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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第一章~最初の一年前半戦~
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29.間違えた

 学校に着いた今村は校門にもの凄い人だかりができているのを見て何事かと思いつつ駐輪場に自転車を置いて校内に入った。


(何で野郎ばっかり……野郎歌舞伎でも始めんのか? おい見たいなそれ。)


 勝手な妄想でニヤニヤしながら人混みの中をすり抜けていく今村。そこでふと違和感に気付いた。


(……何であの野郎どもの中にうちの学校の制服姿の学生がいないんだ? もしかして……)


 思い当たる節があった今村は腕時計を見て日付を確認し、思わず声に出して後悔する。


「今日創立記念日で学校休みだった……しくった……」


 休むことに全力で休日を全部記憶していた今村は舌打ちする。


(まぁいい運動になったとしよう……さっさと帰ろ……)


 そう思っていると今村を呼び止める声が野郎歌舞伎おとこたちの集団の中心の方から聞こえてきた。


「誰だ! って……まぁこの声は祓だな。」


 祓が人混みの中から今村の方にやって来た。


「どうしたんですか?」

「間違えた。」


 端的に事実を告げる今村。祓は少し微妙な顔をしたが丁度良かったとばかりに続ける。


「あの……スミマセンが私も理事長も今日は用事があるので『幻夜げんやの館』は今日開きません……」

「あぁそう。じゃあ……まぁ帰るかな。じゃあねまた明日……ぁ、お前の誕生日にな~」

「! はいっ!」


 今村はそう言って踵を返し何故か襲い掛かってくる男を殴って沈めたりしながら学校から出ていく。その後ろ姿を見送り祓は呟いた。


「これから……仕事か。」












「……何かプレゼント渡さないとダメなんだろうなぁ……急激に行く気なくなってきたわ……」


 家に着いてすぐに後悔しはじめた今村。とにかく休みなのに早起きしてしまったことが気に入らないので二度寝しようと試みる。しかし目が冴えて寝れなかった。


「あー……そうだ……こないだ治療に来てくれてたしチャーンドに礼でも言いに行くか。」


 病気になってから一か月が経過しようとしていたこの時点で今村は急にそう思い付くとチャーンドから貰った宝玉を出して告げる。


「『冥門めいもん開界』」


 光に包まれると今村は冥界に行った。




 今村の視界に映ったのは執務室のような場所で大きなテーブルの上に書類が二つ程30㎝の高さに積み上げられている間にいるチャーンドの姿だった。


「よぉ。この前は世話になった……にしても忙しそうだな。」

「……仁か。」


 今村が声をかけるとチャーンドは顔を上げた。今村は邪魔しては不味いかと思いすぐに部屋から出ようとする。


「まぁ少し待て。すぐに終わらせるから……」


 そう言うとチャーンドは先程のスピードとは段違いの速度で書類を片付けだした。これなら早く終わるかなと思った今村は「呪具招来」で書庫を出し、小説を読み始める。

 今村が小説を読み終えるころには山のようにあったチャーンドの仕事も終わっており、チャーンドは人を呼んでいた。


「お呼びですか?」


 タキシードを着た初老の紳士が音もなく現れ、チャーンドに用件をうかがう。


「あぁ、今日の午後の予定は全部キャンセルだ。」

「……わかりました。では失礼します。」


 そう言って初老の紳士が下がるとチャーンドは「今日の予定全部キャンセルって……」と呟く今村に綺麗な笑顔で笑いかけた。


「では、冥界の案内をさせてもらおう。」











 その頃、『幻夜の館』にて……


「祓君。今日の仕事は冥界にいる妖女イシュアバルの抹殺です。」

「……はい。」

「特徴は男を誑かすその美貌と強力な言霊の力。彼女は言霊の力が強力な為戦いや術をかけるとき以外は基本的に喋りませんので気付かれる前に一気に始末します。」

「はい。」

「では昨日の内に準備は済ませてますね? 行きますよ?」

「はい。」


 二人は転移陣に乗って冥界に向かった。




 ここまでありがとうございました!


 因みに祓さんの誕生日は11月22日です。今村くんは創立記念の翌日だったので覚えました。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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