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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十二章~生徒と学校~
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1.授業前夜の訪問

「仁さん~ちょっと訊きたいことがあるんですけど~」

「あ?」


 明日から教師の仕事に復帰しようと思っていた今村の部屋にヴァルゴがやって来た。しかも、いつもの様に突発的な物ではなくきちんとアポイントを取った上での訪問だ。


「あの~…ここの子供たちなんですけど~2人死んでますよね~?その子たちの転生を仁さんと考えようと思ってたんですけど~…部下が間違えて異世界に転生させてしまったみたいなんですよ~」

「…は?いや…その辺は本人と罪のバランスで決めるべきじゃね?」


 今村は風呂上りでベッドに腰掛けてヴァルゴにそう答える。死んでからも五月蠅く言われるのはお断りだろうからそう言ったのだがヴァルゴは首を振った。


「いえ~…女の子の方の希望は難しいことは先生に訊いて考えるって言ってます~男の子は何か~…部下が勝手に飛ばしたので~…」


 ヴァルゴは少し言い辛そうにそう告げ、今村に資料を渡す。今村はそれを受け取りながら呟いた。


「…ちょっと男の方に会いに行ってみるか。第3世界内だよな?」

「はい~これが新しい気配のようです~」


 ヴァルゴは今村の問いかけに頷くと資料とは別に今の彼らの状態をモニターに出して今村に提示した。そして今村は資料を見終わってモニターを見るともの凄く楽しげな笑みを浮かべる。


「…魔王ですかそうですか。ここは…むか~し行ったことがある記憶が…フェーゲフォイアーだっけ?」

「…なんかすみません~…」


 何となく責められている感じがしてヴァルゴは謝った。


「…でもまぁ人間形態と変わんねぇっぽいし。ちょっと会いに行こうか。」


 因みに今村は「幻夜の館」に祓が居られるように封印術式を既にかけてある。しかし前よりも能力が残っていないので結構限定された時間しか一人で残せないことになっている。

 しかしそれでも5時間くらいはもつので実際に行ってみることにした。


「…この中の時の流れって…こっちの何倍くらいだっけ?」

「100倍だったと思いますよ~」

「…3分か。まぁちょっと話す程度だしいっか。『ワープホール』」


 そして今村は「ワープホール」を形成してその場所に飛んでみた。



















 今村が「ワープホール」で飛んだ先で今来た道を閉じようと思ったらその中でヴァルゴがもがいていた。

 とりあえずローブで引っ張り出すが、今村は長い時間いなくなれば天界の仕事困るんじゃねぇかな…?と思ったので訊いてみる。


「…お前なんで来たの?」

「部下の始末のお詫びです~」

「部下は知ってんの?」

「私がいない間の仕事は死ぬ気で頑張るらしいですよ~」

「ならいっか。」


 こんな会話をしながら今村は時間がないので元生徒を探す。とりあえずはいかにも魔王城と言った感じの城が何となく目の前にあるのでそこを重点的に探そう…として何かいっぱい出て来た。


「敵襲だ!」

「人間族が攻めて来てるぞ!」


 羽が生えた妖異の者どもが今村たちの姿を見て殺到して来たようだ。


「おーおー…殺そっかな…」

「…仁さんが殺るなら私も~」


 包囲されたので今村は「αモード」に入った。隣のヴァルゴも「天帝モードLV.Max」になり、今村をちらちら見て頬を赤らめている。


 そんな黒衣の美男子と純白の3対の翼をもった美幼女を前に妖異たちは恐れ戦く。

 今村たちから発される「氣」が異常で圧殺されかねないほどの重圧を放っており身動き一つ取れないからだ。


「…って…マジすか…?先生?」

「おー。いたいた。」


 そんな中から若様危険ですなどと言われる中で10歳くらいの少年が今村の方に空中を歩いて来た。今村の方は気配が一致しているのでそれが元生徒だと認識してヴァルゴに時間を訊く。


「ヴァルゴ、あと何分?」

「1分半です~」

「ふむ。ちょっと疲れるけど…こいつを持って行こうか。」


 周りがギャーギャー言っているが、今村は五月蠅いそれらの声を適当にあしらった後はシャットアウトしておく。

 少年をローブで捕まえると少年は少し戸惑っているようだ。


「え?ど…どこに連れて行くんすか…」

「ウチ。さよならくらい言って行け。『ワープホール』」

「え、あ、ちょっと!ごめん皆!ちょっと留守にしてるから!」


 こうして今村たちは一度「幻夜の館」に帰ることにして元の世界に飛んだ。



















「…ってか、流石というか…何と言うか…」


 元の世界、住み慣れた気配がするゲネシス・ムンドゥスに戻って来た少年は今村の桁はずれの能力に苦笑いする。今村はそれを聞き流しつつヴァルゴにもう一方と一緒に連れて帰って一気に用事を済ませることにした。


「あ、ヴァルゴ。女の方にも会いに行くから案内よろしく。『αモード』解除。」

「あ、はい~後そっちの人ウチの部下がごめんなさいね~」

「…えっと…もしかして…」


 謝罪を聞いてもしやと彼は恐る恐るヴァルゴの素性を訊いた。ヴァルゴは大平原のように平らな胸を張って行った。


「仁さんの愛神で天界の主のヴァルゴですよ~」

「…耳が聞こえなくなるようなことは良いからはよしろ。」

「はいはい~」


 後ろで何か諦念めいた顔をする元生徒の魔王を放っておいて一行は天界に飛んだ。

 そして古代ギリシア人が着ていたような服を着ている女子生徒と会う。


「よぉ。」

「あ、先生。…何か普通に話してますけどこれっておかしいですよね…本当に来れるんですか…」

「うん。で、お前来世について悩んでるらしいな。」


 あまり細かいことを気にしても仕方ない。何てったって先生だから。そう言う感情で持ち直して女子生徒は今村に希望を言ってみた。


「戦闘は嫌いじゃないんですけど、対人はあんまり殺し合いはしたくないので戦争ばかりの世界は嫌です。でも、結構戦いたいっていうのもあるので…」

「まぁそれなりに危険な世界がいいか。獣的な。じゃあ…狩猟民族?」


 今村の提案に彼女は渋面になる。


「文明が低いのはちょっと…先生たちと違ってトイレとか気になるので…」

「おい俺らがトイレなんか気にしないみたいな言い方は止めろ。うちのトイレものっそい拘ってんだろうが。」

「…でも肝心の先生はトイレしないじゃないですか…って、今はそんな話は置いといてここより少し低くてもいいですからそれなりの文明は欲しいです。」


 今村はとりあえず一通りの彼女の意見を聞いてから該当する場所を考え始めた。


「…まぁ俺はあんまり覚えてないが…ヴァルゴ。そのカタログに良いのあった?」

「え~とですね~…貴族になりますけどいいですか~?」

「…私貴族嫌いなんですよね…他に…」

「ないです~辺境に在って過去に別世界からの転生者がいて成り上がったところだけが条件を満たしてます~」


 今村の影響と奴隷だった過去で貴族が嫌いな彼女は少し考えた後今村を見た。


「先生…」

「貴族でも色々あるから試しに行ってみれば?とりあえず解放はされてないけど神核持ってんだし何回か分の精神と記憶はもつと思うし…」


 色々既におかしい「幻夜の館」の生徒たちはこの後挨拶しに「幻夜の館」に帰り、そして早朝ということもあり、親しい友人とだけ会った。

 それが終わると異世界でも普通に通信できる明らかにおかしい携帯電話を今村から貰って新たな人生を歩み出した。


 そしてお土産と今村は魔王に転生した後多くの人は何をしているのかをまとめた紙を少年に、悪徳令嬢系統のもののまとめを女子生徒に渡しておいた。







 いつもありがとうございます。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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