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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第一章~最初の一年前半戦~
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25.呪い

「ここでいいじゃろ。」


 九行に連れられ今村はマジックアーケードの扉をくぐり森の中にいた。


「ククククククク……あーっはっはははは! いいぜぇ? 俺にとって本世初の術式での殺し合い。すぐには死んでくれるなよぉ? 『陰王発剄いんおうはっけい』ぃ!」


 完全に悪役のような状態になる今村。体からは黒い霧が漂い始め、付いて来たいたガニアンが震え出す。祓はそんな今村を心配そうに見ていた。


「……で、とりあえず『異化探知いかたんち』1,2,3,4,5,…12か。あ~期待外れっ! 『破壊躙はかいりん』」


 今村の目に急に六芒星が入った魔法陣が浮かぶと今村は辺りを睥睨し、溜息とともにそう言った。その直後轟音と共に森が燃えた。


「なっ……何じゃと!?」

「……いや驚くなよ……今の隙でうっかり殺してるところだ……相手に付いて行って場所を変えたら普通に罠を気にするだろ。」


 何を当然のことを言ってるのだろうかという感じに狼狽える九行に今村は既に疲れた感じになる。周りで見ていたガニアンも驚いていた。


「呪いにおいて並ぶ者なしと謳われた九行先生の術をいとも容易く……?」

「くっ……ここから先は別料金じゃぞ! 『呪て……」

「……あのさ~。期待外れで飽きたから殺したけど……殺し合いの最中に随分と余裕そうだったね? 相手は死ぬけど自分は死なないとでも思ってたのかな? はぁつまらん。」


 心底つまらなさそうに髪で九行の胸を貫いて溜息をつく今村。だがその顔は直後に笑みに変わる。


「……いもーど……」


 すでに生気の全くない虚ろな目をした九行の口から零れ落ちるように放たれたその言葉。その直後、九行の体が異常膨張し黒い膜を張った。


「あっはっはっは! おっきくなっちゃあ負けフラグだろ! でもまぁ……実験位には使えるかなぁ……まずは『絶刀ぜっとう』『絶牙ぜつが』」


 今村は金色に光る大太刀と漆黒の小太刀を出して九行だったモノにニヤニヤしながら最早人ではなくなったソレと対峙する。


「さぁ、始めようか! 『ぜっとうぜつ天翔てんしょう』っ!」


 今村は両手に構えた刀を思いっきり振り下ろして斬撃をクロスさせた。その斬撃は九行の躰の表面に浮かぶ黒い膜にぶつかるとものすごい音をたてた。ここに来て初めて今村が顔を顰める。


「ちっ……かてぇな……折角の必殺技のお披露目なのに……」

「先生……あの……」


 今村がそう呟いて顔が若干不味いものを見るものに変わるとそれを見た祓が何か不味いことでもあったのかと感じ今村の方に寄って来る。それを見て今村は更に苦い顔をした。


「祓? ……っちぃっ!」

「!?あのっ!」


 今村が焦ってローブを伸ばし寄って来た祓を抱き寄せる。その直後祓がいた場所が爆発し、今村はそれを見て楽しそうに笑う。


「かっかっか! ヤラシイ罠仕掛けるねぇ……祓? 大丈夫か?」

「えっ……あっ……はい……」

「……本当に大丈夫か?」


 最初の台詞に大丈夫だと思うがという言葉を略した今村だったが様子がおかしい祓に楽しそうだった顔を一瞬真面目にして祓の方を見る。

 しかし、祓は下を向いているので判別できない。


(酷い顔を至近距離で見て気分悪くなったとかだったらついでに事故に巻き込まれたとでもして殺そうかな? まぁいい。)


「……じゃ、とりあえず離れてろ。今からは実権じゃなくて……遊ぶから。『アルカホル』っ!」


 とりあえず心配と確認は後ですることにした今村は邪悪な笑みを浮かべてそう言う。その言葉で今村の焦点がブレ、口の端の吊り上りの高さが今までにない程になった。


「『びとこぞりて酔い歩け』……っとね。オラァッ!」


 祓をその場に残し一っ跳びで飛び上がり九行の躰に斬撃を加える今村。自由落下の間。九行の術を片手間に潰しながら乱撃を加え続けると黒い膜が少し剥がれた。


「よっしゃ! 行こうか『呪死じゅし烈破れっぱ』ぁ!」


 今村はその一部の綻びを見るや否やその高さに留まれるようにローブを地面に刺して固定し、「絶刀」、「絶牙」の両刀をローブが収納。そして右手から「呪刀」を出し、猛烈な突きを繰り出した。そこから先ほどとは比べ物にならない斬撃が繰り出される。


「にゃははははは! いいね! ……でもっと『消えろ』。」


 その言葉で斬撃は消え去った。それと同時に九行の躰の崩壊が始まる。


「……『呪言じゅごん発剄はっけい』これ今の俺だと反動がきっついんだよなぁ……まぁあのままだと『呪死烈破』のおかげで世界破壊してただろうし仕方ない。」


 九行が崩壊していくのを見ながら独り言をいう今村。そこには一切の罪悪感などが見受けられなかった。




 ここまでありがとうございました!


 いっぱい新技が出たので一応…※読まなくても何となくで行けます。


 陰王発剄:戦闘モードですね。今村の体から相手を蝕む瘴気が出て威圧度が増します。因みにきちんと唱えた方が強いですが今の今村では使えないのでここまでしか詠唱していません。


 異化探知:その場に不自然なものを見つけるもの。今回は罠対象を罠にしていました。


 破壊躙:自分より弱い相手の罠や技を無条件に破壊します。かなり理不尽な技です。


 呪帝モード:九行さんが使おうとして失敗した奴ですね。呪いの力が増えます。結果色々と強くなりますが使用後もの凄い疲れます。


 アルカホル:軽くテンションが上がり、痛みを感じにくくします。そのあと言った言葉は特に気にしないでいです。酔っぱらいの戯言ですから。


 呪死烈破:呪刀で出した突きの衝撃波ですね。一点突破力が凄まじいです。まだうまくコントロールできません。


 呪言発剄:言ったことが現実になる無茶苦茶な技です。まだ今の今村では自分がやったことしか如何こうする力はないです。あと使ったらどこかにしわ寄せが行きます。今回は魔界の山が崩壊しました。怪我人はいません。怪我獣も出ませんでした。


 

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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