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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十三章~強化年間~
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6.お洋服

「仁さん~!」


 美幼女だ。元気がいい美幼女が俺を見て笑顔で手を振っている。…上空から落下してきながら。

 そのまま突っ込んで来たら【復讐法ハンムラビ】の餌食だろうな~と思いながらその場に立っていると案の定飛び込んで来たのでもの凄い勢いで上空に帰って行った。


「おー飛んだ飛んだ。」


 何とも言えない顔で隣にいる祓が上空を見上げている。うん。今日は突き抜けるような青さの空だなぁ…曇らせよっかな?


「酷くないですか~?」


 次に落下して来た時は普通に俺の少し前に着陸して文句言ってきた。


「久し振りの再会というのにの…」

「此間も会ったろうが…」


 ちょっと前に横から突撃して来て同じく【復讐法ハンムラビ】によって弾き飛ばされたサラが恨めし気に言う。

 因みにサラに関しては建物などへの影響が心配だったので祓に抱きとめてもらった。その後何かひどいことを言われたようなので聴覚を喪失したりもしたが現在は平常運転だ。


「さて、とりあえず今日は携帯を買うってことで良いんだな?」

「それがあればいつでもどこでも仁と話せるのじゃろ?」

「…アポ取って来いや。」


 テメェらと俺の会話は基本的に重要機密事項だろうが…何楽しようとしてんだこいつら…


 俺の死んだ目によるジト目で居心地が悪くなったのか、はたまたキモい面しといて何が来いじゃコラ?的なことを感じたのか聞えない罵詈雑言を言ってきたので俺はまたスルーしておく。


 正直どうでもいいし。つーかこいつらと歩くと場違い感が半端ないのな。軽く死にたくなる。…まぁ大抵いつも死にたくはなってんだけど。


「じゃ行くか。まずサラは服を着ろ。」

「?着ておるが?」

「それは布だ。服じゃねぇ。ほら前何かドレス着てたじゃねぇかアレ的な奴。」


 といっても、普通の世界でドレスもどうかと思うが、今村は大抵ローブなので何とも言えない。

 だが一応、対外的には違和感がないようにジーンズ、シャツ、パーカーにジャンバー的な視覚情報が与えられるようにはなっている。


「…んー…服やに行くか…ヴァルゴもヴァルゴで酷いし…」


 ヴァルゴはフリルのついた純白のドレスだ。因みに祓はこれが終わればすぐに授業に戻るので灰色のスーツとなっている。


(カオス極まりない…)


 「幻夜の館」ではそんなに問題はないが町に出るには問題しかない。とりあえず間に合わせで「ウェアーアップフレーム」を通しておく。


「むぐっ…仁…これ痛いんじゃが…」

「…じゃあ男物しかないな…」


 一応今村の「ウェアーアップフレーム」には自治区の通販で販売されているサイズ、Kカップまでの下着はデータに入っているのだがサラはそれが今にもはちきれそうになっている。


(…つまり、トップとアンダーの差が35センチ以上という事になるな…)


 とりあえずは地獄産の下着の様な服を下に着せ、その上に胸が目立たないような服を着せたが…


「…何か…もうオーダーメイドしかないか。魔具なら速攻で作れる。」


 子どもに大人の服を与えたかのようになっていたので今村は面倒だが新しく服を作ることにした。


「ちょいと『幻夜の館』に戻るか。」


 ということで服飾関係の人がいるところに戻った。



















「あ、ご主人様!」

「こっちではその呼び方やめろっつったよな?」


 着くと同時に今村が拾った時、最年長で奴隷のまとめ役を担っていた元少女が顔を上げて今村を歓迎した。


「えっと…そちらの方々は?」

「服がないから服を作って欲しくてな。」

「あーはい。急ぎですかね?」

「それなりに。」


 そう言われた女性は手にメジャーを持ってサラを図る。


「トップが101…アンダーが59…フフフ…42…Mですか…死に番ですね。」


 彼女は暗い笑みを浮かべながらサラから離れる。そして幽鬼を思わせるオーラを漂わせてぶつぶつ呟き始めた。


「…不条理だ…世の中はまだまだ悪意に満ちている…私の胸の栄養分はああいう人に盗られたんだ…子供時代に奴隷だったから栄養が足りなかったから…ハハ…言い訳は止めましょうか。だって同じ境遇だったあの子はEなのだもの!」


 鬼気迫る表情で手はきちんと服を作っている。その間、今村たちはどういった顔をしていいのか分からなかった。


「サイズが多少足りないのは知ってるし…もう成長の見込みないから仕方ないけどデザインが良いなって思って見てただけなのに店員がこっちに来て…分かってますよええ。私に合うサイズじゃないことは。そんな顔しないでくれませんか?別に在庫確認とかしなくて結構です。自分でアレンジしたの作りますし。…下着あがりました。今から服にかかりますね…立体縫いかぁ…」


 一瞬普通に戻った彼女に安堵したが次の瞬間には般若が宿っていた。


「だからなかったからって別にいいって言ってんだろ。私のサイズが一般的だから売れちゃってる?気を遣ってるつもりですか?小さすぎてあまり生産されてないのは知ってますよ?自分の胸に手を当ててもう一回言ってみてくれませんか?いや、いいです。その豊かな胸に手をあてたらわかっちゃいますもんね!フフフフ…あぁぁああぁぁ…憎いよぉ…スタイルじゃないって言ってるけどそれでも祓さんたちの巨乳を見てる男が憎いよぉ…悪気はないんだろうけど抉って来る女も憎いよぉ…これ以上私のこころをえぐらないでよぉ…何でここはスタイルも顔も良い人しかいないんだよぉ…出来ました…」

「…うん。頑張ってね…」


 とてもデリケートな問題なのでワンピースのようになっている服を受け取りながらそれだけ言っておく。

 が、その今村の手を見て彼女は何かを閃いたようで手を掴んで今村を正面から見据えた。


「…揉んでください。何かごしゅ…今村さんなら何とかできそうな気がするんで。それとも何ですか?揉むほどの胸がないと?事実ですけど凹みますね…ははっ凹むと言ってもこれ以上凹んだら抉れちゃうんですけど(笑)。」


 童顔の可愛らしい顔で乾いた笑いをする彼女の前では言えないが、今村の手によってその部分にだけ脂肪分を貯蔵できないのかと言われると答えは出来るだ。


 確かに触れれば体の余分な肉をその箇所に集めることは可能なのだ。しかし最初に移動してくるのは心臓の部分から。なので気を遣って行わければならない何気に大変な作業となる。


「何なら内部にミサイルでも突っ込んで構いません…20過ぎてるんでさほど気にしなくはなってるんですけど……けど…そう言う人が来るからぁ…」


 彼女はサラを―――正確にはその胸を睨みつける。サラは格下の相手にもかかわらず気迫負けしていた。


「わ、妾が悪いのかのぅ…?」

半分(21)寄越せ。それで私はGカップになる。」


 目がマジだった。


「あなたはEになって既製品の物が買える。私もGになって祓さんに勝てる。」


 因みに祓はFだ。ヴァルゴは…幼女だ気にしないでいい。


「いい案じゃないですかね?」

「ちょ…ちょっとそれは…」

「え?祓さんがくれるんですか?」


 ぐりんっとばかりに顔を祓に向ける彼女はホラー映画に出て来る悪霊が宿った人形のような顔をしていた。


「いや…その…あげたりできるものじゃないですし…それにこれは先生のために頑張って来たので…」


 何となく怒りの矛先がこちらに向かって来そうだったので今村は逃げの一手を打つことにして全員で逃げ出した。




 ここまでありがとうございます…

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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