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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十六章~遊びましょう~
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2.腐ってやがる…

 ゲーム世界での初日が終わり、家に帰り寝る前に操作をしようと思ってウィンドウを開くと今村はゲームの外、月美から連絡が入っていたことに気付いた。


「ん~?何か来たって?勝手に追い返せばいいのに…」


 とは言うものの、あの城は今村のために作られている物なので月美が使うことは出来ない。仕方がないのでスキップしてフェイズを進めようとする作業は止めて一度城に帰ることにする。


 そして戻った先ですぐ開けたモニターを見ると、赤髪のスタイルがおかしい美女と白髪のスタイルのいい美少女、それに空色の髪をした美幼女がこの世界に来ていた。


「…お、美人さんだね。頭カラフル。」


 今村はモニターでアップして端的にそう言う。


 それを受けて月美は今村が今までとは何か違うことをするのではないか?と僅かながら期待した。そしてその直後、今村は月美には何かよく分からないボタンを押す。


 結果、モニター内には綺麗さっぱり誰も残っていなかった。その上空間の亀裂付近には剣山が備え付けられた上、落とし穴、投石器、砦、擬人兵などの防衛態勢が整えられる。


「ゴミ掃除完了。じゃ。」


 月美が呆気にとられる中、今村は事もなさ気にそう言ってゲーム内に戻って行こうとして―――その歩みを止めた。


「あぁ…ちょっと体が鈍るとよくないし…行く前に軽く運動するかね…『内心氣大発剄』…」


 月美は今村が記憶無しでも氣を操っているのを見てもう呆れの域に達する視線を向けた。一応氣は無属性で呼吸を変えているとはいえ、常人ではできないことを軽くやってのけてから急に鍛え始めたのだ。


「…あー…機具がないと飽きるんだよなこれ…今の気分は傾斜付きの台で150度腹筋ってところだな。…お、探せばあるのか。」


 その後今村は電子精霊を侍らせてアップテンポの曲の中で筋トレを終え、食事を済ませると食休みを入れてから本当にゲーム世界に戻って行った。



















 ゲーム内では次のイベントがある時間までスキップした。次のイベントとは何の脈絡もなく登下校の道に不良が現れてサポートキャラが理不尽な暴行に遭い、ヒロインにも魔の手が伸びる―――


 そこで不良系イケメンとの出会いが訪れる。というものだ。そして、


「くたばれっ!」


 今村は本日のサポートキャラとしてのお勤めを全力で蹴っ飛ばして不良をボコっていた。能力が使えなくとも今村は普通に人間レベルではチート級の戦闘力を誇るので不良は手をあらぬ方向に曲げられている。


 骨は折れ、関節を極めてから折った腕の肘からは骨が見えているほどの重症で今村は最初は手加減していたものの途中から不死身っぽいと気付いたので目や関節を破壊して血塗れにしているのだが彼らは動く。


「ふぅ…これでもまだやるってマジ尊敬!俺にはできねぇぜ!そこで痺れろ!あ、焦げろ!」


 ゾンビの様にそれでも戦いを挑んでくる不良たちに背景用の落雷を浴びせて殺しにかかるが、彼らは体が若干炭化したがそれでも向かってくる。


「…何かここまで来れば逆に凄い。」

「ふ…ふぇぇええぇ…怖いよぉ~っ!」


 隣のミホりんは今村の後ろから決して前に出ない。そんな状態を見て今村は彼女に軽く言う。


「先に学校に行ってれば?」

「…でも、そしたら…次のイベントまで来ないんだよね…?」

「当然!怠いし!だりゃぁっ!」


 そんな会話をしながら今村は体勢を低くして足を封じようとした不良を蹴り飛ばし、近付いてきた別の相手の拳を躱してカウンター気味に胸に掌底を打ち込んでその後僅かに停止したと思ったら一瞬だけ全身を震わせた。


「『透し』…でもダメか…もう本当にこいつら人間辞めてるな。」


 常人であれば心臓にのみ衝撃を与えられることで軽く死ねるのだが彼らは元気にしていた。というより血などが止まって回復している。


「…あ、」


 そんな中、今村は不良イケメンキャラが不気味な物を見る目でこちらを見た後逃げていく様子を見かける。


 そしてこのイベントは不成功だと判断したのか不良と思われし化物たちは力尽きて…その後何事もなかったかのように骨やらを収納して撤収して行った。


「…これが…世界の意思ってやつか…成程こえぇな。ところでミホりんだっけ?今急になんとなく言うけど生徒会長と付き合ってみない?」

「ミホりん採用なんですね…って、生徒会長だけは嫌ですよ!ヤンデレじゃないですか!どんなルート選んでも最低1回は拘束されて監禁されるんですよ!?」


 今村は突っ込みに満足しながらこのゲームの中で2週以降しか出ないアイテムの小瓶を手で弄った。それを目ざとく見つけたヒロインは顔を引き攣らせる。


「あ…それ…『リビドーの媚薬』ですよね…?アイコンの瓶と全く同じ形ですし…それを誰に…」

「ウチのクラスの担任とクラス委員長を同じ部屋に閉じ込めて遊ぶ。えーと…」


 今村は本来であればヒロインがクラス委員長が頼まれた資料整頓を手伝っている時に閉じ込められて…というイベントを今起こすことにした。


 因みに本来の1週目だと選択肢も出ずにヒロインの飲みかけのお茶を飲んで関節キスイベントになる。

 そして1週目を一定金額以上を残した状態でクリアした後に媚薬を購入すると関節キスは…と委員長の方から言って来て媚薬を飲んで乙ゲーの年齢規制D(17歳未満お断り)の展開になるルートが出るというイベントだ。


 そして今村はそれを男二人きりにして使おうと目論んでいるのだ。


「だ、駄目だよ!委員長は生徒会長の年上鬼畜責め…じゃなくて!あれ…その…あれだから!」

「どれ?」


 どうやら彼女は腐っているらしい。主に、性癖が。


「ふむ…俺はその辺どうでもいいんだがなぁ…」


 小説の影響を受けて遊びに来ている今村はカップリングとかは心底どうでもいいと思っている。しかし、ヒロインはそこに妥協を許さなかった。


「隣の席の彼は絶対ヘタレ受けにすべきで、相手は委員長!ストレートに好意を伝えられて最初は困る委員長だけど、ツンデレ気質も相まって≪中略≫…で、校長と生徒会長は校長のがっつり大人受け!生徒会長が俺様系にふるまうんだけどやっぱり校長には勝てずにしだいに校長のペースに乗せられて≪中略≫…んで!部活だとやっぱり≪後略≫…」


 今村は無言で小瓶をそっとしまった。そして目の前のヒロインの可憐な少女の皮を被った同行者を見る。


「う腐腐腐腐フフフフ…そうか…私がやるべきことはこれだったんだ…」


 彼女は未だどこか別の世界にいるようだ。


 今村は業の深さに引き、話だけで飽きたのでここを出るために考えられる方法のリストだけを残して城に帰って行った。




 ここまでありがとうございました!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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