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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十九章~段落の間~
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1.小旅行のつもりが

 洞窟等での一件が終わってしばらくして今村のテンションがある程度いつもと同じ位に戻った現在、彼は地球の日本に来て満員電車に乗っていた。そして携帯を弄りながら実際は必要ないが一応吊り革を持って目的地に向かっていると不意に手を掴まれたので反射的に関節を極めて相手を睨みつける。


「っっっ!」

「……何だ?俺の携帯狙ったのか?」


 相手はどうやら高校生くらいの年齢の茶髪に染めた娘で、今村は現在多額の課金をしていたのを見て犯行に及んだのか?と思ったがどうやら違うようだ。


「ち、痴漢してたろ!あたしに!」

「……はぁ?俺が?」

「そう!あたしのお尻を厭らしい手つきで!」

「オイ、ガキ!俺の女に何してんだコラ?」


 今村は目の前の女が叫んで軽薄そうな男がこちらを睨んで恫喝して来たところで周囲の目を見てようやく状況が掴めた。


「あー、成程。冤罪を掛けようっていう話ね。どう思う?」


 今村は隣で自分の課金の量を見て軽く引いて噂し合っていた周囲のグループに声をかけてみた。


「いや、物理的に不可能だと思いますけど……」

「その人がさっき掴んだ手は数瞬前までもの凄いガチャ引いてましたしね…何時の間に仕舞ったのか分からない位の早業でしたけど…」

「大体手の高さが俺らの胸の少し下位でしたし……」


 青年たちがそんな感じのことを言っているのを聞いて周囲の今村を見る目が変わったのが空気で分かった。だが、目の前の自称カップルは引き下がらないようだ。


「はぁ!?千優ちひろが嘘ついたっつってんのか手前ら!あ゛ぁん?」

「あたしすっごい耐えたんだからがぁあぁああぁぁっ!」


(何かもうメンドイし殺そうかな……?いや、まぁこの国だと心臓麻痺でも状況次第じゃ他殺を疑うらしいしな…別に戦っても負けはしないが滅ぼすのは嫌だし適当に処理するか。)


 ということで今村は目の前の女の腕の壺を押して神経に直にやすりを掛けたかのような痛みを与えてから無理矢理顔を満面の笑みにして笑い声を上げさせると非常に引いた顔を作った。


「……何コレ?都会って変な奴が多いんだな……」

「あー……これ大丈夫なんですかね……?あと、都会って言ってもこんな人ばかりじゃないですよ。」

「ぎぼぢいぃぃぃいいっ!ぢょうぎぼぢぃぃいいっ!あ゛ははははばばばばばぁぁああ~っ!」


 この後次の駅で電車から降りる人が多数出て、一部が通報する中、今村は何かこのグループと2,3語話した後、同情がてらに今村が連れている電子精霊たちの緑の子のラバーストラップを貰ってから駅のホームから出て行った。


「お、にぃちゃーんっ!」

「……何でいるんだ?あ、姉貴も。」

「ひとくんがそこにいるから。」


 駅のホームを下りると何故かアリスとクロノが待ち受けていたので今村は非常に納得いかずに首を傾げるが、帰って来た返答も意味がよく分からないので深く考えないことにした。


「んー取り敢えず、帰れ。目立つ。」


 無言で携帯のカメラ機能を使って撮られている二人を前に今村は極僅かに振動を続けながら二人を帰らせにかかる。

 アリスは常人であれば罪悪感のあまり抱き締めにかかるくらいの表情を浮かべながらも負い目があるので大人しく去って行き、クロノは堂々とノーと言った。


「……エロ同人誌買いに行って来るからお前来れねぇよ?」

「お外で待ってる!」

「……じゃあ全部エロコーナーしか廻らない。」

「本当?じゃあクロノも後で見て勉強するね!」


 通報されかねない台詞を比較的大きな声で笑顔で言うクロノ。寧ろ時すでに遅く通報されたようで警察が来た。


「えー……失礼ですがお名前と、職業を訊いても?」

「神様の神に呪殺の呪で神呪かんのうで職ぎょ「クロノはクロノだよ!」」

「…………そちらの女の子との関係は…」


 職業は言えなかったんだがいいのだろうか?と思いながら今村は質問に答えた。


「他に「じゃないよ!お嫁さん候補!」ん……こいつが言ってるのは戯言。一応保護者代理人だな。これの親は育児放棄の上虐待してたから。」


 その内だんだんあたかも自分が誘拐犯であるかのような質問を重ねられ、ある程度楽しみできてたのにこの日だけで2件冤罪を掛けて来るとは中々イライラさせてくれるなぁ……と思いながら今村は警察の質問に答えた。

 そして、途中やたらとクロノの方を気にして、今村の方を敵意丸出しで睨んでくるので今村はその警察官の息子さんを覚醒状態にして話を聞くことにする。


「ぎっ!?え、えぇと、それを証め…っっぐ……出来る物…は…」

「っく……そんな物常に持ち歩いてるわけないでしょう…」


 制服のズボンの中にペットボトルを入れたかのような状態になっている警察官を前に今村は笑いを堪えながら質問に答える。


「そ、そうですか、では、本官はこれで……」

「あーちょっと道を尋ねたいんですが。」


 今村は術の段階を更に上げて全身の血液が薄くなっているのではないかと思われるほど顔色を悪くした警察官に質問する。


「はぁ…はぁ……な。はぁ…なんですか……?」

「……息荒いですけど大丈夫ですか?」

「す、少し体調が思わしくないだけです。おきひっ!おきづかいなきゅ。」


 この後ある程度虐めてやってからクロノに「息の荒いズボンを膨らませた人にはぁはぁ言いながら名前を訊かれた。」と通報させてからその場を去る。


「全く、やってらんねぇな。もういいや帰ろ。」


 今村は上がっていた分のテンションを全て無くしていつもと同じかそれ以下のテンションに下げてゲネシス・ムンドゥスへと帰って行った。




 此処までお疲れ様でございます。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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