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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十五章~彼の思うがままに~
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7.地獄でまた会いましょう

 祓が目を覚ますと目の前で今まで見たことがないレベルの美女と美幼女が今にも実力行使をしそうな剣幕で言い争っていた。


(…?誰……私は………ここで、何を…?)


 頭に靄がかかったような感じがするままその場に座ると目の前の美女と美幼女はついに実力行使に出た。その様子を見て鬱陶しげに思った祓は能力を行使しようとして思い出す。


(……あ、………この人たち…知ってる人か………私には関係ないけど……)


 この人たちと何か関係があることで自分の能力がなくなっていたことを思い出す祓だが、その内容は思い出せない。ただ、何となく不快感が現れるだけだ。


 そんな内心について考えていると目の前でしばらく激しく争っていたものの互角だった二人は全面戦争の準備をすると言ってどこかに消えて行った。


(………戦争……私には…関係ないか…………何をしよう…?)


 祓は取り敢えずひたすら料理をすることにしてみた。


















「バルちゃん逃げんなよ~こっち来て遊ぼうぜ~?」

「おーにごっこおーにごっこたーのしいなー♪」

「よし、んじゃこの空間に対して…」

「『タームバック』♪」


 今村とクロノは地獄に来ていた。そして何故か急に再出没したバルバロスを追い掛け回して材料の確保を行っている。


「あ~…何気に【全】の馬鹿の再封印で疲れてんだからさぁ…大人しくして?」

「殺す?」


 空間を移動したはずのバルバロスは何故か移動できていないということを理解すると咆哮を上げ何とか呪縛から逃れようとするがそれはできなかった。


「あ!こういう時って大魔王からは逃げられないって言うんだよね!?」

「…まぁ俺はそれの最高位らしいが…大体合ってる。」


 にこやかに「クロノスブレード」を構えて空を手刀で斬るかのような滑らかさでバルバロスの鱗を切り裂くクロノ。今村はその痛みに叫ぶバルバロスの大きく開いた口に自作のお菓子を投げ入れる。


「おぉ…何か一瞬恍惚な顔になったが顔を引き締めてる。何か蹂躪されるのが好きなタイプの堕とされる女騎士みたい。」

「どんな意味~?」

「クロノはまだ知らなくていいよ?」


 口の端に油断がまだ残っているバルバロスにもうひと押しで堕ちるか!?と考えた今村は「αモード」になってレベル8のお菓子(マカロン)のようなもの(ピンク・緑・ベージュ・金・銀・透明の6種)を手に出した。


「これはさぁ…おぉっと。」


 近くにいるクロノに説明をしようと思った瞬間、クロノがマカロンのようなもの目掛けてダイブして来た。


「はっ!」


 クロノは一瞬で意識を取り戻したが、視線はその6種のマカロンモドキに釘付けで今村がクロノで遊ぶようにマカロンモドキを左右に揺らすとクロノもそれを追って顔を左右に向ける。

 今村はそうして遊びながらクロノに簡潔に説明をする。


「…まぁ要するに魔性のスウィーツ(笑)だから俺も『αモード(これ)』じゃないと欲望に負けて自分で喰っちゃうんだよね~そうれっと。」

「あぁっ!勿体ない!」


 クロノはバルバロスの口に向けて投げられたマカロンモドキ6種を見て悲しげな声を上げるがバルバロスは歓喜の声を上げた。


「え?何?ペットになるって?そうだね~…君を飼うなら魔牛とかそういうのが主食に…え?あぁうん。大きさとか能力によって味が変わるあの牛。知ってるんだ。おぉ~乗り気だね。んじゃ行っとく?」


 今村が閉鎖空間への道を開けるとバルバロスはその中に突っ込んで行った。その後ろ姿を見ながら今村は満足気に頷く。


「よし。…ん?」


 そして気付くとクロノがローブの袖を引いており…その奥では先程「憎禍僻嫌」の薬を霧状にして飲ませた地獄の女帝…


「…何でこいつがこんなに早くここに…ってか直帰でここに来たってことか…私怨で俺を殺しに城に報告もなしで…上司としては失格だな…いや、まぁ仕事はしてから来てたんだからまぁ…」

「どうでもいいけどマカロン食べたい…」


 取り敢えずお子様におやつを与えて腸ご機嫌にしてから目の前の地獄女帝を睨みつけると地獄女帝の顔が仄かに朱くなっており、息が微かに上気しているのに気が付いた。


「……そこの方。名をお聴きさせてくれぬかの?妾はサラ・ドラゴニカル・ヘヨルミと申すのじゃが…」

「…?『憎禍僻嫌』が効いてない…?」


 今村は薬の有効期限が切れたか…?と一瞬だけ思うが、そんなものは存在していないとすぐに考えを改める。その間にもサラは聞いてて鳥肌が立つような美辞麗句をほざいていた。

 そんな中で今村が気になったのはこれが2度目の邂逅だという彼女の話だ。


(…記憶まで取れてない…?いや、おかしいだろそれは…確実に盗ったはず…記憶の補正による一時的な混濁か…?)


 そして、美辞麗句集の中にやたらと美形であることを言及してくるので今村のイライラも募る。


「…俺が華が恥らうほどの尊顔持ち…?お前目玉腐り果ててんのか…?」

「んー?お兄ちゃん気付いてないの~?はいっ!」


 マカロンによる刹那トリップを済ませたクロノが自空間から小型の鏡を出して今村に手渡す。それを見て今村は一瞬で鏡をぶち抜いたがその一瞬で自分の顔について認識した。


「…な、何でクロノの鏡壊したの…?」

「あー…俺の顔を映しやがったから…悪いとは思ってるが…にしても。」


 今村はご機嫌取り代わりにマカロン(メタリックブルー)をクロノに与えて2度目のトリップをさせておく。


「『αモード(このモード)』は顔まで前世にしやがるのか…んで、目の前の馬鹿は俺と今の俺を別物認識してると。」


 対象が違うので記憶も盗れていないし、薬の効果もない。それならば元の顔に戻ればいいだけだ。


「『αモード』解除。」

「なぁっ…?」


 先程までの顔を一転させたサラを見て皮肉気で楽しげな顔を作ると今村はその場を一瞬で後にした。


「あっ!待ってー!『ィ…ッ』」


 クロノは小声で何か唱えながら今村が開いた空間の後を追う。そして激しい嫌悪感に包まれていたサラはその嫌悪感の中に得体の知れないものを感じて不審な顔をしながらその場に立ち竦んだ。


「…状態異常かの…?先程の不自然な嫌悪感にしろ…今の妙な気分にしろおかしいのじゃ…何かあるのぅ…」


 サラは目を蛇のように細めながらそう言って彼女の居城に向かって全力で帰って行った。




 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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