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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十九章~段落の間~
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19.情操教育

 原因は今村が翌日に疲れを残さないようにと言って渡しておいた薬湯だった。出掛け先から戻って来たみゅうとクロノは覗きに出かけた3男神を見て飲むのをためらっていたクーシーと芽衣の分の薬湯を飲み干して幼児化していたのだ。


「……ご主人様。アレを飲んでいたら私たちが子どもに…?」

「いや、アレはそう言う物じゃないから。何つーかなぁ……精神年齢が一定以上で疲労度がある程度溜まってたら回復力を最も優れてた時期に戻すって感じ…にしてあった……ん~いや何か微妙に説明しづらいな。こうあるものって言う概念を植え付けて創ったから。」


 今村は風呂上りなのにべったりなみゅうとそれに対抗心を激しく見せているアリスを左右に、それと常にマイペースっぽい祓を背中に背負って椅子に腰かけていた。


「……おなかすいたよ~?」

「あ、ヴァーも!」

「みゅぅ…」

「ぁ、わ、わたしもおねがいします…」

「あ、ありすはがまんできるよ!」


 クロノの一言を皮切りに幼女たちが今村に群がって食事を要求する。アリスと祓は訴えて来てはいないがアリスは見たところ空腹そうだし、祓も買って与えたお菓子以来何も口にしていないはずだ。


「何かもう今日は飯作るの怠いな。『魔合成物質』で済ませよう。」


 数瞬後、一行の目の前には何のパーティーなのか?と思われるレベルの料理が並んでいた。


「おぉ~!ね、ね!食べていいの?」

「いいよ。クーシーと芽衣も食ってけ。」


 クーシーと芽衣も今村の言葉に甘えることにして全員が用意された椅子に着いて食事を始める。

 アリス、祓、サラ、ヴァルゴなど、幼女になった面々だが大体が食事マナーなどしっかりており、比較的穏やかに食事が済むと今度は今村による情操教育が始まった。


「んじゃ今から君らの将来について考えましょう。」

「ヴァーはニートになる~」


 間髪入れずに発言したヴァルゴはクーシーと芽衣のタッグでお説教をさせることにして他の面々に目を向けた。


「はい!私は先生のお嫁さんが将来の目標です!愛人でもいいです!いや、むしろ性奴隷でもいいですよ!」

「将来良い相手が見つかると良いな。頑張れ。」


 今村は超他人事でマキアの発言を退けた。それに触発されたのがみゅうだ。席の時空を一瞬でゆがめて今村の座っている上に座ってマキアを敵視している。


「ぁぅ……さらも、およめさんになりたいな……」

「あ、ありすだってすてきなひとにあうもん!」

「……ころるは…このままでいいかなぁ……大人になりたくない…」

「クロノおいしいものいっぱいたべる!」


 何か祓も大分ダメな方向に向かっている気がするので祓も説法部屋の中に行くように言って残った面々を見る。


「まぁ、お嫁さんは良い目標だな。良い相手を見つけられるように頑張れ!変な奴に騙されちゃ駄目だぞ?特に黒目黒髪、死んだ目でいっつも『錯視錯覚』で適当な服装に見せてるが基本黒いローブを着てる奴。そう言う奴に碌なのはいない。こういう奴のお嫁……いや、こういう奴と一緒にいようとか思うなよ?」


 今村は本人的ににっこり笑ってそう言った。


「やだー」

「ごめんなさい。できません。」

「ど、それじゃありすどこいけばいいの…?」


 が、全否定された。その上今村に将来の夢を一蹴されてイジケていたマキアがドヤ顔で言い放つ。


「あっはっは。無駄ですよ無駄ァッ!所詮退行ですから心の中身まで変わるわけないじゃないですか!」

「ふん。変えるんだよ。論破してやる。」


 今村が一番最初に否定したクロノに目を向けるとクロノはそれを真っ向から受けて言い返す。


「クロノのかんだけどねー。たぶんお兄ちゃんがこの世でいっちばんおいしい料理作れると思う。」


 今村は黙った。過去、遊んでいた身内の結婚を促すための12の難行の1つに第1世界の至高の美食世界の世界最高の大会で優勝があったので本気出して審査員に美味いというリアクションをさせて殺してしまうという惨事を引き起こして優勝したことがある。

 因みにその後、蘇るほどの美味さじゃァぁあぁぁああぁぁっ!とか言ってデザートの匂いで蘇って貰ったので問題はなかった。


「……いや、でも料理の世界だって日進月歩だし。俺より料理上手いるよ?腐るほどいるよ?」

「ですけど過去の技術も大事ですよね?それに材料調達から薬品合成、調理の流れまで全部本気になった先生と張り合える料理人っているんですか?」

「世の中広いから多分いる。」

「じゃーそれまでお兄ちゃんといっしょ~」


 原神に仕える者たちであればいる可能性も高いのだが、クロノは特異点の為に近付くと消滅させられる可能性が高いので、クロノに食べさせる料理人は見つからない気がするが、いつかは見つかるだろうからまあいいか。それより次だという感じでサラの方を見た。


「わ、わかんないですけど……これいじょうはなれたらいっしょうだめにするきがしたんです……」

「気のせいだ。ほら。世の中は広いんだよ?格好いい人もたくさんだ。性格がいい人も大勢いる。両方を兼ね備えた人は結構少ないけどまぁいる。サラは大きくなったらそう言う人と一緒になると良いよ?幸せになれる。」


 今村はこっちは結構楽に行けそうだと思った。


「……しあわせって、なんですか?」

「自分の考える中で自分が一番いいと思える状態。」

「……いまだとおもいますけど……?おにーさんがいて、みんなでワイワイしておいしいものたべて……」

「……ん~…まぁ、お…」


 今村は「俺はいなくなるけどな。」なんて言えば今は大人しくしているが自分の上に座って呼吸の必要もないのにやたらと深呼吸をしている幼龍が何をするか分からないので黙った。


「はぁぁあぁぁああぁ~みゅう幸せ~これが幸せだよ。パパの匂いをずっと嗅いで一緒にいられること~」


 そんなことを考えていたらみゅうがいつの間にか自力で薬湯の効果を打ち消していた。クロノも胸と身長で服を弾き飛ばそうとしている。


「……そういやマキアが消えたな。」


 どうやら「シェルシェール」で計測した100以上の面々は効果が薄く、特に特異点には効果が低いようだ。


「明日の朝になったら全員戻ってそうな気がする。みゅう。お守頼んだ。」

「え~パパと一緒に寝た「お守したらキス一回。」任せて!みゅう子育て超上手だよ!パパの子ども頂戴!」

「……まぁいつか機会があれば善処する。」

「きゃったー!」


 次の瞬間には狂喜乱舞して子どもたちを連れたみゅうはこの部屋から消えていた。今村は宴の跡となっているこの場を片付けて何にもしてないなぁ…と溜息をついて問題は後回しにすることにして寝ることにした。




 本日もお疲れ様でした。ここまでありがとうございます。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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