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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十一章~面倒事処理~
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12.大魔王戦?

「…何だかとても急がないといけない気がする…」


 祓は何かに焦っていた。そんなに焦っても一行のレベルはすでに上がらない。


 彼らはこの世界における最上級職の一部を手にしていたのだ。


 祓は「大賢者」、森は「魔王」、早乙女は「ナタラージャ」、美川は「騎士王」そして蜂須賀は「偶像神」となっていた。


 職の内容については祓は言うまでもなく魔法使いの最高峰。

 森は魔を統べる者。

 早乙女は踊りで以て宇宙の理を表す踊りの神の名を冠する者。

 美川は清濁織り交ぜた騎士の王。

 蜂須賀は崇拝されし者ということだ。


「…これ…流石にオーバーキルじゃ…」と祓以外は思ったが、皆正気に返る前にこの様な状態になっていたので言う機会を逃していた。

 ついでにこの状態になるまでの記憶は飛んでいる。何かを思い出そうとすると頭痛がするのだ。

 因みに森だけは本気で寝ていて覚えていなかったりする。


 それはさておき、彼女たちは今、この世界の最終ボスを前に控えている。祓が先陣を切ってそのボスの前に一歩踏み出した。


「それでは…この世界から出ましょう。」


 ―――矮小なる人間どもめ…我が眠りを妨げたな…?―――


 大魔王の口上を遮る祓の先制攻撃で彼らの激闘は幕を開けた。















「…ん?何か…大規模な戦闘が起こってるな…」


 今村は翌日に結婚式を控えた夜。つい先日に精神世界と繋げたミニアンの部屋でそう呟いた。


「出かけたらダメだよ?明日が結婚式なんだから…」

「ちょっとだけ見て…」

「だーめ。僕だけ見てて?」


 ご機嫌なミニアンに対して今村は沈黙を以て応じる。ミニアンはしばらく今村を見てベッドから起き上がった。


「むぅ…仕方ないなぁ。僕と一緒に行くことが条件だからね?」

「いいよ。」

「危ない所になんて行きたくないのになぁ…」


 溜息をついて寝巻用の小袖から薄い紫色の羽衣に一瞬で着替えるミニアンに今村は彼女が望む言葉を察して言った。


「何があっても守るからよ。」


 ミニアンはそれに天女の微笑を以て応えてくれた。


















「…しつこいですね…」

「フハハハハハ!吾輩の第28形態を出させるとは!貴様ら大したものよ!」

「はぁ…最初は後3つの変身を残してるって言ってたのに…」

「レボリューションタップダンス!」

「オールオーバーザナイトミュージック!ウィズナイトメア!」


 今村が行った先では何か変な恰好をした吾輩とか言って笑って触手責めに遭っているおっさんとコンサートを開催している変なの。それに真面目に戦って魔法使いを補助している騎士と魔法使いが居た。


 今村には前半の意味が分からない。踊り子を引いた彼はどこまで追い詰められてしまったのだろうか…と不憫に思った。


 コンサートに意味がないというわけではないのは分かる。これによって魔物たちの一部が熱狂しておっさんに襲い掛かったりしているからだ。


 でも、もう少し何かあったと思う。


「…仁。帰ろう?」

「面白くね?」

「僕は帰って仁とイチャイチャしたい。」

「面白いもの優先。」


 目の前で軽快なタップダンスを行う早乙女。今村はそれらを無視して大魔王の方を見た。

 すると大魔王の方も今村を見て…硬直した。その隙に連撃が決められる。


「あ、バレた。」

「…知り合いかい?」

「アレ。恋人増加促進委員会会長。因みに俺は副会長な。リア充撲滅委員会も此間立ち上げておいたが…こっちの会長も兼任してもらってる。無断で。」


 今村の説明が終わるや否や影が二つこの場に舞い降りてきた。どちらもまさに貴公子と言うべき顔立ちで、今村と祓とミニアン以外が見惚れたほどだ。


 そんな二人の内、髪の毛が黄色い方が今村の方を見て微笑する。今村は軽く応じて名を名乗った。


「…よぉ。今は今村だ。久し振りにアレするか?」

「今村さんお久です。おいそこの、気が効かないなティーセット準備しろよ。」

「あ、僕はコーヒーで。」


 今村に対峙した二人は会長を速攻で顎で使い始めた。会長の変身形態も縮小して平々凡々の顔をしたおじさんになるとすぐに準備にかかる。


「…こんなこと言うのも何回目か忘れたけど…儂って一応会長じゃよな?」


 祓たちが唖然とする前で大魔王は今村たちの前にテーブルと椅子を準備して今村に紅茶、黄色い髪の男はレモンティー。そして赤い髪の男へコーヒーを出した。

 その後自分にも抹茶を準備して席に着く。今村も席に移動した。その後に今着た男たちも席に着く。


「ご苦労。ミニアンは当然とばかりに俺の膝に座るな。」

「おやおや…カトラスさん。今日は目の前に特上の甘いものがあるので砂糖は要りません。後、暑くて仕方ないのでアイスコーヒーに変えっ!」


 今村は無言で目の前の赤色の髪をした男を殴りつけた。


「バラすぞ?」

「あぁ怖い怖い…ところで今村さん。リア充爆殺委員会とかリア充撲滅委員会とかリア充暗殺委員会とかリア充って何ですか?何となくお祭り状態で参加してるんですけど。」

「あぁ、基本的に騒がしくてハーレム作ってる奴等。しかも何か見てて薄っぺらい感じの。」

「成程。純愛系じゃないと…」

「いや、純愛してるのもいるけどね。」


 今村は紅茶を飲む。その途中でミニアンが欲しそうにしていたのでミニアンの口に運んでやってから飲んだ。


「…あっまい。カトラスさんクッキーに何入れた?」

「えぇと…ハーブのと、紅茶、後は抹茶だのう。」


 何気に女子力の高い大魔王。因みに虹の勇者組はミニアンを認識できなかったのに今村の行動によって何かあると凝視することでミニアンを少しだけ見て石化している。


「…そういえば、そこの者たちは僕が見えてるのかい?」

「見えてますけど?あぁ、ご安心を。今村さんの女に手を出すほど馬鹿じゃないので。」

「右に同じ~」

「儂は…」

「対象外だろ自覚しろ爺。」


 赤い髪の男が舌鉾を以て斬り捨てる。ミニアンは今村に今村と彼らの関係を訊いてみた。


「…まぁ簡単に言えば俺らはちょっとだけ普通じゃないんだ。」

「そうそう、ほんの少しだけ。極僅かだけね。」

「…まぁ、今村さんはちょっとどころじゃないと思いますけど…概ね僕らに関してはそう…」

「儂ら全員異常じゃろ。」


 余計なことを言った会長ことカトラスはボコされた。


「まぁ、簡単に言えばこいつらはお前らの対称軸。負の原神だ。まぁお前らと違って象徴的なもんじゃないけどな。まずはこっちの黄髪がドエスノ。」

「あ、今村さんがこんな感じの名前何で僕の名前も変えときますね。ん~…瀬目野せめやとかどうですかね?」


 速攻で存在を表す名前を変えたドエスノこと瀬目野。


「こいつはドSだ。でこっちの赤髪が我侭な…」

「俺も名前変える!ん~……ん~…カトラスさんも考えて!」

「む…そうじゃな。」

「やっぱいいや!神谷で!」


 この後カトラスの説明はなかった。代わりに瀬目野がこの委員会における今村の紹介を行う。


「…で、今村さんは暴虐なる破壊神ですね。」

「え~理を曲げる魔壊神がいいって。自己中心主義だしさ!」

「砂利ども殺すぞ?」

「じゃあ僕の方からも挨拶だね。仁の妻のミニアンだよ。夫がお世話しているみたいだね。あんまり無理させないようにしてね?」

「「「YES!MAM!」」」


 ミニアンはそう言って彼女のお願い(命令)に心を失って頷いた彼らをローブで殴っている今村に体の全てを委ね眠りに入ることにした。


「明日は結婚式だから…ね?」


 こう言い残して。




 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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