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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十九章~段落の間~
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16.子育ての癖

 今村が用事を済ませて「幻夜の館」に戻ると面倒を看るように任せていた大人たちが屍累々状態になっていたので現状の原因である「逆行ヲチ水」と同時に出来上がった薬品を与えて過剰に元気づけて子どもたちの方を見た。


「ん!ぱーんち!」

「遅い。」


 ヴァルゴは今村と目があったのでじゃれつきの範囲で攻撃を仕掛けた。当然今村は避けるがヴぁるごは納得いかなかったようだ。


「む~『フェザーズレイン』~!」

「『6倍返しの復讐法(ヘキサ・ハンムラビ)』」

「ぅにゃぁあぁぁぁぁあっ!」

「……人に向けると危ないのは分かったか?」


 ヴァルゴの攻撃を6倍にして返すと総攻撃が当たる前に余波だけで吹き飛ばされたヴァルゴをローブで回収してヴァルゴが避けていなければどうなるのか見せてから地面に降ろした。


「……」

「分かったか?」

「うん……ごめんなさい……」

「分かったらよし。今度から気を付けような。」


 あまりの威力に呆然とするヴァルゴに今村が念を押して確認するとヴァルゴは我に返って今村に謝った。今村はヴァルゴが本当に分かったのか確認して頭を撫でてやる。


「……サラも気を付ける…」

「みーも…」

「う、ありすも……」


 面倒を看させていた大人たちをボロボロにしたらしい実行犯たちが揃って謝罪する中、祓は特に何もしていないので残骸をぼけっと見ていた。


「すっごい音しましたけど!誰か死んでませんよね!?私、先生に怒られるの嫌ですよ!?……あ、おかえりなさーい♪」

「マキアちょうどいい所に。これ直しといて。」


 「幻夜の館」の一部が崩壊する音を聞きつけてマキアが無駄に風通しの良くなった部屋の中に飛び込んで来たので今村は修理要請を出した。


「喜んで!『マリッサマギウス』!」


 マキアが部屋の修復を一瞬で済ませると今村は子どもたちに向けて言った。


「んじゃ、買い物に行くがついて来る奴?」

「はーい!ヴァー行くよ!」

「サラはねむい……」

「みーはお腹空いた…」


 アリスは約束していたのでついて来る気満々だが少々不満気だ。


「……お留守番してたのに…ありすが約束してたのに……」

「……だっこ。」


 祓に関しては抱っこを要求して手を出して今村の右手に抱えられてから左へと移される。


「まぁ、んじゃサラとミーシャは留守番でそこの無駄に元気余ってる奴らに寝かせてもらうなり間食作ってもらうなりしてろ。あ、芽衣。間食はこのリスト内から選んで作れ。あんまり栄養に問題が出ると困るしな。」

「あ、はい。」


 今村は即行で紙に4種類の簡単なお菓子の内容を描いて芽衣に渡しておく。その後マキアに訊いた。


「お前はどうする?」

「ん~……まぁ何時でも何処でも一緒がいい!とは思いますけど大変そうなんで何かあったらいけないのでこっちに残っておきますね。」

「んじゃよろしく。」

「クーシーちゃんと被虐の悦びについて語り合いながら面倒看ときますよ。」

「……私は被虐趣味じゃないです。ご主人様に征服されるのがぞくぞくして気持ちいいだけで…」


 何か変な談義が始まる前に子どもたちの耳を塞ぎ、情操教育にまだよろしくない内容は気を付けて話すことを厳守するように言って幼女ズを連れてまずは「マジックアーケード」へと向かった。












「んじゃ、ちょっと禁制品の取扱いに行って来るが……取り敢えず俺がいない間はこの店から出るな。一応『キシュアバルの大楯』を掛けておくが……何があるか分からんからな。」

「はーい!ヴァーお菓子食べたいです!」

「……1つ選んでいい。兎に角この店から出るなよ?」


 今村は「マジックアーケード」の1つの店に入って店主に話しかけた。そして子どもたちの方は抱っこのまま半眼で心ここに在らずの状態の祓を除いて嬉々としてお菓子選びを始める。


 そしてアリスがチョコレートとグミどちらにするか迷っていると無精髭を蓄えた40半ばの中年男性が店外からやって来てほぼノータイムでアリスを発見し、アリスの方へ近づいた。


「う、そ…そこの君……」

「?ありすに何かごよーですか?」


 アリスは両手にお菓子を持ったままその男を見上げる。すると男はアリスの名乗りを聞いて笑った。


「そう!あの、アリスちゃんのお母さんが体調が悪くて病院に行ってるからそこまで案内するように頼まれてるんだ!」


 だが、男の笑みはすぐに凍りつくことになる。


「あ、お兄さん!」

「……ひっ!い、【魔神大帝】様っ!こ、これはその……本日はその…いい天気ですね?」

「俺は晴れ嫌いだがな。曇りがいい。」

「そ、そうですか!いや、今日は太陽がウザったいですね!」


 今村的にこの男の方がウザったいのだがまぁ今回に関しては誘拐の未遂だったと判断し今村の方も殺人の未遂を実行しておく。


「!?!?!?!?」

「アリスはもう少し世間について気を付けような。知らない場所で知らない人には安易に名乗るな。特にどこかに連れて行こうとするやつに対してはな。」

「……でも、ありす何にも覚えてなかったからここどこか知らないしお兄さんも知らない人だけど名前言ったらいいことあったよ?」

「ふむ。じゃあ一回誘拐されてみるか?」


 今村は「ドレインキューブ」の準備を済ませ、現在、精神に明確に殺害されるイメージを叩きつけられた男の今村と会った時点からの記憶剥奪のスタンバイをしてアリスに訊いた。


「や、やぁー!ありすお兄さんのところにいる!」

「……ん~でもまぁ一回自分が取った行動がどういう結末を迎えるか知った方がこれから役に立つし。あれも駄目これも駄目っつって育てると自分から動けない大人になるしなぁ…」


 今村はそこでふと目の前の幼女たちを何故真っ当に育てようとしているのか自分の癖を鑑みて苦笑したが割り切って時間限定だということもあるのでちゃんと育てることにしてアリスの目を見て言った。


「アリスは『魅了チャーム』の能力が強い。今は俺の『黒魔の卵殻』で弱めてるが俺と最初に会った時の状態のままだったらことこのゲネシス・ムンドゥスにおいてお前の『魅了チャーム』を意識しないのは俺とマキア位なもんだ。」

「……お兄さんと、マキアちゃんだけ。」

「そう。だから他の奴にホイホイついて行ったら何されるかわかったもんじゃないと思っておけ。次、アリスが今俺が言ったこと忘れて同じようなことしたらギリギリにならないと助けない。」

「……お兄さんは、大丈夫なんだよね…?」


 アリスは薄っすらと怯えながら今村に確認をする。今村は頷いた。


「俺の『魅了チャーム』系に対するレジストは生半可なことじゃ破れないようにしてあるから大丈夫だが……まぁ信用できないならどっか…」

「んーん。ありすお兄さんなら大丈夫って気がする。」


 アリスが首を振って今村の祓が付いていない方の服の裾を持ってついて来るのを見て今村は本来の目的と大分かけ離れたことしてるなぁ…と思ったがまあいっかで済ませてこの店での買い物を済ませて出た。




 本日もありがとうございました。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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