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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十九章~段落の間~
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14.育児します

「と言うことで、お前らには今から育児を体験してもらう。」

「……いきなり呼ばれたと思ったらなんだ急に…」


 今村の目の前には人界を治めている3男神、タナトスとトーイとイグニス。それに加えて冥界の主チャーンドが来ていた。


「まぁ唐突なのはいつも通りなんだが……誰の子を育てるわけ?流石に今から子を成して育てろって言われたら困るんだが…」


 タナトスがそう言うと今村は隣の部屋にいる奴らだとだけ言って全員を案内した。その前に一行の前にマキア(幼女バージョン)が現れて子どもらしい動作で深々とお辞儀して幼い舌っ足らずな声で挨拶して来た。


「オジサンたち初めまして!パパとマキアおかーさんのちょーじょのザギニです!しょーらいの夢はぱぱのおよめさ…」

「良く来れたなぁぁああぁぁ?」


 今村は最後まで言わせずに今村の腰ほどもないロリマキアの柔らかいほっぺたを掴んで黙らせた。後ろから何か色々な感情が籠った視線が向けられている気配がする。


「……おめでとう。」

「取り敢えずそうだな……うん。おめでとうございますだな……」

「ヤバいぞ……俺は今村さんより早く結婚するなんてこと出来ないって言って今まで色々逃れてるのにこれじゃ……」


 それぞれがそれぞれの反応を示す中、今村はマキアを自分の視線まで掴みあげて恫喝した。


「マキア?俺、正直なこと言わねぇとはらわた抉り出すかもしれん。」

「じょ、冗談ですよ!ほらみんな笑って!」


 マキアが吊し上げられた状態で必死に弁解すると全員が落ち着いたので余計な時間を喰ったが当初の予定通り子どもたちを寝かしつけた場所へと移動する。


「……えーと、本当に子どもじゃないのか?見覚えがある髪の色ばっかりなんだがしかもその色の髪の持ち主たちは是が非でも浮気しないって…」

「本人だ。全員な。」


 扉の向こうでは凄まじい騒音状態になっていた。サラとヴァルゴが遊ぶと言う名目で部屋の破壊活動に勤しみ、祓はぼんやり佇んでいたが今村を見ると寄って来て抱きかかえるように両手を出して促し、ミーシャは監視に付けておいた芽衣とクーシーで遊んでアリスは泣いていた。


「うぇ……よかったよぉおおぉ……」


 号泣していたアリスは今村が入室して来たのを見て抱っこを促していた祓を意に介さず飛びついて来た。祓は無表情だが少しだけ気に入らなかったらしく僅かに眉が寄っている。


「ゆめじゃなかった……ホントにいた…良かった……」

「……ころるも、だっこ。」


 祓は自分のことをコロルと名乗って両手を出して今村に抱えるように要求する。仕方がないのでアリスをずらして左手で持ち、祓を右手で持つと祓はしがみ付いてまた寝た。


「な、なぁ……その子、俺が育てても……」

「いや、俺がやるよ。」

「俺にぎゃぁっ!」


 3男神が幼女アリスを見るなり乗り気になって来たが最後のトーイはミーシャの襲撃を喰らい最後まで言うことが出来なかった。


「ふぇ……?」

「っ!今村さん。忙しいでしょ。その子俺が何とかしときますよ。」

「いや、その子の為にならないだろ。俺がやるって言ってんだから引っ込んでろ邪魔だ。」


 アリスが騒がしい方を見ると2人の熱が更に高まり、後ろでトーイがサラ、マキア、ミーシャ、ヴァルゴによって玩具にされる。それを見て呑気に能力自体の退行はされてないんだなぁ……と思いながら白熱している両者を見る。


園子(その子)園子(そのこ)言ってるがこれ、アリスな。」

「何っ!?生き返ってたのか……?」

「何で教えてくれなかったんですかねぇ!」

「テメーらと遊んでる暇があんまりなかった。」


 そんな感じの話を続けているとアリスが話の内容を理解したらしく今村の服を小さい手で掴んで言った。


「あ、あのね、アリスお兄さんがいい……お兄さんと一緒じゃないとダメな気がする……」

「フム。確かに目の前の惨状を見るとこいつらをロリコンだと疑うのもしかたないと思うが……実際の所…ロリコンだな。ダメじゃん。」


 非常に納得して今村は頷いた。息を荒くして今にも掴みかかろうと氣を練って目を充血させている様子はどう好意的に見ても子どもを預けるには向かない人種だろう。


「じゃ、チャーンドに任せるか。」

「……いや、見てるだけで理性がギリギリだ。無理だ。抱えようものなら箍が外れるのは間違いないだろう。」

「ロリコンめ……」

「そう言う問題じゃないだろ……主にとっては何ともなくても我々からしてみれば違うんだよ。仁にとっては主を魅了できる……そうだな、原神並の魅力を持っているとでも言おうか?流石に理性を保てんだろう?それと同じだ。そうであれかしと決められた者には逆らえん。」

「……そうかもな。」


 僅かに誇らしげに今までの位階であれば知ることが出来なかったはずの情報統制に関する名詞を言って暗に褒めろと言っている様なチャーンドだが今村としては当人と会っているので何とも言えない。


「まぁそれはそれとして、トーイはミーシャと遊んでやって……ヴァルゴは誰の所に行く?」

「ヴァルゴってヴァーのこと~?ヴァーはあそぶよ~?」

「誰と?」

「だれ~?みんなであそぶよ~?これで~」


 幼女ヴァルゴ(元々幼女の様なものだが)はそう言って弱っているトーイを囲んでいる幼女ズとおままごとの役決めを始めた。


「えーとサラちゃんはおかーさん。」

「ん!わかったぁ!」

「ミーシャちゃんはおねーちゃん。」

「にゃぁ。」

「ヴァーは破壊と殺戮を司る覇王神。これはお夕飯の豚さん。」


 トーイは食事にされるようだ。縛られて抵抗できなくなっている。今村が成り行きを見守っているとおままごとが始まった。


「おかーさーん。きょーのごはんはなんですか?」

「きょーはねぇ。ちゃーしゅーでしゅ!ぶたさんしばってあるでしょ~?」

「わーい!おねーちゃん!きょーはちゃーしゅーどんだって!」

「ちゃーしゅーどんじゃないよぉ。ほねさんもったいないからとんこつらーめんだよぉ?」

「……哀れだな。トーイ…」


 今村が人界を治める3男神から豚に成り下がっているトーイを見て面白がっているとヴァルゴが今村もおままごとに参加させてきた。


「あ!おとーさんだ~!おかえりなさいあ・な・た♡」

「待て色々おかしい。」

「おねーちゃーん!お義兄さんかえってきたよ~」


 今村の突っ込みを無視してヴァルゴは姉役のミーシャを呼んだ。近くにいるのだがミーシャは更にてとてと近付いて来て無表情に言った。


「にゃあ。わたしとするにゃ?ままとするにゃ?ヴァーとするにゃ?」

「全部スルしかねぇのかよ!つーか何するのか分かってんのか?ってか息合い過ぎだろ事前に打ち合わせでもしてんのか!?後、俺何役!?」

「あっ!ごはんまだでしゅから、ちょっとまっててくりゃしゃい。すぐにぶたさんをさばきまーす。」

「聞けや!」


 この後トーイが本気で屠殺されかかったので救出して悪いロリコンどもを粛清した後、育児モードになって今村は子どもたちの面倒を看た。




 ここまでありがとうございました。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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