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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十一章~面倒事処理~
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3.イベント?知らない。

「…さて、一応こんな下らん茶番に付き合ったが…中の人たちのも早く終わらせてほしいって言ってもらったし、さっさと魔王を殺しに行くか。『千変特化異化探知』…」


 今村は大規模な魔法陣の中で職をつけられながらさっさとこの世界を終えることに決めた。しかし、すぐに異変に気付く。


「…発動しない?ってか…封印されてますだと…?」


 どうやらこの手は使えないらしい。そうこうしている間に今村の職が大賢者に決まった。


「…ちっ。さっさと終わらせるつもりだったのによ…」


 ハローワークから出て合流した時に、これからの相談をしているとすでに魔王を倒した後だよ?という感じに持って行きたかったのだが仕方ない。


 少々機嫌を悪くしつつ外に出たのだが…そこで今村はテンションが跳ね上がった。


「うっはははは!早乙女!何つー恰好しとるんじゃ!」

「うっさい!」


 外に出た早乙女の格好は、どぎつい黄色の短いベストと短パン。そして誰にとっても得でないへそ出しスタイルで手にはこれまた蛍光色の黄色い紐が並んでいる長いリストが備わっていた。


「ハハハハハハハ!ヒャハハハハハ!踊り子か!」

「うっせぇ!」


 今村は異世界の地球、その中の日本での古い間違った男性アイドル衣装を思い出していた。


 ついでにこいつの踊る姿を携帯で撮って後で動画にアップしようか?とまで考えた。


「ちくしょ~…呪われてるし…」

「このまま旅か!悲惨過ぎんだろ!」


 装備欄があって、その中には頭・胴・腕・脚・靴・装備品・武器がある。そのうちの胴と腕と脚がすでに決定されているのだ。


「微妙に高性能だし…」


 因みにグッド・コーディネートとついてステータスに補正が付いているらしい。コーディネート名は昭和のアイドル。味方のテンションアップ効果もあるらしい。


「はー、はー…ウケた~…踊って?」

「やだよ!」


 そんなことを言いながら今村は固有スキル持ちという蜂須賀を見た。


「こっちはこっちで面白かったけど…蜂須賀、イケメンってどんなスキル持ち?」

「…分からない…スキル名が読めないし…」


 今村は蜂須賀からスキルの文字を教えてもらった。


(…Glory of beautiful clown…美しき道化師の栄光だな…さて、どんなスキルか…)


 そんなことを思っていると祓が建物から出て来た。修道衣を着ていたが、ソリッドが深く、眩しい太腿が見えるもので胸の方も服の上からでもわかる。


 どう見ても神に仕える者が着る服には見えなかった。今村は一応日本にいたのでそう言う服もあるだろうな~で済ませたが、ゲーム文化のないゲネシス・ムンドゥスの面々は顔を赤らめて背けた。


 そんな中、蜂須賀だけが何故か急に上を脱いで祓に近付く。


「お嬢さん。お寒いでしょうからこれを「あ、結構です。」………って俺は何を?」


 いきなり自分が取った行動の意味が分からず、首を傾げる蜂須賀。今村はそれを見ながら仮説を立て、実証してみることにした。


 その為に傍にやって来た祓を蜂須賀の前に戻し、美川と寸劇をさせる。


「『マリオネットデイズ』…ちっ…射程距離が激減してやがる…」


 美川が持っていた槍で祓に襲い掛かる!


「危ない!」


 その前にいきなり身を挺して出て来る蜂須賀。その身が貫かれる直前で今村は槍を止め、様子を窺う。


 蜂須賀は祓に決め顔で言った。


「もう大丈夫だ。僕が守ってあげるからね…」

「いえ、要らないです。」


 寸劇が終わると今村は「マリオネットデイズ」を解き、蜂須賀は項垂れていた。


「…そういうスキルだ。地雷だな。」

「意味わかんねぇ…何だこれ…」

「多分イベントがあるはず。…まぁ俺は今から速攻クリアしに行くから意味ないけど。」


 しかし、今村は「翔靴」も「ワープホール」も使えない上に自身の能力にも制限がかかっており、移動手段がかなり潰されていることに気付いた。


 それを確認した後、今村は舌打ちを一つする。


「…ちょっと時間かかるな…どこに居るのかもしれないし…順々にやらにゃぁならんかのう…?」

「ちょっと待て、これからどうするんだ?」

「……何でお前踊ってんの?」


 早乙女は奇妙な踊りを踊った!皆から白い目で見られた!今村は所々の決めポーズで爆笑している!


「何か…急に踊りたくなって…」

「…あ、その呪いの装備の所為だな。変な瘴気が漂ってるし…どれどれ?」


 今村は「解析眼」を使った。これは使えるようだ。


「…なるほど。『大御所の意向』か…そのイエローベスト(ミニ)の元持ち主は大御所の急な無茶振りに若手の頃踊らされた…ということだな…頑張れ。」

「何言ってんだ!?」

「…皆この世界を創った奴の掌で踊ってるだけってな。ってか、いい加減進もうぜ?歩きながらでも話は出来るだろ…」


 ということで移動開始。が、今村と祓だけ歩くスピードに制限を掛けていなかったのですぐに逸れた。


「…頭ん中戦闘モードになってたからしくった。」

「…歩いて数分で次の街に着きましたからね…」


 因みにエンカウントした敵は良く覚えていないが道を塞いでいる者だけ今村が燃やした。


「…まぁいっか。別にあいつ等も大人だ。4人で何とかしてもらおう。さて、情報を集めようか…式神はっと…」


 が、何故か符を持っていなかった。


「…あ゛ぁ?あり得ねぇだろ…一遍死ね。」

「地道に聞き込みしますか?」

「…いや、めんどい。…『魔力視』」


 今村は周囲を見回り始めた。祓が何をしているのか聞いてみる。


「…おそらくプログラムが普通より少し多いから余計に力が入ってるはず。見つけた。」


 そして迷うことなくその方向に進み、話を聞いて町長を殺した。


「…え?」


 祓が呆然としていると町長の死体が溶け、そして異形の者になった。


「い…いきなり…ぶぎょえっ!」

「魔王軍なら魔王の居場所を吐いてもらおうか。」


 今村は異形の者を蹴り飛ばすと足蹴にして冷たく言った。


「し、知らね…」

「だろうな。知ってる位の強い魔王軍ならもっとわかりやすい位に魔力を持ってなけりゃおかしいもんな。…ところで次の町に行く前の必須イベントなんだろうけど。俺、お前を中身ごと殺すかもしれんけど…どうする?」

「ちょ…ちょっとお待ちを…」


 そう言うと異形の者はしばらく動きを止めた。


「どうぞ。次へ。」

「ん。」

「…【魔神大帝】とか呼ぶから…」


 異形の者の呟きを無視して今村はこの町を出た。


「えぇっと?祓…次の町の前にそろそろ日が暮れそうだから金になりそうなもの集めて行くぞ?」

「はい…」


 夕暮れの道すがら、木属性の魔術を使いながらゆっくり歩きながら薬草がその後を追って袋に入って行く光景のすぐ傍で祓は頷いた。




 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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