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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十九章~段落の間~
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11.ドライブの様なもの

 クロノが次に気がついた時には戦闘機の機内は赤いランプが点灯し、いかにも危険状態であることが伺えた。


「ど、どうしたのこれ!?」

「まぁ全力で逃げようとしたが流石としか言いようがない攻撃を受けて半壊状態になってる。想定内だが……最悪の想定だな。次で一回降りて修繕するけど……応急処置しか出来んな。それで壊れる。これの末路はアレにもう決められてるから時間を少し伸ばす程度しか出来ん。」


 今村はそう言いながら自動で動いていた場所を弄り回しながら周囲の空間を確認して適当に大規模召喚陣がある世界に割り込んだ。



















「ぎゃーぎゃーぎゃーぎゃーうっせぇな…唯でさえ最悪の想定に出会ってイライラしてんのに。動物園かここは?」


 今村たちが着いた場所はどこかの城の巨大な召喚陣のど真ん中だった。戦闘機に関しては材料集めの際にこれ以上壊されては困るのでみゅうに空間を弄らせて仕舞っておいている。


「異界の英傑様方…」


 騒いでいる召喚陣全域に柔らかいもの言いながら有無を言わせない迫力を秘めた声が響き、今村とクロノ、そしてみゅう以外の全員に対して現状の説明が行われた。


 どうやらここにいる一行はどこかの異世界で学生をやっていた人間たちらしい。文明は魔術によって支えられており、現在いる世界の魔術体系の始祖に当たる術式を使うとのことだ。


 そんな感じの説明が終わって一通り落ち着いて従順にステータスやらを見て異常なほどの適応を見せた後、彼らは全く見覚えのない今村……というより今村の横にいる童女と幼女の方に視線を集めた。


「んにゃ?」

「みゅ?」


 二人は視線を集めているのに気付いて何故だろうとばかりに周囲を見た後今村に話し掛けようとして忙しそうだったのでやめて自分で原因を調べて愛くるしい顔をしかめた。


「おい、そこのアンタ。おい!アンタだよ!」


 そんな微妙な空気の中、割って入る青年がいた。彼は頭から血が噴き出したかのような色の濡れた若布のような髪をしているイケメンで、一行から浮いて地面をじっと見ていた今村に食って掛かる。それに対して今村は天の声の時点から全部無視して地面に手を当てている。


「聞いてんのか!」

「…………ふぅ。採れた。」


 男の怒声が虚しく響く中、今村は集中を終えて少しだけ疲労感を感じさせる声を漏らすと同時ににけたたましいファンファーレがこの部屋に鳴り響き、ホログラムの様な物にCongratulation!というポップな文字が浮かび上がった。


 それすらも関係なさそうに今村は地下から引き摺り上げてきた何かを見て薄っすら笑いながら独白する。


「禍福は糾える縄のごとしってか。丁度良い所に邪神が転がってたからさっそく解体するか。あ、後そこの貴様はちょっと死んで来い。」


 むしゃくしゃしたので取り敢えずさっきから喰ってかかって来ていた赤毛の青年を圧殺して血濡れの肉塊にしてうち捨てると邪神の解体を進める。禍々しいそれを捌いて行くと今村は舌打ちした。


「ちっ…ゴミだな。魔力が乗ってない。あとうっせぇなぁ……本当に五月蠅い。皆殺しにしようか?」


 おそらく転移元のクラスで彼と親しかったであろう者たちが恐怖による硬直から一転して今村に集団で攻撃を仕掛けて来ているので今村は更に機嫌を悪くするが、今村が何かする前に【復讐法ハンムラビ】が綺麗に皆殺しにしているので今村は何もすることがない。


 やがて、攻撃が止んだ頃には生き残りは半分になっていた。今村的に自分でやり返した感がないので不満は残るが現在の状況はそう言うことをしている場合ではなくさっさと逃げたいのですぐに思考を切り替えた。


「……どうするか。これが一応この世界の最強種らしいし……めぼしい物はなさそうだな…移動するか。クロノ全員生き返らせる?」

「えー……あんまりしたくないな…これ、お兄ちゃんにムカつく口調だったし周りのと一緒にクロノに無理矢理エッチなことするつもりだったし……」


 今村の問いにクロノが嫌そうな顔で答えると今村は僅かな時間逡巡して言った。


「じゃあこの世界の魔法にでも組み込んで自我を残したままリポップ繰り返すモンスターにでもするか?蘇生は出来んがこれなら俺でも簡単にできるし。」

「お兄ちゃん疲れてるみたいだけど……やっぱりクロノが何とかする!」


 クロノが豊かな胸を張って気合を入れて固有術式を作動する構えを見せるとみゅうも負けじと今村に提案した。


「パパがこれをモンスターにしたいならみゅうが代わりにやるよ?みゅうも役に立つよ!」

「どっちでもいいが……まぁ、一回生き返らせてみよう。今度は俺から仕掛けないでみるから今度攻撃して来た奴は罰ゲームで。その間にこの辺りで材料確保によさそうな場所はない物か探すか。」


取り敢えず一度生き返らせてみた結果、ワカメリア充(仮)が殺された瞬間の記憶がなくなっているらしく、今村に対して怯えを持った周囲に対して鼓舞するように自分に授けられた加護を喋って今なら土下座で許してやらんこともないと言ってきたので何十回か殺して世界の法則の中に組み込んだリポップモンスターにしてやった。


「ん~と、モンスター設定はまず経験値が豊富。この辺りの魔物の餌。リポップまでの時間が非常に短い。魔力を持った個体が20回に一度出る…辺りかな。そうだなドロップは魔物の餌と、レアドロップに魔力の結晶にして……あ、んじゃこいつの魔力のリソースをそっちに回すか……じゃ魔力個体の出現は1万体に1匹でいっか。こんな感じで良しっと。」


 今村が設定し終えるころになると周囲の目は完全に怯えており、ほんの一部の者たちが高経験値という言葉に考えているようだった。


「あの~……私ここの神なんですけども…監査官の方ですかね?先程世界改変されたようですけど……私の方法、何かまずかったですか?もしくはアレですかね異世界召喚契約書の書類不備でもありましたか…?」


 そんなことをしているとこの世界の神様が降臨して来たので今村は不法占拠をしていた邪神の討伐を告げ、クロノとみゅうにここの術式体系の効率化を説明させることにして自分は少し離れた。


(んじゃ、今の内にバレないようにっと。)


 そして個人秘匿用倉庫の空間に気付かれないように潜って材料を取り出すと何事もなかったかのように戻って来てから戦闘機を直してこの世界から飛び出して行った。


「お兄ちゃん!前見て前!おっきぃ蟲がぅにゃぁぁああぁぁっ!」

「パパ何してるの!?あぶにゃぎゃっ!うみゃぁあぁぁあぁっ!ふみゅうぅぅううぅううぅっ!」

「はあっはぁっ!掛かって来いや虫けらどもが!皆殺し上等だ!」


 そしておそらく比較的安全運転で、修羅場や地獄の惨状とも思える場所を通り抜けて今村君たちはゲネシス・ムンドゥスへと戻って自室のベッドにダイブして泥のように眠った。




 お疲れ様です。ここまでの読了ありがとうございました。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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