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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十一章~面倒事処理~
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4.ランダム

「…んん?アレ…?【魔神大帝】くん混じってない…?」


 とある世界の裏側…といっても今、今村たちがいる世界の裏側でこの世界を創造した者が最初のイベント攻略者を見て固まった。


 そして手近の資料を見ていく。


「…確か…ゲスト…断られた…はず…」


 でなければ危険を冒してまで第1世界との通信を行って別の神などを呼んでいない。


「あるぇ?やっぱし…断られてるよね…だって遊びモードじゃないもん彼…何でだろ…?」


 彼は今村が来た理由を調べる。


 自分からの参加でないのに彼を無理矢理呼びつけでもすればこの世界は速攻でクリアされるに違いないのだ。


 それは大変だ。仕込みにどれだけかかったと思っているのだろう。


「…あ、チート群の特典付与で元の世界で最も必要なモノを…この子か…相変わらずモテることで。ぺっ!」


 彼は忌々しげに床に唾を吐いた。とても汚いのだが彼を止める者はこの神域には居ない。


 ついでにその唾から一人の女性が生まれる。


「はーぁあっ!第1世界の6原神の一柱を射止めておきながらまだ増やすんかね?やってらんねぇぜこの野郎!毎回毎回…」

「主様。」

「ちょっとモニター見て何かあったら対応してて。俺はちょっとやることが出来たから…」


 女性の方に一瞥もくれずに彼は立ち上がった。女性は彼の命令に素直に従うだけだ。


「さぁて…ちょうどこの世界を視たがっていたミニオン様の侍女がゲストに来るんだ。格好悪い所を見せて目を覚まさせてあげようじゃないか!」


 そう言って彼は女性を残して去って行った。
















「…さぁて…中ボス出たな?爆散しろ!」


 今村はすでに中盤の町に入っていた。祓も職業が神官から上級神官に変わっている。


「…こんなに楽してていいのかな…?」

「…これだけ魔力解放が行われれば飛べるな。」


 今村は中ボスを見てすぐに爆散させるとレベルアップして封印の一部が解けたので空を飛んでみる。


「…まぁ…行けんことはないな。祓。乗れ。」

「え、はい…」


 今村の背に乗る祓。それはそれとして何をするのか聞いてみた。その答えは…


「飛んで世界回って一番魔力が多い所に行ってさっさと魔王を殺す。」

「…いきなり魔王城ですか?」

「まぁあんまり気にするな。何かあっても守るし。」


 今村のナチュラルに吐いた言葉に祓は顔を真っ赤に染める。だが今村の頭の後ろなので今村はそれに気付かない。が、祓の締め付けが強くなったのは分かった。


「…さぁて飛ぶぞ。」


 そして世界を回り始めて…しばらくした時だった。


 ―――緊急停止措置が下りました。アカウント:今村仁様は大賢者の職を剥奪されます―――


「あ?」


 ―――3・2・…―――


 今村は魔力の減少を感じ、そしてどことも知れぬジャングルの地面に降り立ち、祓を降ろす。


 ―――0、これよりランダムでの職業配置を行います…邪し…緊急停止措置が下りました。ランダムを再度行います。魔じ…緊急停止措置が下りました。ランダムを再度行います。―――


「…最早ランダムじゃねぇな。」


 この裏側ではステータス配分でなるべく多くの数値が割り振られるのを頑張っているゲーマーのような感じで創造神が頑張っている。


 ―――酔いどれ緊急停止措置が下りました。…………ランダムを再度行います。―――


「今多分これで良かったのに行き過ぎたよな。」


 おそらくゲームバランスを崩す今村を止めたくてランダム措置を行っているのにどうせ…と思って押し過ぎたせいで少し後悔して進めたに違いないと今村は微笑ましく見守る。


「え、いいんですか?」


 何らかの対抗措置を取ると思っていた祓は少し職業を聞いてからのランダム設定が遅くなったのを微笑ましく見守るだけの今村に質問するが、今村は普通に答えた。


「今の俺じゃ対抗も出来ない。だって相手第1世界の結構上位の神だし。『神核』ありで特定の日にちだと何とかできるけどな。」


 ―――ランダムを再度行います。【菓子職人パティシエ】。…今村仁様の職業は【菓子職人パティシエ】に決定しました。―――


「…ふむ。」

「え…これは流石に…」


 流石に生産職でどう戦えと言うのか…と引いた祓。その時、祓の気配探知にこの地のモンスターが引っ掛かった。


「【ステータスクオ】」

「先生…かなりの猛獣のようですよ?私が囮になるのでその隙に…」


 祓が何か言い募る間に今村はステータスを確認する。


 今村 仁


 職業:【菓子職人パティシエ


 LP:10012

 MP:519217

 AT:12197

 DE:9714

 MA:93292687


 【スキル】

 【異常自動MP回復】:魔力のある場所においてMPが途切れない。

 【状態異常無効】:あらゆる状態異常を無効化する。

 【?k+@⁂⊕⋆&】:⊞¿?$sℚ~∻…

 【神技】:ω@:%$◌♯*ksφ×…

 【万能食技】:食物に関することであればあらゆることが許される。


 備考:能力封印済み→特殊アイテム類・特殊装備品類・呪い全般・一部【神技】


「…ふむ。試しだ。」


 今村は何気なく飴を出現させた。コーヒー味だ。そしてそれを今村の気配探知に引っ掛かっている二つの首を持つ狼に投げつける!


「先生…何を…?」

「実験。」


 そのコーヒー味のキャンディは近くにあるモノを喰い、どんどんと膨張して行く。


「…え?」


 そして獣に着弾する頃には扇状に物が薙ぎ倒されていた。


「…本当に何でも許されるのな。」

「……え?【菓子職人パティシエ】って…」

「最近の【菓子職人パティシエ】って凄いな。」


 【菓子職人パティシエ】が聞いたら全員が首を振りそれはあなただけだ!と突っ込みを入れたくなるようなことを平然と言ってのけ、今村は名状しがたい物を地面に置いた。


 そしてそれは勢いよく地面を侵食していく。


「…何ですかその禍々しい物…」

「俺のある程度の範囲内における失敗作のガトーショコラだな。」


 少なくともガトーショコラは自ら動くことはない筈…そう思った祓だったが、今村がそう言うのならそうなのだろう。別世界にガトーショコラと言う兵器があったのだろう。


 そう思うことにした。オペラだってミュージカルもあればチョコレート菓子だってあるのだ。あり得なくはない。


「よし、見晴らしがよくなった。」

「…あっちの方に町がありますよ…?それに怯えている子供がそこにいます。」


 森の入り口らしき所に子供が二人非常に怯えて蹲っていた。今村たちは歩いてそちらに向かう。


「あ、あんた…いきなり森を消し飛ばすって…正気…?」

「まだ始まってすぐなのに…もうここまで来た上に最上級職…?」

「さっきまで大賢者だったが、今は【菓子職人パティシエ】だ。最上級職じゃないな。で、中の人。素になってるから。」


 そう言われて子供たちは慌てて子供の姿を取り繕った。しかし、その口の中ではあんなに禍々しい物【菓子職人パティシエ】が作れるわけが…とか中身ごと殺されるかと思った…などと運営側のことをぶつぶつ呟いている。


「…で、ここどこ?」

「ここは人族が治める最後の町、『トリュンマー』だよ?」

「ロストワーズの一つで廃墟か。滅ぼす気満々だな。」


 子供たちの顔が引くついた。そう言うのは分かっていても黙っていて欲しかったのだ。


「じゃ、魔物の襲来とかあるんだな。準備しねぇと…」


 祓は今回の二人きりの旅行もすぐに終わるのかな…などと緊張感皆無で一行の中に混ざっていた。




 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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