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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十八章~四界滅亡?~
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10.キャラ崩壊

 登場と同時に罵倒を受けたアリスは表情を強張らせると、今村のすぐ近くに舞い降りて声音を僅かに冷たくして尋ねた。


「……本物。だよね?」

「ウゼェ。どの面さげてここに来てんだこの腐れ。悩み事をどうにかしたいっつってたから『憎禍僻嫌』を渡したのにまさか俺に使うとはな。驚いた。」


 話が噛み合わないが、取り敢えずアリスは弁明をする。


「それは……ひとく…【魔神大帝】が私が掛けた程度の術式も解けない不完全な状態で復活した時に変なのに騙されないようにって…」

「黙れ屑。俺がどうなろうと俺の勝手だろうが。お前がやったことは単に味方面して俺に呪いをかけたという事だ。後で何言われてもどうにもならん。事実は事実だしな。」


 登場した時と別の意味で涙目になって体が若干震えだすアリス。


「泣きゃぁいいのか?あぁん?お前幾つだよ?」

「ご、ごめんなさ…」

「謝りゃあいいのか?じゃあ今から俺もあんたにあんたが一番嫌がるような呪いをかけよう。さぁ、何がいいかな?思い浮かべようか?後で謝るよ。」


 両手で自分の体を抑えるようにしながら激しく震えだすアリス。今村は邪悪に嗤いながら続ける。


「はぁー……へぇ~……敵の癖に、俺の記憶がそんなに大事ですか。」

「や……やめて……それだけは……」

「何で自分の都合ばっかり押し付けるんかなぁ?ねぇ?自分は他人に自分の価値観を押し付けるのにねぇ?別に俺相手じゃなけりゃその辺いいんだが、俺の価値観を曲げようとする気?殺すよ?…あ、後、俺は俺に精神系の術を掛ける奴は大っ嫌いなんだがその程度のことも知らないんだし、他人つってもいい間柄だよね?」


 アリスは今村が自分の頭に手を伸ばしてくるのを視認して顔中を蒼白に染め上げて怯えながら涙を流す。本能が悲鳴を上げて逃げろと全力で警鐘を鳴らしているが逃げられないのは自分が一番知っている。


「あ…ぁぁ……」

「現実逃避は許さないよ?あらゆる奇跡が起きないように全力で、念を入れて記憶を封じさせてもらうから。安心して全ての記憶を失って廃人のようにその辺を徘徊すると良い。」


 この場にいた全員が凍りついて何もできない。動くのは今村だけだ。その今村はアリスの頭の上に手を置くと撫でた。


「ふぇ…?」

「って、普通なら言ってたし実行してたけど俺は今気分が良いから別にいいや。どっか知らん所でお幸せに~」


 一気に弛緩する空気。今村はすぐに手を引くと踵を返してその場から去ろうとした。しかし、話をそこで終わらせてしまってはアリスは今村に嫌われたままで終わると溶けた脳で考えて袖を引いて今村を止めた。


「あ?何か?言っとくけど調子乗んなよ?気紛れに殺すよ?」

「こ、殺されても、いいから……殺してもいいから、許して…」


 土下座外交でアリスは今村の顔を一切見ずに伏してお願いした。


「普通に嫌だが……ん~まぁ、じゃあタナトスかイグニスかトーイの誰かかもしくは全員に告って来て。そしたら面白いし。」

「ぅっ…………そ、そしたら、来世で会ったら、許してくれますか…?」

「ん?ん~……まぁ、多分。ってか告白して速攻で来世について考えるっておかしいよな?勿論告白した後付き合って、誰かと結婚して、子ども産んで、幸せな家庭を築いてもらうのに。」


 今村の鼻に新しい血の香が届いた。それと目の前の存在が揺らぎ、歪みだしているのも見て取れる。


「面倒臭いなこいつ。100回ぐらい死ねばいいのに。まぁそれは置いといて、どうしよっかなぁ……特に興味ないのにそんなに時間費やしてられんのだが…でも何もなしに許すのもアレだなぁ……ん~じゃ、後で考えることにして放置して宴会行って来るか。」


 今村はそう適当に言い残すと全員置き去りにしてヴァルゴが予約している手筈の居酒屋へと飛んで行った。















「それじゃかんぱーい。」

「ぱーい!」

「おっぱ「抉るぞマキア?」…ごめんなさい。」


 40階層掛けの結界を張った居酒屋で飲み会が開かれた。今日はキープしているボトルを全解禁して酔いどれる予定だ。


「あの~……私のは……」

「お前は微妙な立ち位置だったから、今日の食事も微妙。まぁでも天の皇帝にさせてみれば微妙でも普通からすると十分贅沢なもんだけどな。」


 ヴァルゴは子どものお酒と書かれたビールの様なもの。葡萄ジュースを少し苦くして炭酸水で割ったものなどとこの店のメニューが並んでいる。


「ふにゃ~おにいひゃんしゅき~」

「クロノ酒弱っ!」


 一杯目時点でふにゃふにゃに酔っ払ったクロノはローブに頬擦りをして食事そっちのけで甘え始める。


「クイズれしゅ!クロノが生まれたのはなんででしょ~!正解はお兄ちゃんがいるから~!クロノしゃんせーかいでーす!」

「おぉ。何か一人でアホなこと言ってる。こいつが生まれた時は俺まだ死んでたのに。こいつ定期的に酔わせて後でからかって遊ぼう。」


 今村がクロノが一人で変なクイズをして間違ったり正解しているのを眺めて嗤っている間にヴァルゴとマキアも酔い始めたようだ。


「ぅわぁあぁあああぁぁぁん!何で私はずぅっと成長しないんですか~!おっぱいぺったんですし!くびれも少ししかないですし!太腿も細いですし~!」

「運命の扉は今!あなたの目の前にある!先生が開くのです!私がそのすぐ後を行きます!皆で続きましょう!」


 ヴァルゴは泣き上手。マキアは謎だった。こんな場で一人酔わないのもアレなので今村も酔う事に決めて全身統制を解除して弱体化して酔い始めた。


「あークロノ~?酒いる~?」

「んにゃ~♪」

「残念飲みました!」

「にゃ…」

「そんなに飲みたいなら口移し?」

「!にゃぁあっ!にゃあ♡」


 この後、全員酔いつぶれて自動的に宴会が終わるまで当然のことながら今村は放置した人々のことなど思い出さなかったし、その後2日程度は完全に読書に没頭して全員のことを忘れていた。




 いつもありがとうございます。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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