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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十二章~生徒と学校~
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10.お家造り

「じゃあ俺は工事始めるから。」


 何となくノリで緑の文字で安全第一を書かれている黄色いヘルメットを被ってローブを作業着状態にした今村はミーシャにそう告げた。


「…まぁ…はい…確かに「幻夜の館」を建て増ししただけじゃ狭くなってきましたしね…でも、今村さんの部屋と同じ階に私の部屋を入れてくださいよ?」

「それ図面見て言ってんのか?」


 今村に言われてミーシャは図面を見る。そしてまだ可愛らしいの範疇に入っている美顔を引き攣らせた。


「寮…ですよね…?」

「おう。」

「何で一階の通路にギロチンが舞ってるんですか…?」

「防犯上仕方なく。」


 今村はミーシャの質問ににっこり笑って答える。


「…まぁ、最悪その辺はいいでしょう…外に復活地点とあるのもいろいろ訊きたいところがありますが、今は良いです。」


 結構よくない気がするが、ミーシャはそれで片付けた。


「ですけど!今村さんのいる10階!誰も辿りつけないでしょう!?『呪炎』『呪水』『呪風』『呪雷』『呪土』『呪樹』『呪金』『呪光』『呪闇』『呪音』…その他20種類の『カースシリーズ』に『破壊魔導』、『神仙術』に『妖邪気縛り』、あとこのチョコレートの木って何ですか!?」

「チョコレートの木はチョコレートの木だ。美味しいよ。ホワイトとビターとミルクそれに…」

「何で急にそんな優しいものが!?」

「まぁ来たやつを養分にする予定だけど。」

「やっぱり優しくなかった!」


 ミーシャは今村に突っ込みを入れまくっている。今村はそれに満足しつつ説明を入れていく。


「罠が発動するのはその階に部屋を持ってない時だけだよ。上の階に行くほど部屋の内装が豪華になる。因みに予定じゃ8階くらいが生徒たちの限界かな。…例外は除くが…」


 先日のマキアのことを思い出しながら今村はそう言った。因みにそこで初めてマキアとの一件も寮を造ることへの理由だという事を告げた。

 そしてミーシャが思案顔になる。


「…確かに…マキアさんだけズルいですね。」

「…ついでに1階の一部に聴覚を失う場所を作ろ。お前ら聴覚が急になくなるってどんな気分か味わえ。視力超弱体化と…不安増幅器も付けてっと…」


 今村はミーシャに渡した地図ではなく自分の頭の中にある設計図にその辺を付け加えておいた。


「…今村さん。造りたいんですよね…?」

「うん。最悪誰も住まなくても俺だけ10階に住む。仕事は…まぁレジェクエレジェンドクエスターズに関しては俺が居なくても特に問題ないし最悪放っておいても…」

「やる気に大きな問題が出るので仕事には顔出しだけでもしてください。」


 その途端。今村とミーシャだけだった部屋に乱入者が扉をぶち破って現れた。


「顔に出すと聞いて!来ました!」

「…ミーシャ。ちょうど良かった。捕まえといて。」


 今村はマキアを冷淡な目で見ながらそう告げた。マキアは今村の視線をご褒美だと言わんばかりの顔をしている。


(…何かちょっと悪化してないか…?)


 ミーシャに縛られながらどうせなら先生に縛って欲しい!と言って逃れるマキアを見ながら今村は予定地へと向かった。



















「ハハハハハハ!『大陸砕き』!」

「え、先生…?」


 今回はそれなりに時間がかかりそうなので今村は祓も連れて来た。二つ返事で今村とのお出掛けを了承した祓は目的地と言われた場所が更地でいきなり地盤を砕きにかかるという暴挙を見て首を傾げる。


 地面には底が見えない穴が幾つも開けられている。今村はそこに自身特製のオロスアダマンダイトの柱をぶち込んで周りにこれまた自身特製の黒いゴムを大量に流し込む。


「…あぁ。建築ですか。手伝う事は…」

「地面固めといて。重力負荷5倍くらいでマントル対流にあまり影響が出ない様に。」

「一定地点から斥力で緩和しますね。」

「おう。」


 色々おかしい製法でその後も建築作業を進めて行く。脳内CADの通りにやっているのだが、建築業の人が見たら頭を抱えるような作りでどんどん固めていく。


「『束縛バインド』『連結コネクト』あと溶接。ボルトに魔法陣っと。」

「…今気付いたんですけどこの柱って…」

「うん。特殊な陣を構成するように作ってるよ。一柱一柱に真心こめて術式を使ってる。」


 祓が言いたいのはそういう事ではない。低い階の方では金属の柱から何故か木の床が生え始めているのだ。


「いえ…木が…」

「あぁ、そっち?五行的に金は木に克つだろ?だから直接陣を書かれても同居したくないから何とか逃げようとして伸びる…よっと。」

「えぇっと…何で表皮が木材みたいに切りそろえられていてすべすべなんですか…?」

「柱の術式見とけ。」


 今村は一階のギロチン及びに槍衾。それに加えて五感弱化エリアを作り上げると二階の製造にかかる。


「こっちは香木使ってっと。『空間術式』使って…面倒だな…」

「パパ呼んだ!?」

「呼んでねぇよ…まぁでもいれば便利だろうなとは若干思ったけど…」


 今村が少し面倒だな…空間系って人の身にはきついんだよなぁ…と思っただけでみゅうが飛んできた。


「何するの?お家?みゅうはパパと同じ部屋ね!」

「……襲うなよ?無いとは思うが…最近お前何か変だからな…?一応な…?」

「善処はするよ!ん。ちゅ。」


 不意打ちでキス。そして今村はもののついでとばかりに脳内のCADの図面のデータを流し込む。


「…パパの階だけおかしくない…?お家ってリラックス…まぁパパだからいっか!空間系の神術もかけるね!」


 今村から図面データを受け取ったみゅうは離れて少し考えると元気よく言った。今村はその案に少々考え込む。


「神術か…突入者が神じゃなきゃ発動できんな。」

「あ、これも外部の力を吸い取るタイプ?みゅうが定期的にパワー入れるんじゃ駄目なの?」


 みゅうの提案に今村は首を振る。


「ここのエネルギーは復活する時に発動した分だけごっそり持って行く仕組みだからな…」

「危険察知の訓練?それとも魔力絶対量を増やすのがメイン?」

「両方に決まってんだろ。」

「…じゃあ、戦闘能力がない人は…」

「『幻夜の館』の寮に住ませる。あっちはすでに強力なセキュリティもあるから戦闘能力がない奴はそっちいればいい。」


 みゅうは自分が考えつく問題位ならすべて解決済みなんだろうと質問を止めた。


「2階はどれくらいの広さにするの?」

「1LDK。冷暖房に冷蔵庫。本棚とテレビ。それとタンスだな。」

「3階は?」

「2LDK…っつーか図面にあるだろ…」

「パパとお喋りしたい!」

「じゃあ進捗についてでも喋ってくれ。」


 そこから先は喋りながら手先が軽く音速近いスピードで動き、ここの工事は5日で終わった。




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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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