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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
章間11
239/644

原神様の所へ

「…気乗りしねぇが…まぁ約束は約束だしなぁ…」

「先生もう一回聞きますけど危ないことはないんですよね?」


 今村は「神核合成」を一時的、限定的に行い出掛ける旨を主だったメンバーに伝えており、本日がその当日となっていた。


「…お前は俺の母親か?あと、子供が出来た時にナイナイ言ってたら自分から行動できなくなるからあんまり行動に制限を掛けないように。特に言いがちな3ナイ言葉に気を付けろ。」

「わかってます。覚えてますから…」

「じゃあ何か言ってみろ。」

「『危ない、汚い、イケナイ』です。」

「それが分かってればよし。」


 今村はそう言い残して祓の危ない云々に関する質問には結局答えずに消えて行った。



















「………はぁ。帰りたいなぁ…」


 行きながら今村は帰りたいとぼやく。あらゆる世界におけるトップの女神は拝謁が適えばこの先全ての幸運を使い果たしたとまで言われ、もし見た記憶を留めていれば記憶を剥ぎ取られると言うほどの物だが、彼にとっては関係ない。


 自分に好意を持っているという意味の分からない奇妙過ぎる不気味な奴らという印象しか持っていないのだ。


 そうは言っても実際に彼女たちを見るとそれなりに絆されもする美貌の持ち主なのだが…それでも彼は基本的に得体の知れない連中という認識だ。


「…はぁ、あ~…着いた……着いてしまったよ。こっち見てるよ。」


 そして平らになって宇宙空間のような所に浮いている土地とその上に立地している屋敷が何となく視認できるくらいの距離になると視線を感じ、「フォーカスアップ」を使って視線の主を確認した。


「おっにぃっ♪おっにぃっ♪」


 背の丈を優に超す長い黒髪をたなびかせて玄関先でぴょんぴょん跳ねている滅世の美を誇る【無垢なる美】セイラン。

 ゴシックロリータのドレスに包まれた彼女は元気いっぱいに手を振って今村が来るのを待っているようだ。


「…腹ぁ括るか。変な術も解いてもらわねぇといけねぇしな…」


 そして上陸と同時に括った腹にセイランの飛びつきによる重大なダメージを受けたが、頭を撫でて笑みを作ると屋敷の中へと入って行った。


「おじゃ…」


 入る時に定番の挨拶をしようとするも、その前に口は封じられる。セイランが何を思ったか知らないが今村によじ登ってフレンチキスをしてきたのだ。


「……何しやがる。」


 今村はセイランを振り落して思いっきり睨む。それに対してセイランは途中で浮くと体勢を整えて笑った。


「こいびとどーしがすうんだよね?」

「だから俺とはすべきでな「恋人同士はこうするんだよ。」」


 今村の台詞を遮ってどこからともなく現れたミニアンが今村とセイランの間に割り込んでディープキスを捻じ込んできた。


 柔らかな唇の感触と共に甘い唾液が今村の中に入って来て脳髄を痺れさせ、舌に舌が絡みつかせられて腰が砕けそうな状態に陥る。


(!ヤバいっ『白蘭冷棄却法』【マイナスの王よ我が身に宿りてその力を発動せん】)


 ほんの僅かな時間ながら今村の意識がセイランだけに注がれていたその瞬間を狙ってのミニアンの行動に対策が後手に回り、ミニアンを押し返すのが遅れた。

 セイランはそんな二人を見て膨れている。


「…ずうい…せーらんもぉ!」

「却下だ。さて、とりあえずこの辺で遊びは終わりにしてとりあえず術を解いてくれ。」

「せーらんも!」


 セイランがまた飛びついてきたので今度は弾いた。ついでに魔術を幾つかと火と水の強力な魔法を大量に放って追撃を入れておく。


「…家を壊さないでくれないかい?君の家になるのに傷まみれは嫌だろう?」

「この程度じゃ壊れないだろ?後、俺の家にはならないからな?」

「ふむ。僕は何気にここを気に入っているのだが…新居も新居でいいかもしれないね。」


 ミニアンは今村をリビングに招き入れソファへと連れて行く。そして今村が座るとその膝の上に対面して座った。


「…話を戻すぞ?術を解いてくれ。何か色んなのが抱きつかせろってウザい。心当たりはお前らと過ごしたことだな。」

「ウザいのは僕も含めてかい?」

「そうだな。近い。どけ。」

「検査中だよ。…後、君が不快じゃないと感じるようにくっ付くにはどうしたらいい?」


 ミニアンは今村の顔を胸に埋めて抱き締めながら質問する。この世のものとは思えぬ程の素晴らしく甘く良い香りに包まれながら今村は無言を貫いた。


「…とりあえずバッドステータスは取り除いておいたけど…君、多分抱き着くのには君の問題もあると思うよ?」

「終わったんなら放せや。」


 今村は多少強引にミニアンから離れ、自分が原因という理由を探って…意外と思い当たることに気が付いた。


「…気が付いたかい?全く…」

「『原罪特権』とか『配素氣流』が無意識中で発動しっぱなしだった。あ、ローブに『ドルミール』の香りも付いてる。…おぅ…そりゃ来るわ。」


 「原罪特権」は周りの罪を吸収して呪いに変えるもの。これを受けた側は罪の意識が軽くなる。


 「配素氣流」は魔力でもエネルギーでも氣でもないまだ未分化の素氣を流して配分する能力。これを受けると活力が漲ったり、回復促進に繋がる。


 「ドルミール」は強力な睡眠薬。分量次第では昏倒する深い深い眠りへと誘う薬だ。


 この3つが合わされば仕事に疲れている人々は快感とも言えるリラクゼーション効果を感じるだろう。


「フム。洗濯しよう。俺を安置してた花の中のどれかが俺が育てた危険物質の花だったんだろうな……?どうしたそんな顔して。」

「…まぁ、これ以上僕から言うのも野暮だから言わないけどね。それに寛大だからと言って君に僕を見てほしいのは変わらな「れきた!」…セイラン?」


 今村が弾き飛ばしていたセイランが急に大声を出した。それに釣られて声がした方を見ると部屋と屋敷の一部が取り壊されていつの間にか自分たちを覆うように仕切りが出来上がっていた。


 そしてセイランがいる前には…巨大な風呂が出来上がっていた。


「おふお!おにぃ!いっしょはいろー?」

「…流石…って魔法の腕前が凄いのはわかってたが何故にて風呂?」

()とおみずくれたから。」


 そう言った後魔法で着ていたゴスロリを消して下着もポイポイ捨てる。幼い体に桃の様にたわわに実った果実が背徳感を煽り、今村は顔を逸らした。


 そしてその先でもまた脱ぎ始めている少女が居た。


「……僕は流石に湯衣を着ようと思ったんだけど…まぁ、君がいいなら裸のまま行こう。」

「…見るつもりじゃなかった。ってかお前着替えなくても術で…」

「少しは見るかな?って期待があったのは否定しない。さぁ行こう。湯船が僕らを待っている!」


 抵抗は無意味だ。前世で万全の状態でも原神には勝てない。しかもそれが2柱。ダメ押しで今の今村は弱っている。


「俺は…」

「当然裸だよ?ローブはさっき君が汚れてるって言ってたし、現世にもフィードバックされるように僕の方で洗濯しておくから。それと『水呪空印』は禁止。」

「みんないっしょー」


 服を着ていてもいいのか?という質問に関しては先回りで却下された。対策も未然に防がれた。


「…はぁ、襲っても知らんからな?」

「大歓迎だよ。」

「いたいのはやー」


 蠱惑的な笑みを浮かべるミニアンと目をぎゅっと閉じて可愛らしく両手でバッテンを作るセイラン。両者全裸だ。


 今村の方も観念して服を脱ぐ。いつもローブを着ての入浴だったので久し振りの全裸という事になりそうだ。


「……初めて裸を見れたよ…うん。」

「別にいいんだけどよ…そんなに見て楽しいんか?」

「にゃはは~おふおおふお~!『せんじょ~』」


 セイランはミニアン程今村を見ずにすぐに体を泡まみれにして風呂に飛び込んだ。そして直後に風呂はジャグジーになる。

 ジャグジーに入ったセイランだったが、ふと序でに作っていたシャワーを見るとミニアンに頭を洗われている今村が目に入った。


「おにぃはやく~…あ!おひざのせて~!」


 最初、早く一緒にお風呂に入って欲しいと思ったが、途中で頭が切り替わり、今村の太腿に乗って頭を撫でてもらいながら待つことに決めたセイラン。

 そんな思考は知らないが、今村的にはとんでもなく困る状況になるのは間違いない。今村は止めにかかる。


「この状況下はマズイ!ストップ!あぁもう…『飛髪操衣』!…ってあ、髪洗われてる…しかもローブ着てない…」


 結果、セイランは何事もなく無事に着陸。そして今村の顔を見上げてにぱっと笑うが何か違和感を覚えたようだ。下を見た。


「…んにゃ?こえじゃま…とっていい?」

「殺す気か!」

「…あ、こえここにいえ…」

「おもっきしストップじゃこん砂利ガキが!」


 今村はセイランをまた弾き飛ばそうとする。しかし、術がうまく発動せず、天井に皹を入れるだけに終わった。そしてセイランを弾き飛ばす代わりにぬるぬるする液体が降ってくる。


「…え?何コレ。」


 困惑する今村。害があるモノであれば体が反応するのだが、これにそんな効果はなさそうだ。

 それより目下大変なのはセイランとミニアンのタッグ。


「ぬるぬる~あははっ♪たのし~」

「…セイラン。その動きを止めろ。もしくは降りろ。すぐにだ。」

「なんで~?たのし~よ~?」


 セイラン的に楽しくても今村的にアウトだ。そんな攻防を繰り広げる二人を前に今村の髪にコンディショナーをぴったり塗ってミニアンは天井を見て液体が何なのか考える。


「これは…来たるべき決戦の日のために用意していたものだね…姉上が。」

「何でここにあんだよ。後ミニアンちょっと退いて。こいつ落とすから。」

「やー。ふわふわすうのー」

「本格的にマズイことになる前にどけ。この状況で『αモード』(力むの)は大変な事態を招く。」


 とりあえずこの場は何とかミニアンを説得することに成功。髪で自分の体の前部分を巻いてセイランと自身の体を引き剥がす。


「…はぁメッチャ疲れた…」


 しかし、彼の戦いはまだ始まったばかりだ。




 ここまで申し訳ありませんでした。次回もお風呂のままです。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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