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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十章~回収~
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2.フェデラシオンに出発

「ふぅん……まぁどっちもどっちって感じだな。半殺しにしたのはこっちが悪いがアポイント取ってもないのに偉そうにしてるのはちょっと違うし。」


 今村は話の経緯を聞いてそう断定した。こちらからすれば大口の取引相手ということでもない相手に企業内のことにケチを付けられる謂れはない。だが、メアリー王女は納得いっていないようだ。


「……王族を相手に、手を出しておきながらその言い草ですか?モナルキーアとの外交問題に発展させてもいい事案ですよ?」

「させたきゃしろ。そん時はモナルキーアからウチの全ての事業を撤退してするだけだ。」


 ここにいる面々は基本的に王族に良い感情を持っていない。権力を笠に着てアポイントも取らずに一方的にケチをつけて来る者を客に取らなければならない程企業として落ちてはいないので帰らせようと思ったが、その前にお供の男が口を挟んで来た。


「この件に関しましては互いに遺恨を残さないということにして、依頼の方を聞いていただけませんか?」

「ダニアン!?」


 あくまで下手に出ていると言った口調のお供の音場にメアリー嬢は驚いた声を出すが彼女のお供の小柄な女性がその口を封じた。


「姫様。ここはモナルキーアじゃないんですよ。自重してください。」

「で、でも…」

「はっきり言いますが、モナルキーアとこの会社が冷戦状態になれば国は干上がります。直接戦闘になれば1日もたないでしょう。それ位の格差があると自覚して行動してください。それに私たちはあくまで一依頼人として行動してるんです。国を出さないようにお願いします。」

「そ、そんなわけ…」


 同やら王女はここ最近の時代の流れについていけてないようなのでその小柄な女性が説明をする。今村はそのやり取りを見ながら暇だったので「呪式照符」で先に用件を確認した。


(……ふむ。フェデラシオンがロボット工学を発展させてモナルキーアは圧力を掛けられている状態か。その上、家計に問題はないがウチがいるから王宮の財政状態もあんまり良くない。それで友好の証にモナルキーアの第1王女を送ったが道中で暗殺されていちゃもんをつけられる可能性があるから確実に送り届けられる者を探してウチに来たわけな。)


 北のフェデラシオンと南のモナルキーアの間には東の帝国アフトクラトリアがあるが、そこに関してはレジェンドクエスターズが進出しているので手が出し辛い。その為あまり進出していないモナルキーアに飛んだのだろう。


「……いや、しかし……」

「ご迷惑をおかけしました。」


 今村が考察を終えてみゅうとクロノの相手をしている内にメアリーは自分が幼少期に習ってきたことと現実の乖離を受け入れ始めるところにあった。


 そして交渉役が小柄な女性に代わったところで扉が開いて祓がお茶を入れて持って来た。


「……!?え?フェデラシオン第2王女様……何故ここに……?え?しかもお茶汲みを…?」


 祓の顔を見た途端にメアリーが顔を驚愕に染め上げる。瞬間、祓は今村の方を見た。今村はん?と言う顔をしてこちらを見ていた。


「…?アレ?お前王女だったの?」

「…………は、い……」

「貴族じゃなかったんだ。へー。……?死亡扱いになってるけどいいんか?これ。大分不味い事してね?」


 何気に軽いリアクションだったので祓はほっとしたが、代わりにメアリーを僅かに目を細めて睨む。


「ひっ……」

「んー貴族なら失踪後実は……みたいな事してもあんまり問題ないけど流石に王女だったらアイドルとかさせるもんじゃないよなぁ……まぁミーシャも亡国の王女だが。……あ、サラは地獄の女帝だしヴァルゴは天帝じゃん…成程。確かにクイーンだな。」


 本当に今更な事実を知って今村は独りごちる。


「まぁその辺は置いといて、依頼は護衛だな?」

「…はい。空路では飛行機事故などが起こると怖いので陸路でお願いしたいと思って…」

「時間かかるからさっさと行こうか。ヴァルゴ呼んで『極楽鳥』を派遣してもらおう。何か今日はそんな気分。」

「呼びました~?」


 更にこの場に幼女が増えたことでメアリー王女の今村を見る視線が変態であると断定する物になってその視線に気付いた今村以外の面々に殺気をもろにぶつけられる。


「あー。まぁいっか。死ななけりゃ『癒し手』に任せるし。最悪クロノに何とかさせよう。」

「いーよ。じゃ一回殺しとこ?」

「そだね。パパを何て目で見てるんだろ…」


 特異点幼女タッグがメアリーを殺して戻した。モナルキーアの面々が知覚できない早さで行われた御業だがレジェンドクエスターズの方もあまり気にしない。


「ヴァルゴ。人間が乗れる『極楽鳥』連れて来て。うちの子は人間には厳し過ぎるから。」

「わかりました~」


 ヴァルゴは即行で消え去った。目の前のヴァルゴがいなくなった時点で今村は祓に尋ねる。


「お前フェデラシオンに説明行った?」

「いえ……あの、私先生と一緒にいたいので戻りたくないんですが…」

「いや、別に戻れとか言ってんじゃないが……どうする?」


 今村の質問に祓は考えた。そして色々考えた結果、最悪強制的に戻って来るように言われたら滅ぼすことにした。


「先生が行くならついて行きます。」

「俺は行くが……まぁ無理はすんなよ?」

「あ、クロノも勿論ついてくよ~?」

「みゅうもだよ!」


 ピクニック感覚にしか見えないレジェンドクエスターズの面々の動きを見てモナルキーアの面々は不安になってくるが、その中の今村だけ落ち着いて計画を話し始めたので真面目な顔をする。


「今からレジェンドクエスターズ用の販路の中でも空路を行く。到着予定はここを発ってから30分後。」

「は?」


 モナルキーアの最新の戦闘機でも無理な時間での移動を言われてモナルキーアの面々から間抜けな声が漏れる。


「その後、フェデラシオンの中では比較的マシな奴と連絡を取って……そうだな厚生省の幹部の所に居させてもらえ。そいつとなら速攻でアポイント取れる。」

「あ、あの……一応、7日後に公式謁見が…」

「ふむ。セレス。電話してたろ?どうだった?」


 今村が演算しておいた計画を知らせておいたセレスに尋ねると明日には謁見が出来るという返答が帰って来てモナルキーアの面々は絶句した。


「仁さん~連れて来ましたよ~」

「んじゃ、行こうか。」


 今村の言葉に従ってすぐに動き出すレジェンドクエスターズの面々の後をモナルキーアの面々はただ呆然としながら見送って我に返るとすぐに追いかけた。




 ここまでありがとうございます。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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