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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十一章~面倒事処理~
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15.問題把握と人材確保

「…っとぉ。さぁて…仕事と行きますか。っつーか体が鈍ってんな…『最適化』…ん。まぁ今のところはこんなもんだったか。」


 「神核」を抜いた後、自分の体の内、トレーニングによって最も強かった状態の体に戻しておく。月美はいつの間にかいなくなっていた。


「…月美。」

「あぁっ!きゅ…急に消えないでください!心配しまし…」

「仕事するから。今どんな状態か教えれ。」


 今村は心配等を全て不要と断じると月美の後に続いて話を聞きながら執務室へと移動した。


「人口は増えましたし、社会全体の見通しも大分よくなっています。しかし、マスターが居なくなったことにより一部能力者たちが暴徒化。また、裏の商売が始まったようです。傀儡にしていた政治家たちは景気が良くなったことにより、据え置きに投票してくれてます。」

「…社会福祉の方は?」

「『ヲチ水』事業は概ね成功で、高齢者を高齢者が交代で面倒を見るようになっています。しかし一部、若返った体に精神が引き摺られて恋愛に発展し、独身高齢者の間で新しく子供が生まれたりしています。生活保護は一律に1LKの部屋で最低限の生活の保障を継続中です。」


 今村は溜息をついた。もうすぐ執務室に着く。


「…問題は?」

「天界、地獄界のトップから不満が。それと異能力者の学校がパンクしかかっています。他は対応マニュアルで済ませておきました。後、最大の問題として反異能力者勢力によるテロ行為です。昨年、生徒が2名殺されました。」

「…は?」


 今村は執務室前にして固まった。


「んな軟な鍛え方はしてねぇはずだが…それに俺が出て行く前にそう言う過激組織は殆ど壊滅させておいたはず…」

「…あのゴミ男のファンクラブに入っていた生徒の内、31名が『レジェンドクエスターズ』に反旗を翻しました。マスターのファンクラブからは離反者は出ていません。他から2名。」

「…途中聞き取れなかったが、ゴミ男ってのは相馬でいいのか?」


 一応確認しておく今村。基本感情を表に出さなくなった月美だが、相馬のことを嫌いなのは知っている。

 月美も頷いた。


「えぇ。何でも付き合ってみて祓祓うるさくて幻滅したとのこと。」

「それで何でまた…」

「クラスでそんなゴミ男を巡って諍いがあって、それで誤って傷つけたことで怯え、そしていっそ逃げるためにと集団で逃げ出しました。」

「共犯意識での縛り付きか…ん~…じゃあ俺は暴力装置として活動してくるわ。事務には新卒切符を逃した可哀想なグループを連れてくる。」

「…?はい。仰せのままに。」


 今村は月美を呪具に戻して『翔靴』を履いた。


「…あ、そうだ祓を連れて行かないと死ぬな…世界崩壊後は何気にショックが大きいから多分気を失ってるだろうな…」


 今村は祓を迎えに行く。『幻夜の館』内は色々改築されていたが、祓を見つけることに関しては別問題だ。『氣』を探る。


「ん~…どっかに俺と同じ感じで安置されてるはずっと…あった。何か…荒れてるな…」


 今村は行ったことのない新設されているらしい場所に飛んで行った。


「今村さん!」

「おっとぉっ!?ミーシャ!?大人びって危なっ!」


 その通り道でミーシャが跳躍して今村の後ろにくっついた。今村は下手をすれば今の自分に匹敵するミーシャの身体能力に冷や汗を掻きながら。成長しているミーシャを背負う。


「今村さぁ…今村さん…ふにゃぁあ…」

「…何か…最近やたらと女子にくっつかれてる気が…モテ期か?んなわきゃねぇと思うが…」


 まごう事無き真実を否定する今村はうっとり状態のミーシャを背負ったまま祓の所に移動する。


「…成程。ベストだな。」


 一応位置を把握するために周りを見ていた今村はニヤニヤして祓の安置室の隣の部屋を見た。

 そこは相馬の部屋だった。


「…あ、これ…その…相馬さんが強引に…それに悪乗りして子供たちが…」


 ミーシャは蕩けていた顔をしどろもどろ状態にして祓の状態を説明しておく。しかし、今村はにやにやをによによに進化させてそれ以上の言葉を遮った。


「グッジョブじゃないか…まぁ本人の断りもなく行為に及んでいたら相馬は今度こそ八つ裂きだが…」

「だ、大丈夫です。そこはしっかりしてるはずですから…キスもしてないって言ってますし…」

「…それは試しておくべきだったろうに…眠れる少女は王子様のキスで…ってあんまり遊んでる暇はないな。」


 今村はすぐにドアを開けた。中では祓が目を閉じて手を組まされた状態で眠っている。


「…久々に顔を真面目に見たが…こいつ美人だなぁ…」

「…………そうですね。」

「まぁ気にしないけど…ミーシャこれ持って俺に付いて来て。」


 乙女心を解しない今村はミーシャに祓をお姫様抱っこさせようと祓を持ち上げる。


「…軽っ。はい…あれ?」

「んぅ…」


 今村はミーシャに祓を渡そうとするが祓が首に手をまわしてそれを妨げた。そして安堵したかのように安らいだ顔を見せる。氣の乱れも止まった。


「…意識レベル0。…っつか魂魄剥離状態だ。…何で動いた?」

「多分意地か本能かと…それはそうと、今村さんは祓さんを持って何するんですか?」

「スカウトに行くんだが…これじゃ誘拐犯じゃね?」


 今村はお姫様抱っこ状態の祓を少し掲げてミーシャに見せる。しかし、祓の方も手を回しているのでセーフ判定が出そうだ。

 因みに後ろから見れば幸せそうな祓の顔が見れる。


 その辺のことは一切合切気にしないことにして今村はさっさと呆然としているであろう人々の所へ飛ぶことにした。


「…あぁ~…あっちだったら速攻で検知できたのになぁ…俺貧弱すぎねぇかな…」

「そうだったら私が守ります!」

「…そこまで落ちぶれてはいないつもりだ…っと、見っけ。」

「…ところで、何で祓さんを連れて行こうと思ったんですか?ここに置いていけばよかったんじゃ…」


 「幻夜の館」には祓の「スレイバーアンデッド」を無効化する術式が組まれていたはずだ。

 ミーシャは闇にそのことを言ったが、今村は首を振った。


「今の俺じゃね、長い時間その術を掛けれない。…4年あれば結構術式に解れが出てるはずだから置いていけない。まぁ、確認は後でするから実際はどうかは知らんが…不確定要素に任せられるほど軽くはないしな。」


 ミーシャは今村の後ろで納得した。そして仕事があるので…と今村の頬に軽くキスをしてから今村から離れた。


「…口がぶつかったな…あいつ。思わせぶりな…俺じゃなければ勘違いしてるところだな。」


 今村は苦笑して「幻夜の館」から飛び出して行った。



















「…お前…」

「あ!今村くん見て見て!こっちでも触手が出る!」

「だからみみちゃんを犠牲にするなぁっ!」

「………この世界でも…まさかの…」

「…この世界じゃ戦いなんて…あー…折角大学に行ったのに…」


 今村が異世界に行った一向に会いに行ったところ、彼らはいつしかの宿のように触手にまみれた部屋で集まっていた。


「…ところで、就職先があるんだが?来るか?それともいきなり消息不明になった奴らを雇ってくれるところに当てがあるか?」


 とりあえず時間もないので今村が単刀直入に切り出す。


「…とりあえず、捜索願出てるだろうし…家族の方にも…」

「『傀儡』×4。…まぁ、長い時間拘束されるのが好きなら仕方ないけど…」


 今村はそれとなく森の触手の方に目を向ける。皆の視線は祓に向いているが、今村は特に気にしない。


「あー…まぁいっか。僕はついてくよ。こっちじゃ4年経ってるかもしれないけど僕からすれば基本寝てたしあんまり時間経ってないから。」


 こうして森はレジェンドクエスターズとして働くことが決まった。早乙女は一応家族と会ってから来るらしい。

 今村は早乙女に「転移札」を渡しておいた。


「じゃ、きりきり働いてもらうか。そっちは…まぁ坊ちゃんだしな。」

「…まぁ、怒られるだろうけど…帰るよ。美川は?」

「折角大学来て自立しようとしてたんだし…今村の下で働いてみるよ。…まずは家族を説得してからだけど。」


 こうして祓をお姫様抱っこで抱えたままの今村は森を連れて「幻夜の館」へと帰って行った。




 ここまでありがとうございます。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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