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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十六章~遊びましょう~
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10.軽く引く

「お兄ちゃん…その人誰…?って言うより…何してるの…?」

「これ?変態。何で人に乗って来たのかは…楽だし。何か俺が持ってるはずの『エアライド』って騎乗のスキルの試しにこれがそうして欲しいって何回も言うから。」


 今村は四つん這いになっているマキアの背に乗って主要施設の道案内などを済ませてリビングに戻って来た。

 マキアを見て月美は微妙な顔に僅かな悔しさを混ぜ、クロノはちょっと引き、当のマキアは恍惚としている。


 今村はスキルやこの後の予定など別のことを考えているようだ。四つ這いになったマキアの背に乗ったまま考える様子を見てクロノは動揺し、僅かに引きながらも今村に言った。


「え…えぇと、クロノ…じゃなくて、私お兄ちゃんがそういう趣味なら…い、痛いの嫌だけど…が、頑張るよ!」

「ん?いや、別に俺はSMとか趣味ではないぞ?Sなら嗜む程度にはしてもいいが…進んで自分からさせてほしいとはたまにしか言わんと思う。」

「その時は是非このマキアをご使用くださいっ!」


 偶に言うんだ…とクロノはやっぱりまた引いたが許容範囲だし、この人に付いて行くと決めているので割り切ることにした。


「あ、月美さん。これも私の仕事ですので申し訳ないですが活動を自粛していただきますね。あ、まだ乗っててもらっても…生意気言ってすみません!お仕置きを!」

「面倒だから今回パス。」

「流石先生!焦らすんですね!…あ、取り敢えず越権行為だなぁ…と感じたら止めますね。」


 今村の行動に百面相の様に表情をころころ変えるマキア。月美は渋い顔になり、クロノはテーブルの上にあったお菓子を食べ終わったのでもっとないか妖精と話している。


 その間に今村は今日の予定を立て終えた。


「…んじゃ今日は正確なスキル名をそこのマキアに訊いた後軽い実戦して…大量にある本で読書するか。」

「あ!それならク…私も行く!」

「では僭越ながら私も…」


 今村の言葉を聞いて全員が動こうとしたが月美をマキアが止める。


「えーと…そこのロリ巨乳ちゃんはともかく…月美さんは他のことをしておられたらどうですかね?このお城にもギミックがたくさんあると思いますが、万一にも邪魔なものがあってそのギミックが発動せず…」


 この先を言われなくても月美は何が言いたいのか分かったようだ。


「分かっていますよ。ですから…」

「無駄に高速で動くあれはしない方がいいと思いますよ?先程地面に近い視線で床を見てましたけど床に傷がついてましたし。」


 四つ這い状態で恍惚な表情を浮かべて背中に全神経を注いでいても一応色々と見ているようだった。


「で、ですけど床はまた回復しますし…」


 月美は尚も引き下がらないがマキアもそれで手を緩めることはない。


「その魔力も元をたどれば先生の物ですよ?無駄にしたら…まぁ、私が来たからには先生の手を煩わせないで私の魔力でしますね!ってアレ?」


 マキアが地味にポイントを稼ごうと今村がいた所を見たがすでに今村はそこには居なかった。
















「お兄ちゃんさっきのは放って置いて良いの?」

「面倒だからいい。」


 だが今村にも思うところはあったので扱いについてはこの後何かしようと記憶の片隅に置いておく。


「それはおいといて、クロノって何気に強いよな?」

「え、うん一応…一回世界を滅ぼそうとした位だし…」


 もじもじしてとても可愛らしい外見で言っているが内容は破壊神そのものだ。しかし、その程度であれば今村にとっては想定内の扱いになる。


「まぁ…俺だしそれくらいはあるかもな…うん。確認したら何気に『主人公補正』とかいうスキルあったし。」


 この所為でカラフルズ(仮)がしつこく付きまとうのではないかと思う今村だが面白い物が舞い込んでくる確率を上げるというのにそれを下げるということをするはずがなく、放置している。


「まぁいいや。強いならちょいと付き合ってくれる?」

「え?戦うの?んー…でもなぁ…クロノの攻撃ってお兄ちゃんには全部意味ないし痛いの嫌だしなぁ…」


 それに好きな人に攻撃するのに乗り気でない。そんな感じのクロノに対して今村は既に「呪刀」を装備している。


「取り敢えずお試しで、ほら。俺が敵になる可能性だってあると思うよ?無抵抗でやられるのは嫌じゃね?」

「…お兄ちゃんが、敵…?…それなら、クロノはもうどこにもいられないし、何もないってことだよね…?だったら…何にもしないですぐに死んじゃった方がいいと思うよ…?」


 一瞬で黒い氣を漂わせてきたクロノを見て今村は危ういなぁ…と思ったがあんまり深く掘り下げないことにして別の切り口から攻めてみる。


「んじゃ、何か来た時に自衛できるように強くなるとか。」

「強く…そうだよね…お兄ちゃんクロノに内緒で勝手に危ないことするもんね…クロノがよわっちかったから…だもんね…」


 今度は何かやる気を出してくれたようなので今村は右手持ちの「呪刀」を構え、クロノが「呪刀」と同じく刀身が黒い「クロノスブレード」を出して構えるのを待った。


「んじゃ…」

「…あ、先に私の能力の説明ね?『時間』に関する…」


 万一にも怪我をさせて嫌われたくないのでクロノがそう言ったその瞬間、今村の目が妖しく光ってクロノとの距離を一瞬で移動した。


「っ!?」


 クロノはあまりの速さと今村に対する警戒心の薄さからそれを予測も抵抗も全くできずに「クロノスブレード」を落とす。

 「クロノスブレード」は何の抵抗もなく戦闘場の地面に突き刺さった後儚く消えた。


「…じゃないか。」


 今村の呟き、それは誰にも聞きとられなかった。しかし、続く言葉は大音量で近くにいる者であればだれでも聞き取ることが出来る。


「最っ高じゃねぇかよ!ひゃははははは!クロノ?俺は個人的にね時間に関する能力って反則急に強いと思ってんだよ。」

「え、うん…」


 クロノの目は今村が取った手に注がれている。一瞬で距離を詰められた後、「呪刀」が勝手に動いたかのように「クロノスブレード」をずたずたに切断。落下した後初めて斬られたことに気付いたかのように「クロノスブレード」は折れた。


 その後役目を終えたとばかりに「呪刀」は今村の右手に収まり、今の状態になったのだ。


「ということで、多分能力に幅があるはずだから…開発しよっか。」

「う…うん…」


 この日、今村は自分のトレーニングのこと、そしてマキアなどのことを思い出すことはなかったという。


 ただ、読書だけはしっかり時間を取って電子精霊に歌わせている空間で好きな曲のメドレーを注文し、BGMの中で楽しんだ。







 ここまでありがとうございました。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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