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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十四章~変革の時間~
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11.処遇

 取り敢えず今村たちは近くにあった公園へと向かい、そのベンチの一角に座った。


 クロノは未だに泣いている。可愛らしい顔立ちに大きな胸、それに似合うからという理由で渡されたゴスロリという出で立ちから非っ常に目立つ。


 その上脅威の胸囲を持つ美女サラにあどけない顔立ちで眠る白銀の髪をした美幼女みゅう。また完全ロリヴァルゴまでいるのだから人目を引くのは当然のことだろう。


「…うぅ…ぁう…」

「ん~…この世界の金は信用貨幣か…金貨じゃないならどうするかね…ナンバリングもしてあるだろうし…金塊を出しても困られるだけだろうな…創ってもいいけどどうしよっかなぁ…」


 だが今村は今は金のことを考えているのでその辺は放っておいている。ただバレない贋金を作るのは何となく今回気が進まないのだ。やるならバレても問題ない一品を創りたいと思う。


「うぇ…ひっぐ…今村様ぁ…」

「…今は様付けは止めろ。ちょっと変な目で見られてるから。」


 流石にギョッとされたのでそこは訂正しておく。すると何やら考えていたサラが急に今村に言った。


「…!閃いたぞ!妾と仁が夫婦でこやつらは娘という設定が一番じゃ!」

「黙ってろ小娘。お前外見20行かないくらいだからな?」


 今村の外見は16時点で止まっている。ヴァルゴは何とかならないでもないかもしれないが、みゅうは厳しいだろう。クロノは無理だ。


「むぅ…やはり次案かの…そこのは仁の妹の設定でどうじゃ?」


 ふと妹と聞いて記憶を盗った家族のことを思い出すが顔を忘れていた。


 しかし、性格がウザかったのは覚えているので首を振ろうとしたところクロノが泣き止んでこちらを見ていた。


「…お兄ちゃん…?今村様クロノのお兄ちゃんになってくれるの…?」

「今村様は止めろっつっただろうが。」

「お兄ちゃん…お兄ちゃんっ!」


 今村は好きにすればいいやと諦めた。この特異点に対しても術式は掛けるので改竄点は簡単にしておけば後々矛盾が減る。その為名前呼びよりはこちらの方がいいかな…と諦めた。


「ぅあうあう……お兄ちゃんだよぉ…」

「…顔を拭いてからにして欲しかった…」


 座っている今村のローブにしがみついて顔を埋めて来られたので今村はちょっと嫌な顔をした。


(…まぁいいや、今はそれよりみゅうが回復するまでどうするかだよな…思ったより【時刻神】が歯ごたえ無くて時間が余った。)


 戻したのは良かったが、人が動き出したので外にいれば人目を引く。クロノの能力を出させて時間を止めて休憩させようかと思ったが、みゅうがレジストする気配はなく今村に全て委ねて眠っているのでその案は却下された。


「…それより仁さん~…本当にその子を連れて帰るんですか~?危険じゃ…」

「あ?文句あんの?」


 ヴァルゴが言い終わる前に被せて今村はヴァルゴの方を据わった目で見た。ヴァルゴは顔を俯かせる。


「いえ~…一応斬られた身としては色々思うところがあるんですよ~…」

「ふーん。まぁもう会わなければいい。クロノちゃんだっけ?あれはヴァルゴっていう第3世界の天帝だ。会わないように注意しないと殺し合いになるから気を付けろよ~」

「…うん。クロ…私、お兄ちゃんが引き取ってくれるからもう大丈夫だよ!」

「え、あ、ちょ…ちょっと待ってくれませんか~?仁さんと一緒に住む気なんですけどその子いますよね~?」


 今村はヴァルゴが言っている意味が分からなかった。


「…一緒に住む?普通に嫌だけど…まぁクロノは仕方ないとしてもだが…何でお前も?」

「その辺は色々あるんですよ~…もう斬られたことはいいとしてもですが離れ離れは嫌ですよ~?」

「…逆じゃね?」


 今村は突っ込みを入れるが今はそんな事よりやることが結構あるので捨て置くことにする。


 差し当たっては人だかりができ始めたこの場所から逃げ出すことだ。



















「さて、個室が欲しい。」

「ご休憩じゃな。」

「…はぁ…残念な奴…」


 サラの言葉に今村は憐みの視線を向けてやった。今村はサラが発言の意味を分かっていても馬鹿にするし意味が分かっていなくともからかうつもりだ。


 しかし、少々予定と違う者がいた。


「お兄ちゃん休憩しに行くんだよね?何でこの人を残念扱いしてるの~?」

「…『鑑定視』」


 今村はこの黒髪のロリ巨乳の年齢を視て発言内容を考慮することにする。普通に精神年齢が高ければカマトトぶってんじゃねぇと鼻で笑う予定だ。


 結果。


「…おぅ精神年齢10歳…肉体年齢118歳……乖離し過ぎじゃね…?どんな…『呪式照符』…」


 今村はクロノの置かれた状況を知ろうと能力を行使した。しかし、「呪式照符」の方にはerrorと出る。

 今の今村の能力値が低いのか彼女の能力値が高いのか分からないが読むことは出来なさそうだ。


「…まぁいっか。」

「ねぇねぇ何で何で?」

「こいつが変態だから残念扱いした。…ん~」


 クロノがサラの方に色々質問し始める中、今村は自空間への扉を出すかどうか検討し、サラ、ヴァルゴ、クロノ、と揃った状態であまり信用していない戦力が多いことを踏まえて諦める。


(…悪意・敵意・その他に自動対応の『復讐法ハンムラビ』があるから俺はあんまり問題ないが…やっぱ中のモノに色々あったら困るしな…)


「金が要るな…」

「お金?クロノ持ってるよ!身につけた物以外に『タイムバック』したからこれがあれば何でもできるって言ってたから持ってたの!」


 今村はクロノが言ったことを簡潔に速攻でまとめて間違っていないか確認のために尋ね返す。


「…えーと、要するに金を持ってれば何でもできるって言われて渡されていた分を身に着けていた。んで、時間を巻き戻す術の際に自身と身に着けていた物は術の対象外だったからそのままあるってわけだな?」


 クロノは元気良く頷いた。今村は後でクロノの知的水準を上げ、精神年齢はさておき、日常生活での問題の改善をすることに決める。


(…まぁ文化とかマナーは基本生活に根差すものだからその辺はどうしようもないけどな…俺にとっての問題は何とかすることにして…)


「じゃあ『ミダス王の右腕』。」


 今村は植木の中にあった枝を拾ってそれを金の枝に変え、それをクロノに渡した。


「おーぴかぴか~!」

「交換して?」

「えーと…クロノのポーチ…あった!あげる!」


 何気に超小型自空間圧縮ボックスだった。それを目の端で確認しながら今村はクロノが今村に渡してきた金額を見る。


「…札束だな…周りの物価指数的に考えて相当なもんだ…そんなに要らない…」

「ク…私の物はお兄ちゃんに全部あげる!」

「…必要な分だけ貰うわ。」


 今村はそう言って一つの束の半分程度を受け取り、辺りを見渡す。


「…ホテルはねぇかな…」

「ホテル?んーと…多分前に壊したよ!あっち!」


 若干物騒な言い方だったが、まぁいいことにして今村はクロノの案内に従って移動して行く。


「…あー…確かに合ってるが…うん。」


 そしてこの後今村は暖簾が付いている夢のお城へと案内されてとても微妙な顔をすることになる。




 ここまでありがとうございます。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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