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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十二章~生徒と学校~
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9.マキアさん

「せーんせいっ!」

「マキアか…血生臭っ!シャワー浴びて来い!体洗え!」

「え…お誘いですか?ありがとうございます!念入りに洗って来ますね!」

「脳味噌腐ってんのか!?とにかく風呂に行け!何で俺の部屋に出没しやがった!」


 今村が業務と訓練を終えて自室に帰って来るとその直後、今村の帰りを見計らったかのようにマキアがテレポートして来た。

 しかも、過去より遥かに能力や力をつけている状態でだ。今の今村と同程度の能力はある。


「先生専用のお風呂に行っていいですか?近いですし…」

「…まぁ、いいけど。何で血生臭いんだお前…」


 今村はマキアに警戒しつつ、質問する。するとマキアは下着などを魔法で創りながら軽く答えた。


「ちょっと第3世界の魔界に行って魔神ってのを殺してきたので…ん~…一応術で綺麗に洗ってきたんですけどね…嫌な臭いは先生の前でしたくないな…タオル借りてもいいですか?」

「…ちょっと頭痛くなって来た…タオルは好きに使え。」


 色々また面倒なことを…と思う今村に対してマキアは目を妖しく光らせた。


「好きに?いいんですね?」

「ゲネシス・ムンドゥスにおける良識と常識の範囲内で好きに使え。」


 今村は頭痛を隠そうともせずにそう言うとマキアは鼻歌交じりに今村の使っているボディーソープの匂いを頼りに今村専用の風呂場へと向かった。


「はぁ…『ワープホール』…」


 今村はそれを見届けてマキアのしたことの後始末をしに魔界へと向かった。

















「…ふむ。流石にここまでは来れてないか…じゃああんまり問題なし。自動でやらせてた俺の仕事が自分ですべてやるようになって過労で軽く死ねるだけだな。…何気にイラつく…」


 今村は自分が「白礼刀法」の奥義状態「白髪鬼」。…死を代償として力を引き出す状態になった時の全力で創って隠しておいた門の前でそう呟いた。


 一応外は何もされていない状態で、見つかったという痕跡すらない。それでも一応今村は中に入ることにしておく。


「…ん~…なっつかしいな。よぉ【全】ご機嫌いかが?」


 中に入ると門はすぐに閉まる。その中は物質だけでなく「魔素」すらも凍てつかせる極寒というのが生ぬるい世界が広がっている。


 その中央で四肢を切り離され、首も飛ばされた状態で胴体も真っ二つにされて凍りついている男がいた。


 それを見て今村は苦笑する。


「まぁだ生きてんのか…しぶといな。まぁなにも出来んだろうがね。んでっと…術式に問題は…うんないな。俺が消えたらこいつも消滅できるようになってる。特に異状なしっと。」


 ぺたぺた氷のような魔素の結晶を触り、膨大な魔法の詠唱文を見る。それを見続けていると間違いがあることに気付いた。


「あースペルミスしてるよ…またアップデートしねぇとバグが…自動筆記は外の動力が壊れてるからなぁ…何で魔神(電池)とか倒しに来たんだあいつ…」


 今村は「マジックハック」をして書き込みを修正しにかかる。ついでに別の戦闘力のない電池を置いて軽く自動筆記のできる魔道具を作り始めた。


「過労はごめんだからっと…ん~でもこれ壊したんか…じゃあ確かに強くもなるな。こいつに入れてたエネルギーを取ったってことだろうし。」


 因みにこの電池こと魔神は今村が最後に組んでいたパーティーの何人かに裏切られた時に刺されて流した血を余すところなく入れて、ついでに返り討ちにして殺した奴の血も入れている。

 その結果、血が魔神の本体になり封印されている【全】から漏れている様々なものを取って行くだけで本来成り立つはずのエネルギーを近付いてきた奴の血からも吸い取るようになって表に出るようになったという事だ。


「にしても最近色々研究してるみたいだが…俺から離れるのはいいことだ。もういい年なんだし自立してもらわんとな。表立って応援すると調子に乗るから陰ながら応援しよう。」


 そういうことで手始めとして魔界でのことを黙って解決することにした今村。


「…ん。あんまり材料ないからこの辺で終えとくか。再来年まで一応もつようにしたが…来年本格的な修理に入ろ。」


 そして今村は門から出ると一度冥界によってフィトの木に寄ってから実を取ると自室へと戻って行った。

















「…ふぅ。お帰りなさい。」


 戻って来るとマキアがワイングラス片手に透明な液体をテイスティングしていた。今村の脳裏に嫌な予感がする。


「…それ、何?」

「残り湯です。先生の。」

「………普通に引くぞ。気持ち悪い。」


 真顔で言った。しかし、マキアは素知らぬ顔で空間から更にお湯を注ぎ足す。


「……一遍死ぬ?」

「確かに昇天しそうなくらいのいい気分ですけど先生と一緒がいいのでまだ死にませたばっ!」


 最後まで言わせずに今村はマキアを部屋から蹴り出した。ついでに「マジッククラック」して空間介入を行い注ぎ足し中のお湯を全て奪い取って蒸発させた。


「…寝よ。」

「一緒に寝ましょう!勿論性的な意味で!」


 扉の外がうるさい。なので今村は最近知ったマキアの苦手な人物を「幻夜の館」個人放送で呼ぶことにする。


「リーリヤ。ケオ・リーリヤ。グロ・マキアが呼んでいるぞ。場所は教員宿泊棟4階。繰り返す…」


 繰り返す前に扉の前に恐ろしいスピードで何かが駆けている音が聞こえてきた。


「うえっ!リーリヤ!」

「おねぇさまぁ~っ!《自主規制》してくれる気になられたんですね~!!!」

「私の初めての《自主規制》は先生以外に渡す気はないっていってるの!」


 轟音、それに伴う巨大な魔力。マキアが放ったものだろう。今の時点の今村に勝るとも劣らない威力のそれはケピョッと言う音から察するにジャストミートしたのであろう。

 しかし、外の誰かはひき肉みたいにされたはずであるのに、興奮して息を荒げさせているだけだ。


「あぁんっ!おねぇさまの愛を感じますっ!」

「…好きな人と一緒になりたいって言われた時に禁術教えなければ良かった…何度目の後悔だろこれ…」


 マキアはリーリヤがまだこんな状態になっていなかった頃に好きな人がいるがその人は他の人を見て自分を見てくれない。しかも片思いの人は他の人に嫌われるのが嫌で近付く別の人は排除するから力を貸してほしい。と言われたので自分と重ねて上手く行ってほしいと協力。

 それで自分の首を絞めるような結果になっているのだ。


「せんっせ…開けてください!わがまま言いませんから!先生の寝顔で自分でしますから!」

「ぜってぇ入れねぇ。仲良く勝手にヤってろ。」


 今村は完全遮音にして今度住むところの改造でもしようかな…と思いながら寝ることにした。




 ここまでありがとうございます。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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