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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十九章~段落の間~
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15.価値観ありますし

「……そろそろ出掛ける時間なんだが……どうしよっかなぁ…?」


 今村は目の前の幼女たちを前にぼやいた。


「きゃはははははは~『フェザーストーム』~おじさんもっと遊びましょ~?」

「ごはぁっ!」

「……避けろよこれ位。」


 ヴァルゴのじゃれつきレベルの攻撃でタナトスが宙を舞う。


「高い高ーい」

「にぎゃぁぁあぁああぁぁっ!」

「…他界するなこれ…」


 サラが高い高いしてもらったのお礼に石田(「幻夜の館」の職員)を思いっきり高い高いして果てしなく遠い空へと飛ばしたのをローブで捕まえる。


「おぐ、えぐ。」


 ミーシャの無言の猫がオモチャで遊ぶ感覚の攻撃でトーイがサンドバッグにされる。マキアはふざけた罰として現在幼女化した彼女たちが遊んで壊してしまった部屋の掃除と回収を熟している。


「…これ、どうすっかなぁ……目を離して死んでたら流石に困るし…」


 勿論心配しているのは大人たちの方だ。とは言っても3男神についてはあまり気にしていない。彼らはこの程度で負けるように鍛えた記憶はないのだ。


「……まぁ現在進行形で負けてるが…ま、いいや。」


 タナトス達が弱くなったのかそれとも幼女たちが強いのか。はたまた鍛えたレベルからしてタナトス達の方が弱かったのか。

 見た所もの凄く弱くなっているので1番の自業自得で4界滅亡がかかった時に負けた際に再戦の為に鍛えていると言ったのもすぐにやめたんだろうな…と思いつつ今村は早々にリタイアしているクーシーと芽衣を見た。


「俺ちょいと用事があるんだが……」

「はい……引越しのお祝いですよね……」


 スケジュールを知っている芽衣が弱々しげに立ち上がり今村の言葉に返事をする。今村は地獄の独立自治区の大妖怪を人界のこの自治区に連れてきたのだ。

 因みにその大妖怪には今村が成り行きで間接的に壊してしまった妖学校の校長を務めてもらう予定になっている。


「……お兄さんまた新しい女の子……?お兄さんの知り合い女の子ばっかりだよね…」


 今村がそろそろいかないと何かムカつくよなぁ……などと思っていると現在今村の右側にいるアリスがローブの袖を引いてこう言って拗ねた。左の祓は無言で寝ている。


(…つーかこいつ寝過ぎじゃ……夜五月蠅くなられたら困るなぁ……まぁその場合は市子とかメリーちゃんに任せるか。)


「今から行くところの大妖怪は男だがな。天狗だ。」

「……じゃあお留守番したほうがいい……?」


 今村の一言でアリスは察して我慢することにしたようだ。やろうと思えばどうとでもできたのだが本人から言ってもらったので無下にせずに申し出を受ける。

 ただ、アリスの言葉には続きがあった。


「でも、『館町』とか『マジックアーケード』ならアリスでもお買い物できるかもって言ってた人いたからお留守番頑張るご褒美にアリスそこにお兄さんと一緒にお買い物行きたいな……」

「……ころる。おきた。」


 何故かこの流れで祓が起きた。しかも自己申告までしてくれる。そして今村の顔を見た後に下にいるアリスを見て無表情な顔を僅かにご機嫌斜めにしてから今度はちゃんと正規の抱っこ形態へと移行した。


「……おでかけ?」

「そうだな。」

「……ころるもおるすばんのほうがいい?」


 今村はコロルが何なのかよく分からないが多分自分のことを指しているのだろうと判断して頷いておいた。すると案外祓は簡単に下に降りてアリスの手を引いた。


「え?え?」

「……ありすちゃんで、いいよ…ね?ころるとあそぼ?」

「あ、う、うん!」


 何か勝手にまとまってくれたなぁ……と思って内心で大輪の百合の花でも送っておこうかなと思っていたら祓が振り返った。


「……ころるもでーと。いく。」

「…!むー……お兄さん浮気はダメですよ!」

「そろそろ俺の立ち位置が知りたいんだが何だ?…まぁいい。取り敢えず用事を済ませる方が先だ。チャーンド。一応俺がいない状態で『幻夜の屋敷』最強の座敷童を派遣しとくからここは任せた。」

「……善処はする。」


 あんまり任せがいのない返事を受けながら今村は「幻夜の館」を後にした。



















「いや~黒の英雄殿。この様なむさくるしい所に来てくださり感謝の念に堪えませんぞ!」

「大天狗の方も壮健そうで何より。……ところで、部屋の中に飾ってある…」


 今村が指さした先では今村の良く知っている美女たちが一列に並んだポスターが貼ってあった。


「あぁ、アレですか。何でもここに先行していた者が言うには生活を切り詰めてでも買う必要があったとても貴重な物ということです。」

「……多分お前そいつ殴っていいと思うよ。」


 偶像崇拝禁止と撮影も禁止。そう言う魔術を掛けていたが、朝倉が極々限定品で世界に25組だけサイン入りポスターと彼女たちがライブの時に使用した手袋のセットを作って売ったらしい。1枚5000G(≒5000万円)で。


 即座に完売したらしい。


 今村からこの大妖怪に融資しておいた金額は1万G(≒1億円)。家、食事その他の費用などを差っ引けばこのポスターを買ったのは痛手では済まない問題だろう。しかし彼は笑った。


「いえいえ……このQeeeeNという彼女たちのポスターは買った時は5000万Gですが現在予想落札価格3万G(≒3億円)。確かにいい買い物でした。」

「……バカなのかな?まぁ価値観が色々あるんだろうから何とも言わんが…それよか用件を済ませるか。」

「お、そうですな。では黒の英雄殿。上がって行ってください。」


 今村は今更ながら黒の英雄呼びを止めてもらおうかと思ったが言い出すタイミングを逃しているし、行っても多分その5分後辺りには忘れているだろうからいいかと諦めて天狗の家に上がり、用件を済ませた。




 すみません。本日もありがとうございました。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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