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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十六章~遊びましょう~
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8.帰って来るよ

「終わった。何か調べた結果と大分違う結末迎えてしまったけどまぁいっか。」


 今村はRPG世界での活動を終えて城に戻って来た。


 本来の終わり方では勇者の一人が魔王の娘だと判明した後、その一人が責任を…と言って魔界を切り離し、世界を平和にすると目論む。

 しかし、その結果太古の時代に魔族と人族、それに精霊たちにより封印していた邪神が目覚めて残されたモノだけで戦うというストーリーだったらしい。


 今村は魔王の娘を軽く受け止めた後、王国と魔界に飛んで戦争の根本的な理由を調べた後にやにやしながら叩きつけようとして邪神の存在を知る。

 そして操られていた。誰も悪くないという話に行き当たったのでテンションを下げてその後封印状態の邪神を物も言わずにぶち殺して終了させたのだ。


 後処理の所為で時間の流れの感覚が歪んでしまっているが特に問題はない。


「…うにゅ…ふぁ…お兄ちゃんが帰って来た…こっち、こっち…」


 そして戻って来た今村は部屋の前で枕を抱えて半分以上寝ているように見えるクロノを発見した。


「クロノね…待ってた間…お利口さんにしてたよ…?」

「んー…それは頑張ったな。」


 何と言ったらいいのかよく分からないのでとりあえず褒めておく。クロノは目を擦りながら続けた。


「ねむい…でね…?お部屋…入れなかったから待ってたの…」

「部屋に入れなかった?鍵はかかってなかったはずだが…?」

「かかってるよぅ…ここ…」


 今村はクロノに与えた部屋に付いて行っていたのだがクロノは今村の部屋について言っているらしい。今村は少々思案してから頷いた。


「なるほど。親代わり的なことをしてたのか。託児所でおそらく月美とか言う人に面倒を看させてたと思ってたんだが…」

「違うよぉ…?」


 黒髪ロリ巨乳を引き取るしか情報がなかったのでその辺適当だったのだが今回の話を聞いて多少面倒を看る気になった。


「まぁ居場所が出来るまでは俺が何とかすればいいんだな。じゃ、寝るか。…因みに俺が反応できてなかった攻撃、それと悪意に対してはオートで過剰防衛的な反撃するから。襲おうとか変なことは考えんなよ?」

「そういうのは…今はだいじょぶ…もうねむい…」


 クロノと今村の間で襲うの意味は異なるが、話の流れにはあまり影響がないので気付かずに目を眠そうに擦るクロノと一緒に寝室に入る。


「ふぁ…おやすみ…」

「うん。」


 クロノが今村の後ろから付いて来て今村のローブの端を掴みながら移動するので今村が先にベッドに入りクロノはそれに続いて入ってから今村の腕を取ってから寝た。


(近いな……あ、風呂に入ってない。何か嫌な気分だが…そう言えば何かできそうな気がするな…表皮の汚れを消し飛ばす的な…)


 そう思っていたら出来た。次いで今村の顔付近に紙が舞い降りて来る。それを見て今村は歪んだ笑みを浮かべ、思わずテンションを上げて叫びそうになるのを堪えた。


(あの世界は全部本物なのかよ…無数にある観測可能な一つ下の位の世界で…設定と思ってたのが世界の理を捻じ曲げる『魔法』で細々とRPGとかやってた時の魔法と思ってたのが『魔術』か…ククククク…面白くなって来たなぁ…)


 テンションが上がって寝る気が薄れてきた今村は取り敢えず隣で安らかに寝息を立てている童女を見た。彼女は今村が動こうとすると眠りが浅くなる気配がする。


(…ここだけが安全地帯だとでも言わんばかりの状態だな…この子の過去に何があったのかねぇ?まぁ話されない限りは訊かんが…)


 目の前の童女は人間ではない。と言うより寧ろ今村が知っている一般的な生物のそれとは違う。それくらいはいくら目が悪い今村でもこの至近距離で見ればわかった。

 表皮が滑らか過ぎる。その割にカラフルズの回避方法が不味く少し土砂が飛んできたときに確認したが、非常に硬い。しかし、先程顔を摺り寄せられた時はすべすべとしており、柔らかかった。

 また、髪の毛や眉、睫毛などは生えているのに毛穴は見当たらない。産毛も存在しない。


(…まぁその件に関しては俺も同じだが…)


 自分の体も変異している。だがその辺はもう変わっていることなので気にしないことにしている。


(あ~…取り敢えず寝るか。)


 上がっていたテンションがいい感じに落ちて来てそれに伴い体温も低下している感じがしてきたので今村はそのまま身を委ねて眠りについた。



















 翌日。


 クロノの眠りが浅くなってきて起きそうな気配を感じたので今村はその前に起きた。


(…寝たいだけ寝たい…)


 クロノの寝相は比較的に良かった。今村は基本的に寝ると動かないのだがそれにぴったり寄り添うように眠ってくれていたので煩わしさは感じない。


「…ぅ…ん…」


 クロノはまだ目を閉じたままで身を起こそうとした今村のローブを引っ張って自分の下に引き寄せようとする。

 しかし何の抵抗も感じずに今村は身を起こすことに成功する。そして今村は違和感に気付いた。


「…ローブが伸びてる。」


 その呟きは関係ないだろうがクロノも目を覚ました。


「お兄ちゃんだぁ…えへへ…お早うございます。」

「ん。あぁおはよう。」


 寝起きではにかむクロノは可愛いのだが今村はローブの方が気になった。試しに念じてみると勝手に縮んでくれたのでそれを見て今村はローブを動かしまくってみた。


「おぉ…余った生地はどこから来てるんだろうな…ん?また紙か…ふむ。『飛髪操衣』ねぇ…字面からして髪も操れるのか…?そうっぽいな。」

「ふぁぁあ…朝の準備たいそー?」

「毛根大丈夫かね…?あ、そう言えばなくなってたんだった…んじゃこれは何だろうか…まぁ深くは考えるまい。」

「おにーちゃん?」


 今村は自分の考察について色々考えてみて、そう言えば…とばかりに自分が思い付く限りの能力を信じてやってみた。

 その間のクロノの呼びかけはガン無視だ。


 結果、ベッドが紙で埋もれた。しかも一々目を通すのは面倒だったので適当に見ていく内に演算能力やら並行思考やら改造が進む。


「はっ!頭痛ぇなこりゃ…使いこなせ…そうだし。ん~やっぱ普通と思ってる状態でも普通じゃないんだなぁ…」

「お兄ちゃんクロノ無視しないで…」


 ここでようやく涙目になっているクロノが何かを言っていることに気が付いた。寝起きで着崩され、上目遣いという年上好きですらロリコンに改造しかねない可愛さだが自分の状態を知ってテンションを上げている今村には効果が薄い。


「お、何?踊りたい?」

「んーん…クロノはお兄ちゃんと遊びたい…でもその前にお腹空いた…お兄ちゃんと一緒にご飯食べに行きたい…」

「そうか。じゃあ行くか。」


 そしてその言葉を受けて更に紙が一枚舞い降りて今村の料理スキルも戻って来たがもうあまり気にしないで2人揃って食事に出た。




 ここまでありがとうございました。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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