35.結果
今村君が人間辞めた所で1章は終了です。ここまで読んで下さった方々は本当に心が広い方だと思います。これから長いですが生暖かい目で見ていただけると幸いです。
「……解析が終わった。」
空気が凍った中、チャーンドが呻くように言った。今村は陽気に訊き返す。
「何だった? 死ぬ?」
「冗談でもそんなこと言わないでくださいっ!」
今村の軽い言葉に祓が半泣きで訴えかける。今村はその途中で強めに抱き締められ激痛が走る。だが柔らかくて嬉しかったりしたので今村は黙ってそれを受けた。
「全身筋肉痛、及び筋断裂だな。……死にはしない。」
「ちっ……」
「そうじゃないですよね!?」
「……それは流石に痛い。」
思い切り抱き締められることで流石に悲鳴を上げそうになる今村は抗議する。だが祓は離してくれない。
「……祓?」
「……何ですか?」
「溶けてるよ?」
「いいですよ。」
今村は理解を諦めた。祓には表情はないものの雰囲気だけ嬉しそうに今村を胸に抱え、「キュアモーラル」をかけ続ける。
彼女の制服はすでに溶け、皮膚も溶けるがそれは彼女自身が発する「キュアモーラル」によってすぐに回復する。誰にとって幸か不幸か、今村の顔は既に乾いていたので祓は今村の後ろに回した手の部分だけの服しか溶けなかった。
「……割り込んで申し訳ないが……我の城で治療する。」
チャーンドはしばらく黙ってその光景を眺めていたが、城へ連絡をして準備をさせ始めたので声をかける。
「あーじゃあ運んで。マジ動けん。」
「私がやります。」
投げやりな今村を祓がそのまま抱え上げ、俗に言うお姫様抱っこの状態になった。今村は嫌そうな顔をする。
「……何かなぁ……立場おかしくねぇかな……チャーンドがやればいいのに。」
「……その役得は殺し合いになりそうだからやめておこう……」
「私じゃ駄目ですか……?」
控えめに訊いてくる祓。今村は控えめに聞こえるそれに何故か恐ろしさを感じたのでそれ以上何も言えず祓に抱えられた。
そして一行はチャーンドの城に向かう。
祓はチャーンドに付いて行き、大きな水槽に黒い水が張ってある青白い光が差す部屋に入った。
「『恵みの間』だ。仁を水槽に浮かべろ。」
「……服を着たままでですか?」
「そうだ。」
祓は極々僅かに残念そうに今村をそっと黒い水に浮かべた。何故わざわざ服のことを尋ねたのか疑問に思いつつも今村は冷凍マグロの様に動かない。
「先生……大丈夫ですよね……?」
心配そうに今村に訊く祓。冷凍マグロはへらへら笑って答える。
「今んとこ大丈夫だがひっくり返ったら窒息死だな。」
その言葉に二人の顔つきが真剣になる。
「……交代制でずっと見張ります……?」
「誰かに任せるわけにはいかんな。」
二人の顔を見て今村はこいつら仲良くなったな~と思い、突き合わせようかどうか微妙に考えた。それに加えてつい思ったことが口から出る。
「……別に俺が死んでも困らんだろうに……何でそこまで心配するのやら……」
「……それ……本気で言ってるんですか……?」
まず祓が目に涙を浮かべて抗議してきた。若干バツが悪そうな顔になる今村。
「……聞こえてたか……」
「どれだけ……いや……我は心配などできる立場にいないか……」
チャーンドは悲しそうな顔をしてそう言った。そして祓の方を見る。
「……祓とか言ったな。仁は完治の為に少なくとも10日はここに居させる。そして仁。」
次に今村の方を見る。今村は飄々とマグロのままチャーンドに合いの手を入れる。
「あー? 気にすんなよ俺の言ったことなんざ。」
「……恩を仇で返した愚か者の償いのほんの一部だが主の部屋に式神を送る。結界を一度破壊するさせてもらうぞ……」
「いーよー」
ものすごい軽い今村に対して沈痛な面持ちのまま去っていくチャーンド。その後今村は一週間で体を治して地上に戻る。
更に今村たちが帰った後で「三途の川」を身ぐるみ剥がされた状態で漂っていた理事長が発見されたという報告が祓までに入った。
チャーンドに嫌われ、冥界から直通で地獄に送られた理事長は冥王の特権で浴び地獄に送られ、虫による拷問を精神体に与え続けられ、何度も死と組成を繰り返すことになる。
しかし、理事長の肉体の生存報告が今村の耳に届く三週間後まで誰も迎えに行くことはなかった。
ここまでありがとうございました!
……この後に説明回書くに当たって1章を携帯で見たんですけど……一話がめちゃくちゃ短いですね。キリが悪いとか言ってすみません……次章からは各話をもう少し長くします。ごめんなさい……
2016年4月3日追記
改めてここまでの文章を見ると凄まじいまでに脈絡のない文章だったので急いで簡易的に改稿しました。少人数向けのノリだったので痛々しい……途中から思いの外見て頂いているようだと判断したのである程度マシになってます。




