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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十三章~強化年間~
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3.ごちゃごちゃ

(…外が暗くなってる。今何時かね?…6時ちょっとか。って…何だこれ…)


「お早うございます…」

「あぁこんばんは。何してんだ?」


 左を下にして横向きに寝ていた今村は仰向けになると若干何かに阻まれはしているものの白髪の美少女の顔が上に来ているのと同時に顔の下にむにむにした何かがあることに気付いた。


「膝枕ですけど…?」


 祓はやってみたかったのでやったと釈明。今村は溜息で返す。


「なしな。男にそう言うのはしない方がいい…まぁでも相馬にはしてやれ。」

「嫌です。そんなことするぐらいなら足を切り落とした方がマシです。」

「………そう。」


 真面目なトーンで嫌そうにしている祓を見て今村は少々がっかりすると同時にてけてけさんを召喚してやろうかと考えたが、部屋が血まみれで汚くなるからやめておくことにする。


(…まぁでも嫌よ嫌よもって言うしな~それだけ意識してれば何かの拍子にコロッと行きそうなものだ。…にしても「スレイバーアンデッド」の所為とはいえ…接触過多な気がするんだよなぁ…相馬が可哀想。)


 可哀想なのは相馬ではない気がするが今村は相馬を憐れんだ。


 祓と今村を繋ぎとめておく鎖「スレイバーアンデッド」は使役関係を結ぶ代わりに術者は「氣」を送る必要がある。

 今回の様に自立している場合ではあまり必要ないのだが、それでも術の本式としての一定の枷が出ていると今村は推測している。


 つまり繋ぎ止めている鎖によっても誤解が作られているのだ。それに「恋愛視」とも言える目の反応に頼っているので、一向に気付くこともない。


「ところで先生。マッサージを…」

「食事の後にする。…あー予約入れとくか。」


 今村は携帯を置いてきたので自力で電波的な何かを飛ばした。しかし、予約はすでに埋まっているらしい。


「ちっ…使えねぇ…」

「あ…あの、私やりますよ…?」

「気を遣わなくていいよ。呼ぶし。もしもーし。」


 今村は今度は直通の念話を始めた。


 ―――ちょっ…「破邪剣聖」!え、お頭?今世界を救ってるんですけど…―――

「え?知らんよそんなん。」


 スピーカーの様に部屋の中に音が響き、爆撃の音も聞こえてきたので今村はその音が外に伝わる前に遮音結界を張った。


「あのさー「ドゴォンッ!」お前マッサージ上手かったよな?」

 ―――まぁ…それなりには?っと念話中だっての!「グランクル」!でそれが何スか?―――

「今から来てくんない?」

 ―――あーちょっと待ってくださいねー―――


 電話先で相談的な何かとふざけるな!といった声が上がっている。しばらくすると電話先の人物は念話に集中しに戻った。


 ―――大丈夫みたい「テメェ!この世界がどうなってもいいのかよ!」です―――

「あーじゃ頼「念話先の方!お願いします!この世界は今存亡の淵に立たされているのです!邪神アグレリアスを倒さなければ世界は闇に包まれ、全ては無に帰ってしまいます!」む。「大賢者レギリオン様が居なくなれば邪神を封印する手立てがなくなってしまいます!マッサージが何の比喩であるのかはよく分かりませんがそちらは急ぎのご用件ではないはずです!」…」


 何か気位の高そうな人の声が聞こえてきた。が、今村は今マッサージを受けたい気分なのだ。世界のことなんざ知らん。


「外部の人間に頼らないと終わる世界なら終わってしまえ。大体その世界創った神が壊そうとしてんのならその世界は終わりのお知らせだろ。」

「あの…マッサージなら私がしますって…いや、させてください。」


 祓が会話に口を出すが、今村は少し手で制した。


「キサラズ。…あぁレギ何とか?アグレリアスって不法?」

 ―――…ま、バラしてもいっか。まぁ邪神は邪教徒とかいうのが創ったように見せかけてるッすけど、この世界に時限式で元々組まれていたシステムの一つっす。何も知らずに消えるのは可哀想だから封印措置しよっかな~って思いましたけどまぁ正直どっちでもいっすわ。後レギリオンっす。―――


 向こうは絶句しているようだ。ついでに敵の攻撃も止んでいる。それどころか敵がこちらに話かけてきた。


「異世界の者よ…我はアグレリアス。傲慢なるダークエルフを滅ぼし、其に組し蛆の様に湧く人間を滅ぼす者だ。」

「ハロー。知らない人だよ~何してんの?」


 直後、ジュッという音と共に「敬語」という端的な言葉が聞こえて邪神の口調が変わった。


「…ヌシは何者でしょうか…?」

「…キャラ崩壊するからどっちでもよかったのに。そうだね~【悪魔の申し子】がいいかな。」


 さっき寝る前に思い出していた自分の異名を使う。第1世界の相手に迂闊に名乗るのはあまりよくないことだからだ。


 とはいっても問題事ウェルカムな今村は基本適当に名乗っているが。


「あ、ってかレグマリオン?マッサージは食後…後シャワー浴びた後だから。」

 ―――じゃあ結構時間に余裕ある感じですか。―――

「ってか何かしてくれるらしいからもういいや。」

 ―――あーそッスか。じゃあまた来週~―――

「おう。」


 念話を切った。そして今村はこの後普通に食事をしてシャワーを浴びる。


「では、失礼します…」

「……ちょっと意味わかんない。」


 世界がどうこうということで祓にマッサージをしてもらうことになったが、何故か祓は今村の背に座ると一度ぴったり身をくっつけた。


「あ、暖めてるんです…」

「いや…あぁそう…」


 正直に言うと跳ねのけられるので適当な嘘をでっちあげる。勘違いならウェルカムだし、放っておかれても問題はない。


「まずは…ギュッとしますね?」


 この後、祓は肌の色と艶が一層よくなるまで今村に触れることができた。
















 そしてそれが終わった夜更け。今村は祓が眠っている中、目を覚ます。一応目を開ける前に周囲の反応を伺い、こちらの部屋に注意を向けながら部屋の外にいて気配を消しているつもりの者が2名。

 室内で寝ている者が1名。それと、自分が居るのを確認して目を開けて…何故か寝る前には別々の布団だったのにこちらの布団に祓がいるのを確認して溜息をつく。


(やっぱ無意識に「スレイバーアンデッド」の効果が出てるな…夜の眠りの時は俺の領域に入って意識を向けられてたら起きるしな…)


 実際は寝る必要のない今村だが趣味で寝ている。気持ちの整理などの寝るでは害意に対する結界が必要な眠りにつくが、習慣的な眠りの場合はそう言う物は必要なく起きれるのだ。

 それにかからないという事は何の意図もなしにここにいるということだ。


 実際の所は無意識レベルで祓が今村に近付いていたいということだが、そんな無意識は聞いたことがないので考えだにしない。


「さぁて…今村くんの実験こ~な~…フフフフフフフフフ…さぁ…外の人たち…先に謝っとく。ごめんね?」


 祓をそっと引き剥がし、一瞬顔を歪めて何かを探している素振りを見せる祓に「配素氣流」で毛布に自分の「氣」を込めて抱かせ祓を落ち着けると今村は態々自治区の外に来た理由を行った。




 ここまでありがとうございます。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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