「な、何?何なの?だれ?っ!」


 困惑している今村の唇をみゅうがごく自然に奪って今村は目を白黒させた。対するみゅうはご満悦のようだ。


「いつものパパもいいけどこのパパもいいな。……あ、でもパパって言っても分かんないか。ん~……じゃダーリンにしよっ♪」

「おねえさんたちだれなの?ここってボクのヒミツきちなんでしょ?何でいるの?だれなの?」

「怯えるひとくんも可愛い!はぁはぁ……」

「…邪魔ぁ!」


 アリスとみゅうが幼児今村を巡って空間を変えた攻防を始めるのを余所に今村とそれ以外の面々が話をする。


「私は仁さんの彼女ですよ~」

「ボク大人だったんじゃ……」


 ヴァルゴがこれならいけるとばかりに嘘をついてみるが今村に一瞬で看破され、仕方がないのでマキアが無難な答えを出した。


「えーと、先せ……仁くんのお母さんの知り合いだ」


 瞬間、空気が爆ぜた。困惑していた今村の顔が敵意に染まり上がり、加減を知らない殺気がマキアを貫いてそれだけでマキアは部屋の外まで吹き飛ばされて頭が爆裂した。


 あまりのことに反応できない面々を余所に今村は呟く。


「おかしいなぁ……ボクからの手紙にはアイツらは壊れてもうボクのこと覚えてないって言ってたんだけど……ねぇお姉さんたちも、アレの知り合いで、ボクをどうにかするために来たの?」


 凍りつくような空気の中、今村は赤い眼に緋色の六芒星の文様を浮かべて動くことが出来ない祓、クロノ、サラ、ヴァルゴを順に見据える。


「あ……え、く、クロノは、お兄ちゃんの親なんて知らないよ……?」

「へぇ、じゃあなんでボクがお兄ちゃんなの?……もしかして君、ボクの妹?ボクと違ってお腹の中でも可愛がられてた、あの、妹?」


 殺意の視線がクロノの首を魔術的な意味を持って絞め上げていく。クロノは宙に浮きながら必死に首を振った。それを見て今村はクロノから視線を逸らして解放する。


「……まぁ、だよね。一応そうかもしれないと思ってしたけど……あんなのからこんなに可愛い子が生まれるわけないもん。」

「かはっ……えほっ……」

「で、おねえちゃんたちは、けっきょくなんなの?……あ、そうなんだ。」

「……え?今お兄ちゃんクロノのこと可愛いって言った?」


 今村が勝手に納得していると死にそうな目にあったクロノがあさっての方向のことだけピックアップして喜び、それを尻目に今村が「呪式照符」を取り出して目の前の人物たちのことを知ろうとする。


「……読めない…」


 だが、今の今村では能力を発動してもそれが読めなかった。なので幼児今村は再度困る。


「あ、あるんだ。んじゃ、えーと『しんぎがん』。」


 困っていた今村はしばらく考えて「真偽眼」を発動させて相手の嘘を見破る能力を手にして祓たちに質問した。それによってマキアの無罪を知ると小さな手を壁の向こう側に向けて端的に詠唱する。


「いたいいたいのとんでいけ~」


 痛いではなく遺体だと思われる頭部のないマキアの体が幼児型今村のその適当にしか聞こえない詠唱の声が届いたと同時に回復して元通りになる。


「ごめんね?アイツらのしりあいっていわれたから……」

「え、あ、いいですけど……アレ?私今本当に死んだんですけど…」

「んーとね。ボクが治したよ?」


 しっかりとしていない足取りでマキアの方に近付いて今村は声をかけて謝るとマキアは殺されたというのにあっさりとそれを許してそれよりもと現状について考えた。


「……本場の【白魔法】ってことですか。殺されたことはまぁ……うん。本気で敵意を持たれない限り殺されない術をかけてますから…殺されたってことはそういうことですし。私が悪いです。」

「なんか…ボクが悪い気がしてきた……」

「いや、私が……ん。分かりました。では、悪いと思ってるならおんぶさせ続けてください。」


 マキアは何を言っても今村が納得しないような気がしたので自分の欲求を通すことにして今村を背負った。


「…………ちょっと、おっぱい吸ってみません?何か出る気がします。」

「え、ボクもうごはん食べれるんだけど……」

「まぁ、それはともかく一回しましょう。こんなに愛しいがいると出来る気がします。というより何かもうそうして欲しい「埋まってて?」」


 マキアを上方から襲撃して今村を空中に投げ出してそれをキャッチして着陸したのはアリスとの戦闘に勝利したみゅうだ。


「え、こ、だいじょうぶ?」

「ぱ、ダーリン心配しなくていいよ?これはそう言う扱いで良いから。」


 マキアを心配している今村だがみゅうはその心配はないと切り捨てて今村をじっと見る。


「……取り敢えず、一度落ち着いたらどうかのぅ。見た所仁に負担掛かっておるようじゃし…」


 そんなサラの一言も虚しくしばらくは大人しくならなさそうだった。




 ここまでの読了ありがとうございました。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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