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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十五章~彼の思うがままに~
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1.対白狼戦準備のようなもの

「さ、て、と。流石というべき11族『否定と拒絶』を司る赤狼族の族長さんの家に突撃!」

「「いえーい!」」


 今村は「復讐法ハンムラビ」と「ドレインキューブ・セオイアル」の合成効果をレジストした一行、日馬たちの家にみゅうとクロノを連れて移動していた。


 要件は余計なことをしないように釘を刺し、ついでにからかって遊ぶというものだ。


「んじゃ意味のない嫌がらせ的なアレ…」


 玄関先まで着くと今村は家の中、それもインターフォンの会話口の辺りにチャイムの音だけ鳴るように音を届け、その直後に本物を鳴らした。


「…今出ま…あ、えっと…今村さんですか…」

「よう。」


 今村は軽く手を挙げて出て来た日馬に応じる。彼は今村が創った仮想世界でいくらか強くなり、世間を学んでいた。


「…あぁ…酷い人ですね。最っ低な女タラシさんでしたかね?」


 その奥で自称魔王の娘、エリナ・セフィタナン・メルサス・ファシトが今村を睨んでいた。彼女は日馬が修行していたころ、「幻夜の館」にお世話になっていたのでそこにいた人たちの想いを知っていた。


 その為、今回の暴挙に出た今村が嫌いになっていたのだ。その上、ロリ巨乳の美幼女と銀髪美幼女を連れているのだから印象は最悪だ。


「…ロリぺドさんですか…」

「エリー。ちょっと黙ってた方がいいぞ。この方相手にそんな口を利いたら無礼討ちで殺され…」

「ヒー君がいるから大丈夫だよね?」


 目の前で桃色空間を展開し何か始めた二人を見て今村は無言で岩塩を出して咀嚼し始めた。


「お兄ちゃん何してるのー?」

「いや、あまりにも甘い雰囲気出しやがるから中和しようと…」


 今村はニヤニヤ顔を日馬に向けながら軽く注視するように思考誘導を掛け、そして冷静にならせてアタフタさせた。


「い、いやその…」

「せめて中でやろうぜ?っと…変な誤解はするなよ~?」


 マキアであれば確実に誤変換させてリフレインする所だが、生憎と言っていいか彼女の消息は未だに掴めないのでそんなことはない。


 取り敢えず、日馬は今村を家の中に入れた。



















「…んで…俺らに何の用ですか?」

「ん~?白黒コンビの治療を終わらせに来た。あ、ついでに若干寝泊りする。」

「私とヒーくんの愛の巣でそこの女の子二人と何するつもりですか!?」


 敵愾心丸出しでエリナが今村を威嚇するので今村は無言でエリナに「自聴他黙」を掛けて静かになってもらった。


 そして日馬の方を見ると彼は顎に手を当て少し俯きながら首を傾げ今村に尋ねる。


「…部屋…ですか。何でですか?今村さんなら自空間も持ってるし、別宅も…」

「ノリ。」


 簡潔に答えた今村の答えに普通なら納得いかないところだが今村が相手なので日馬も無理矢理納得した。

 ただ、彼の部屋を貸すわけにもいかないし、だからといって同居している少女の部屋を渡すわけにもいかない。


 そして今村と美幼女たち全員が過ごすことが出来るスペースを確保するという事になったら…と日馬は考えて今村に切り出した。


「…元々地縛霊がいたんですけど…そこでいいなら…」

「どこでもいいよ。『ドレインキューブ』」


 今村は話し合いの最中に(今村)が来たという事で別室で大人しく待機をしている白黒コンビの猫耳幼女の回復をした。これを以て彼女たちは完全回復したことになる。


 それを何となく理解した日馬は今村に治療の礼を言う。


「まずはありがとうございます。…えぇと…それで…」


 そして日馬が本来の要件は何だろうか、と今村に切り出そうとしたところでまたもインターフォンが鳴った。


「…何か来た。『自聴他黙』解除。」


 今村たちは誰が来たのか一瞬で分かったがそれを日馬に知らせるべく口に出すことはない。特に訊かせるつもりもなく呟くと話し合いをしている日馬の代わりにエリナが玄関口へと出て行った。


「ぅえっ!?な、何で…?」

「何じゃ?主らは隠すつもりだったのか?」

「…にしてはお粗末ですよ~仁さんのやる気の欠片も見当たりませんし~」


 この声を聴いて日馬も誰が来たのか分かったようだ。どこか疲れた顔をして今村に告げた。


「…地獄女帝さんと天帝さんですか…」

「う~ん…ちゃんと10階から安全に落としたんだが…何の用かね?」

「殺す?」

「消し潰す?」


 今村の話を聞いてお話合いということで静かにしていたが、話して良さそうだったので物騒な返しをする美幼女たち。今村は取り敢えずお菓子を与えて黙らせた。


「…それVRMMOで見たんですけど…」

「それと同じだよ。1枚で軽く1日は満腹になりカロリーも摂取できるアレ。こいつらは特別製だから別にその辺気にしないでいい。」


 そんな話をしているとサラとヴァルゴがエリナを連れて部屋の中へと入って来た。


「『自聴他黙』なしで…静かになったと思ったら…何があったかと思えば…」

「何かこの人が仁さんのことを馬鹿にしてくるので処理してました~」


 エリナは軽くボロボロにされて引き連れられてきた。今村はそれを見て軽く嘆息してクロノに戻すように頼んだ。


「ん~?何で?嫌な奴だよね?このまま死んじゃった方がいいと思うよ?」

「ダメ。一応俺の中のルールに抵触してないから回復。」

「お兄ちゃんが言うならするけど…『タイムバック』」


 この後記憶も含めてすべて巻き戻されたエリナが今村を指さしてまた罵詈雑言を吐いたので吊るされ、一度またやり直しを受けてから話は進んだ。


「ふむ。つまり仁はここに住むと。」

「ん~若干違うけどまぁそんな感じ?今回はバトルマニアは引っ込んでた方がいいぞ文字通り次元が違うし。」

「…別にバトルマニアじゃないんじゃがの…」


 サラの呟きには興味がないので今村は次の工程をみゅうとクロノに話した。


「えーと、まずやることは簡易的な小規模の新しい世界を勝手に創る事。んで、最悪の事態を予定すると10年は5柱神から隠し通せる設定で。」

「5ちゅー神?」


 クロノが聞いたことがないといった風に質問すると今村が答えた。


「第3世界の管理神。5行に基づいて構成されてるが…まぁ今代のバランスは金の1強。任命当時は『木』が何か強かったとか聞くが…今はそうでもないらしい。」

「それにバレなきゃいいの?」

「バレたら色々手続き取る必要があるから怠い。その辺はみゅうに任せる。」


 みゅうは口にチョコチップクッキーを頬張りながら片手を勢いよく挙手して念話で了承した。


「んで、俺は今からは草案書いて、夜中になったら『幻夜の館』に戻って10年分のお菓子作りする。」

「お菓子!」


 クロノは目をキラキラさせながら反応し、それを受けてヴァルゴがふと思い立ったかのように今村に告げた。


「…そう言えば仁さん~天界にも新しいお菓子が出来て来たんですよ~持ってきますね~」

「む。地獄にもあるぞ。妾も持って来るのじゃ。」


 ヴァルゴに負けないようにサラもそう言って両者は各々の領地へと戻って行った。


「食べ比べか。まぁ楽しそうだしいっか。さて、取り敢えずはユース君の受け入れ態勢を整えないとな~…まずは入って来てからの即死トラップは必需品だろ…?」


 今村はそう言って楽しそうに図面を引きながら日馬に案内される部屋に移動して行った。




 ここまでありがとうございました。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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