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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十五章~彼の思うがままに~
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3.突っ込まない

(…今、何か…)


 祓は見知らぬ男と子ども二人が通るのを見て何故か気付けば歩みを別方向にしようとしていた自分に気付いた。


「祓、どうした?」

「い…いえ。」


 少し後ろから相馬が祓に声をかけて来た。祓はいつもなら(・・・・・)声を掛けられただけで心が温まるはずなのだが今日は色々とおかしかった。


(…歩調が合わない…これは無意識でもできるようにしてたはずなのに…)


 いつもであれば(・・・・・・・)少し後ろから付いて行くようになるはずなのに今日は追い越し気味になってしまう。


 そういったいつもであれば(・・・・・・・)が今日はやたらと多いのだ。先程にしても自分にとっての先生以外の異性に目を向けるなど絶対に行わないはずなのに…


(何で…?)


 相談しようにも何故か相談できそうな相手は相馬しかいない。ミーシャたちはいないのだ。


「あー…にしても毎日ありがとな。祓の作ったもんって世界一だと思うよ。」

「いえ…先生には…」


 祓は胸中にもやもやした物を抱えたまま明日からの臨海学校に始まる今日の予定から話を始めた。















「ちょ…あ、ロリぺド先生!」


 今村は無言で目の前で暴言を吐いたエリナを串刺しにした。何となく気に入らなかったのだ。


「かっふ…」


 何が起きたのか全く理解できずに血を吐くエリナを見下した後今村は隣でローブの袖を握っていたクロノを見る。


「クロノ。」

「…うん。」


 今目の前で起きたことはなかったことになり、テイクツーで今村は話を聞く。


「LP先生!キッチンが大変なことになってるんですけど!ぅっふぅ…ん…ぅぁあっえ、あ…な…何…?」


 エリナは急に自分の下腹部を見て怪訝な顔をし、激しく身悶えし始めた後艶っぽい声を出して服を濡らし始めた。

 クロノは罵詈雑言を受けたと思われる今村の為にエリナをもう一回殺バラそうとした手を止め、変な物を見る目に帰る。


「え?」

「い…きゃ…だ、ダメぇ…いやぁああっ!あっ…あぁ…はぁ…」


 目の前で急に大変なことになった少女を玄関先に放置して今村は中に入った。


「…パパ…さっきのは…」

「変態だったな。気にしない気にしない。…あ、発情してる魔王の娘に貞操の危機が来てら。」


 時折弱々しく震えているエリナの下にザ・ヲタクみたいな人物が現れ、アスファルトのシミとエリナを幾度か見てにっちゃりとした笑みを浮かべるとこの場での汚食事ではなくテイクアウトを選択していた。


 今村はその光景を受けてふと思い出したことをみゅうとクロノに話してみる。


「…にしても俺の携帯によるとみゅうはこの前行ったろ?日本。」

「うん。パパに想いをやっと伝えれたところだよね?」


 今村は少々微妙な顔をしたがそれはいいことにして続ける。


「…そこじゃ最近道歩いてる子どもにお早うって挨拶しただけで通報されるらしいな。」

「ん~…色々大変な世の中だよね…」

「た、助けて!」


 エリナが何か言っているようだが日馬の部屋の中で時折爆発音のようなものが聞えている方が気になるのでそちらの方が気になる。


「…あ、でも面白いこと考えた。」


 今村がそう言うとザ・ヲタッキーの人は急に前屈みになってエリナを落とした。エリナが無様な感じで転がる。


「さぁ、立ち直るのはどっちが早いかなぁ…?」


 ズボンの収縮を一巡し、ズボンの一部を濡らした彼とフラフラしているエリナを見比べた結果、男の方が早かった。


「…まぁでも家主の嫁だしな。」


 今村はそう呟いてエリナを「錯視錯覚」で見えなくしたローブで吊るして回収し、家の中に入った。


「…もう少し、考えた…」


 逆さ吊りにされ、下着が見えるというみっともない姿をさらしたエリナが抗議するのを黙殺して今村がキッチンに入ると宙に浮いた卵に電流が走り爆発していた。


「…え?何コレ。」

「おぉ仁。…このフライパンがおかしいんじゃが…妾の炎で料理しようとすると溶けるのじゃ。」


 サラの目の前のコンロはガスを捻っているわけでもなく蒼炎。可燃ガスの影響でもなく、ましてや酸化銅を入れて炎色反応が起きているのでもなく、単純に高温なのだ。


「こっちのレンジも調子が悪いみたいなので直に電撃を浴びせてみました~調節が難しいですね~」


 ヴァルゴはヴァルゴで卵を熱そうとして爆破したらしい。今村は自身の道具を貸していたのが仇となり普通の調理が出来なくなっている二人を見て嘆息した。


「はぁ…」

「私直すね!『タイムバック』!」


 今村とクロノ以外の全員から色が抜け落ち、この場が元の状態に戻って行く。何気に理不尽な調理…もとい超理を行っていたようだ。


「…ウケる。何か変だと思ったらガス台の金属が気化してたのか。」

「…みゅうの方が料理上手!」

「まぁ、確かに。」


 というよりこれ以上下手な者はあまりいないと思う。


「…ん?仁か…いつからそこにいたのじゃ?」

「6兆年と1夜前。その辺はどうでもいいとしてメシはあるから。」


 今村はそう言ってリビングにある椅子に座ると「魔合成物質」と言ってから和食を出した。


「にゃぁ…」

「ぐるるるる…」


 すると食事の魚の匂いに釣られたのか白猫と黒猫がやってきてねだるように鳴いたのでその分も出す。


 彼女たちはそこで猫耳幼女化したが、今村としては目の前で待っているクロノとみゅうの食事が欲しそうな顔に目を向けているのでその辺は気にすることもなく適当だ。


 この後、エリナが何か気に入らなかったので全員分の朝食を出して敗北感を叩きこんでやると白狼くんの歓迎会のために材料採取をすることになった。


「まずは…『星の欠片』だな『星の岬』に行かねぇと。」

「…岬ですか~?泳ぎます~?」

「泳げば?『ウェアーアップフレーム』」


 今村はみゅうに呪具とカタログを貸してから「ワープホール」を形成。しかし途中で思い直して取り敢えず今日は適当に寝ることにした。


 その後、日馬が一大事を知ったから魔界に送って欲しいと言ったので騙して「星の岬」に一緒に連れて行った。


「…ヒー君見過ぎ。」

「い、いや…でも…な。」


 「星の岬」に着いた一行。サラは何かもう凄まじいプロポーションを赤いフリンジの三角ビキニに包み、クロノも大概おかしな胸囲を黒色のタンキニに包んでいた。

 みゅうは白のフリルで飾られているワンピース型の水着でヴァルゴはペンギン型の着ぐるみ。今村はいつもの黒ローブだ。 


「クロノ海で遊ぶの初めて!何するの!?…アレ?お兄ちゃん?」

「さ、流石と言うか…いや今村先生は…もう男辞めてますよね…」

「失敬な。俺は結構変態だぞ?」


 今村はそう言いながら女性陣に見向きもせずに黒ローブで海の中に直進して行った。取り敢えずサラ、ヴァルゴ、クロノ、みゅうはそれを追い掛ける。


「うわぁ…お兄ちゃん…綺麗だね…」

「お、鰯の群れだ。確保確保。」


 銀のイリュージョンにも見えるそれを今村は海底から見上げ、「トリオンニードル」を使って射殺し腸抜きまで済ませる。


 海中は一気に血生臭くなった。そして一行は無言になって海中を進むことになる。




 ここまでありがとうございます。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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