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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十八章~四界滅亡?~
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14.彼は今自由です

(…何か竹輪ちくわ喰いたいな。作るか。)


 ミニアンとセイラン、それに瑠璃が何か白熱した議論を自分の間近で繰り広げているが今村は何となく竹輪を食べたくなったので魚のすり身を出して棒に塗り付けて炙り始めた。


「…仁?ふざけてないで何か言うべきことがあるんじゃないかなぁ~?」

「竹輪と蒲鉾かまぼこって作り方大体一緒だよな?でもなんかまとめて呼ぶことには違和感を感じると思わねぇ?」


 瑠璃が今村がしていることに冷たい目を向けていると今村は至極真面目にそう返した。辺りには良い匂いが漂い始めるが女性陣は酷く冷たい目で今村を見た。


「それで、この女の子は誰かな?僕に紹介してくれないかい?」

「まぁ極々珍しい俺の友神だな。前世で大体発生してから少年になった辺りの時にいた世界で同い年くらいだった近所の友神だ。この前言った俺が死んだときに悲しみそうな神。それ。」


 今村の一言を受けてミニアンが目を見開いて固まった。それに対して瑠璃はイライラするように腕を組んで今村に詰め寄る。


「悲しむどころじゃないんだけど?あぁイライラする……何でそういう時にボクも連れて行かないのかなぁ?君が死んだらボクだけ生きてても楽しくないってわかんない?」

「因みにアレな。死にに行ってくるっつって超止められたから沈めたあの時の出来事だ。」

「……あの時の。」


 瑠璃は奥歯を噛み砕きそうな勢いで苦い顔をした。セイランは言い辛そうな顔で焼きあがった竹輪の中にマヨネーズを捻じ込んでいる今村に訊いた。


「……もしかして、お兄様が私を匿ってくれていた時に言っていた結婚する可能性があった女性ですか…?」

「言ったっけ?ん~覚えてない。俺視点の記憶を見て転生の影響で忘れてるところを思い出してるんだが……そこは知らんな。【無尽】も役立たずだったなぁ。どうせなら全部記憶を寄越せばいい物をケチって今世分しか寄越さなかったし。」


 天野菜の水胡瓜でマヨネーズが飛び出ない様にサンドして竹輪を食べながら今村はぼやく。それに割って入るようにミニアンが言った。


「……僕の日本語は仁が気に入るものを覚えられるように設定してあるんだけど…聞くところじゃこの娘と僕は色々似た表現を使ってるし、信憑性はある…」

「ん?ほ、ホントなの仁!ボクのこと好き?」

「友神としてな。」


 瑠璃が苦い顔から一転してはしゃぐように今村に尋ねたが今村は一刀の下に斬り捨てる。しかしその程度でめげるようなら追い掛けて来ていない。


友愛フィリアでも大丈夫!ボクがその分補うよ!」

「首刈りてぇな。何だろう?凄く首を刈りたい気分だ。テンションが少し下がって来たっぽい。」


 全く話が噛み合っていないが今村は竹輪を焼いていた棒を一振りさせると立派な木刀に、それに仙氣を通して樹剣を作り上げた。


「あ、そろそろ離れて?じゃないと大っ嫌いになりそうだ。」


 その一言に酷く怯えた様子で身を震わせて原神2柱は退いた。今村は刀を振り振り軽い斬撃を飛ばしながら鼻歌でも歌いそうな状態で歩く。


「何をする気なんだい……?」

「滅ぼす。敵対世界を探すか~お、惜しいな。ライアーが敵対してたらこの前のお礼を兼ねた訪問をしようと思ったんだが…まぁディシーバーだし仕方ない。んじゃあ…ここに……でもなぁ。ここ滅ぼすと【勇敢なる者】が五月蠅そうだ。まぁ気にしないことにしてぶち殺す!yeah!」


 何か妙なテンションが上がってきた今村はそんなことを言いながら適当な世界を探して旅立った。












「ハロォ~君らの怨敵【飽くなき娯楽の探究者】ですよ~?」

「……!っぁ!?」


 到着と同時に今村は目の前にいた【勇敢なる者】印の甲冑に身を包んだ男の首を兜ごと宙に舞わせた。その一撃で竹輪の棒は役立たずと化し、今村は残念そうにそれを見る。


「『竹林丸』…お前の雄姿は忘れないぜ?」


 適当なことを言って今村は甲冑の男の近くにいた人物に向けて竹輪を焼いていた棒を投擲。それは目標の人物を貫通して遥か後方まで飛んで行った。今村は敬礼してそれを見送りつつローブでその他の面々を捻じ伏せにかかる。


「こ、こいつは!」

「【冥魔邪神】だ!すぐに【勇敢なる者】様へとご連絡ごぶっ!」

「チクるなよ~俺を殺すための秘密特訓なんだからみ~んなに秘密で……あー何かテンションが変になるだろ?」


 チクると竹輪が何か微妙にかかっていることに気付いて気恥ずかしげに今村は今いる場所である王城を粉々に吹き飛ばし、住民を根絶やしにした。


「カッ!やっぱ趣味が合わんな。正なる世界への阻止はしておいてよかった。」


 平常は完全に平等で平和で平安極まりないという歪みを与えられ、今村にだけ敵愾心を持つという訳のわからない仕様の世界の住人たちは今村のことを認識すると文字通り飛んできた。


「「「「「死ね。」」」」」

「これだから宗教ゾンビは…【勇敢なる者】教は怖いねぇ~?」


 そう言いながら今村は首を刎ねて行く。他のどの箇所も傷つけないように適当に首だけを狙って「呪刀」で切り裂いていく。その後ろでは雑に斬られて死んでいく者が多数。


 そんな面々は今村との戦いの中である時を迎えると斬られるのもお構いなしに一斉に跪くことになる。


「見つけたぞ。」

「見つかっちゃった♪」


 【勇敢なる者】の登場だ。その声を聴く前から今村はすでに準備を終えているので特に気負いなく彼と対峙する。


「お前ん所の嫁さんが俺の所に来て五月蠅いんだけど?いい加減引き取ってくんないかな?」


 返事は斬撃。今村を飲み込み、消し飛ばす途方もない勢いの斬撃が瞬時に消え、後に何も残っていないのを確認した【勇敢なる者】は怒気を露わにする。


「貴様が、誑かしておきながら……屑め。ようやく消えたか…」


 踵を返したその超至近距離で今村が煙のような体を集めて首を振りつつチッチッと舌を鳴らし人差し指を立てて左右に振っていた。そして、口を開く。


「誑かしてないよ~ボクむじゃいなのよさ。よさ、よさ、よさ、よさ、よさ、よさ、よさこい!よさこい!さぁ来い!え?あ、すみません。僕じくのお時間なので帰ります。」


 何だか意味の分からないことをして今村はこの世界を後にして元の世界に帰る前に限定生産50個のシュークリームを2ダース買って顰蹙を買いながら平等の世界では【勇敢なる者】が怒声を上げていることだろうとニヤニヤしてふと我に返った。


「……何やってんだろ俺。………まぁいっか。」


 でも特に気にしないことにして向かいのお店でガルボボとか言う不思議なお菓子を買ってジュエルティーと頂こうと元の世界へと帰って行った。




 ここまでありがとうございます。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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