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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十二章~生徒と学校~
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2.授業前の注意

「森。お前に先に言っとく。お前のクラスヤバいのが一匹いるから気を付けろ。」

「…ZZZ…」

「起きろタコ!」


 今村は説明するというのに寝ている森を殴り起こした。今から森と早乙女の初めての授業が始まり、今日から今村も授業に復帰するのだ。


「はっ!」

「情報は要らんってか?」

「…何の?」

「今からお前が行く教室。俺が前にソーセージの刑に処した奴の妹がいるんだが…」

「妹属性…いいね。」


 とりあえず気持ち悪かったので殴っておく。早乙女はみみとか言う召喚されたゴスロリ少女と何かしておりこちらに関心は向いていない。

 気を取り直して今村は森に言った。


「まぁ自由恋愛は保証してやるし何なら推奨もするが…校外でな。この中で問題があったら嫌でもデータが残るし。」

「ところでどんな子?」


 今村は意地の悪い笑みを浮かべた。


「人の内臓を見たがる子だよ。」

「…ん~………イケる…かな…うん。」


 何気に凄まじい森の趣味だが、今村の言う子…妖学校で今村の狂気の対象になった少年…内月蔵の妹は色々と問題があった兄に対して外見は美少女だ。


「内臓ってどこ見たがるの?」

「んなもん知るか。あれは悪魔憑きだが…一応カテゴライズ的に死人に近い人間だからな~法的に守られてる。」

「でも18歳だよね。」


 今村の話は残虐行為について、森の話は触手を駆使する話についてで両者の話は食い違いがある。しかし、今村の方は理解して溜息をついた。


「だから…そう言うのは自室でヤれ。因みに無理矢理ヤッたら『殺し騙り』が勝手に発動するから。」

「それどんなの?」

「…まぁ簡単に言えば疑似死を全18種味わわせるものだな…」

「ふーん…じゃやめとく。」


 森はつまらなさそうにそう言って教室の方へと歩み出した。が、その後すぐに触手が反応した。

 その瞬間に触手は大型の肉包丁で切り落とされていた。


「…へ?」

「おや、お出迎えみたいだよかったね。」

「…あ、今村先生おはようございます。ところでそちらの方の内臓を見せてもらってもいいですか?」

「本人次第。」


 猟奇的な話し合いをするのは身の丈には少し大きめのこの学校の制服を着て、腕に包帯を巻いて眼帯を付けている危ない目をしている少女だった。


「内スキミ本人だ。で、内これお前らの今日からの担任。」

「ふーん…今村先生が入ってくれるんじゃないのか~…クラス変わってもいいですか?」

「…抽選に落ちたんだろ?諦めろ。」

「え~この人内臓見せてくれなさそうですから嫌なんですけど…」


 がっかりした様子のスキミ。森が今村なら見せるのか?みたいな視線で見て来ていたので今村は一応聞かれていないが答えておく。


「俺は俺のは見せんな。結構戦闘に行くからそっちじゃ見たいだけ見ればいいと思うけど。」

「ほらぁ!さっすがぁ!話が分かりますね!月蔵兄さんがウザかったから色々制限されてましたけど私だって見たいんですよ!そこかしこに生き物がいるのに何で見れないんですか!生殺しにもほどがある!」


 憤慨するスキミ。兄の月蔵が問題児だったので彼女はあんまり自由にできなくてイライラしていたらしい。

 そんな中で月蔵が少々とは決して言い難いトラウマを植え付けられて衝動が弱まったことで彼女にもようやく日が当たるようになったという。


「大体最近切り身とかわた抜きとか多すぎるんですよ!内臓がない!」

「あーはいはい。その辺はこいつとクラスの連中と決めてくれ。教師から教えてもらうことがなくなったらクラス替えも可能なんだしどうしてもってんならこいつを越えると良い。」


 今村は他にも早乙女のクラスの案内もしなければならないので話を切り上げにかかった。


「越えるって何すればいいんですか?殺せばいいの?」

「まぁ殺れるもんなら殺ってみればいい。」

「では遠慮なく。」


 スキミは刃渡り60センチほどの肉包丁を振りかぶって半分くらい眠りの世界に誘われつつあった森に襲い掛かった。


「…ん?これは…正当防衛だよね?」

「まぁ。」

「縛ってもいいよね?」

「こっから先はお前らの管轄だ。」


 今村はそう言って踵を返し、いい加減にこちらの会話に入って来ない早乙女を殴った。


「あ?」

「お前も授業。後いい年して赤ちゃん語でそいつと喋ってんの普通にキモい。生徒に引かれるぞ?」

「いいよ。俺はみみちゃんが居ればいい。」


 そう言っていると早乙女の下に小柄で可愛らしい子がやって来た。


「…あ、今村様…こんにちは。」

「お、ユウキか。」


 その子を見て早乙女の鼻の下が伸び、そして今村を恨めしそうに見た。


「…この子もお前か相馬先生のだろ…はぁ…」

「…何言ってんのか知らんが…こいつが好みなん?」

「結構好みだが…」


 今村は思いっきり邪悪な笑みを浮かべた。尤もいつもより少し悪い顔というだけで祓やミーシャなどと違ってそこまで今村の顔を見ていない早乙女にはいつもの笑みとの違いは分からない。


「そうかそうか。ユウキ。聞いてた?」

「え…でも僕なんかで…」


 顔を赤くして両手を前に出してぶんぶん振り断るユウキ。それを見て早乙女はあれ?行けるんじゃね?と思う。

 それを見逃さない今村はさらに推し進めてみた。


「ほら、早乙女。こいつまんざらじゃないみたいだし…」

「え…マジで?ここで年齢イコールに終止符が?」


 あたふたと困っている早乙女の後ろに立つみみと言った少女は少し不満気だ。そんな彼女を見てユウキはみみについて早乙女に質問をした。


「あ、その…サモンしてるのは…」

「みみちゃんは憧れで穢れて欲しくないってのがあるから…って、いや、君ともすぐにそんな関係になるんじゃないけどね!じゃない!えっと…」


 初々しいカップルを見るような生暖かい目で今村は二人を見て…そしてそのままフェードアウトすることにした。


(…まぁユウキは男だけどな。)


 その言葉はもの凄く後になってから告げておこう。そう心に決めて。


「んじゃ俺も自分のクラスに行こうかね。」


 今村は自分のクラスへと移動することにした。因みに4年経っているので今村が元々受け持っていた子供たちは既に卒業している。

 その為、完全新クラスとなっている。

 そんな新クラスは異能力者たちの中でもさらに異端とされるもの、もしくは問題児が優先で入れられており、その余りの枠が一般的な者の中から運よく抽選に当たった者が入れられている。


(問題児は…まぁ俺にとっちゃ特に問題なしだな。異端のポルタ・オルディニ…は結構問題があるが…後は…こいつ面白そうだったな…)


 ざっと目を通した資料の中を思い出しながら今村は自分の受け持ちのクラスへと移動して行った。




 ここまでありがとうございました。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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