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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十一章~面倒事処理~
223/644

2.また異世界ですか。そうですか。

 ―――ようこそ、元の世界に不満を持ちし者たちよ。ここは私の創りし世界。汝らにはこの世界に巣食う魔王を倒して貰う。―――


 今村は天に出て来た明朝体の縁が金色で中が黒い文章を音声を無視して見終えると溜息をついた。


「…はぁ。俺はチート群の5名に当たるわけね。にしてもこの神が人と人の繋がりを一時的にでも何とかできるやつで良かった…じゃないと祓死ぬしな…」


 この世界は今村が持っている閉鎖空間とは別の第1世界の神が自分用に創った閉鎖空間らしい。


 この閉鎖空間内においては他の世界と関わることはできない上、他の世界には各自の役割を果たす何かしらを送ったので助けは来ないとのこと。


 そしてそんな閉鎖空間に今回集めたのはゲネシス・ムンドゥスから500人。他の世界も含めると総勢100万人らしい。


 その100万人の中に5人のチート群がいるとのことで、彼らはだいたい第1世界の住民。異能力持ちだとのこと。


 ゲストとして別の神が今こちらに向かっているようだが今村には関係ない。忙しいし眠いのでさっさと魔王とやらを倒して帰るだけだ。


「…今は封印気味だからあんまり良くはないと思うが…とりあえず何が出来るか見とかないとな…【ステータスクオ】」


 今村 仁


 職業:無職


 LP:90992

 MP:320983

 AT:9803

 DE:4398

 MA:39843739


 【スキル】

 【異常自動MP回復】:魔力のある場所においてMPが途切れない。

 【状態異常無効】:あらゆる状態異常を無効化する。

 【?k+@⁂⊕⋆&】:⊞¿?$sℚ~∻…

 【神技】:ω@:%$◌♯*ksφ×…


 備考:能力封印済み→特殊アイテム類・特殊装備品類・呪い全般・一部【神技】



「…無職かよ…ってか、バグってんじゃねぇか…まぁいい。」

「先生っ!」


 ステータスを見ていると後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。そして背中に柔らかいものが勢いよくぶつかる。


「ぅぅ~…いたんですね…またしばらく会えないかと…」

「…お前こそいたんだ。」

「…アレ…?今村君…?」

「…おぉ…森か…」


 後ろから飛び込んできたのは祓だったが、更にその後ろから声をかけてきた男がいる。


 そしてその男は今村の白水高等学校における3年間の同級生。森 照史てるふみという男だった。


「…流石に今は起きてるな。」

「その子って…アレだよね…?1年生の時の…まぁいっか。それより見てくれない?僕のこの素晴らしい能力!」


 そういうと彼は右腕を一気に解いた。そして中から触手がうぞうぞと出て来る。


「…増えたな。前は地面に生やして学校に連れて来てたのに…」

「何かこの世界に来たら、体に移植されてて、しかも何か増えてた。」

「大問題じゃねぇか。」

「ん~前より便利だからいいんじゃない?」


 森はそう言って触手を自在に動かした。祓を見て、自分の所に引き入れたいと思って集まっていた周りは関わり合いを持ちたくないとばかりに退いて行く。


「…あれ?今村…?」

「おぉ…お前らも来てたんか…」


 そしてそんな引いて行った周りの中から一度異世界に行った仲の男二人がやって来る。


 蜂須賀と美川だ。


「…何に不満持ってこの世界に呼ばれてんだこのリア充共…」

「…わかってるだろうに…」


 今村は黙って顔を逸らした。彼らは中学生の時から一途な片思いを続けているのを知っていて、しかも成就していないことも知っているからだ。


「…で、その…その背中に張り付いている可愛い女の子は…?もしかしてあの戦場の時の…?」

「そうだな。口説くなよ…まぁ口説きたければ口説いてもいいが…な?」


 今村から妖気が発せられる。今村は彼らの片思いに結構尽力したのに今更変えたらぶっ潰すぞ?という意味の警告だが、祓はそんなことは知らずに普通に嬉しいと感じた。


「…あ、森。あれ早乙女じゃね?」

「………あ、本当だ。」


 気付いたら向こう側で甘ロリに身を包んだ狐耳のラベンダー色の少女に平伏している男が居た。


「…もしかして、二次元からのこっち側への召喚が成功したんかね?」

「多分…だってアレ、ケモ好きの早乙女君が推してるキャラ、みみちゃんだし…」


 今村は触手使いの森に早乙女を連れて来るように言った。


「うわっ!」

「…野郎の触手責めか…誰得だろうか…?」


 別にこの場にいる男たちは蜂須賀、美川を除いて普通の顔立ちなので興味を示す者は誰もいない。が、森がついでにと触手責めに合わせたみみとか言うキャラに関しては別だ。


「森ィぃぃぃっ!みみちゃんに何しやがるぅぅぅぅっ!」

「触手責め。連れて来たよ~」

「…さて、早乙女。おめでとう。念願が叶ってよかったな。」

「はぁ…はぁ…みみちゃんファイア!」


 狐火が出たが、今村は片手で弾いた。そして辺りを見渡す。気付くと殆ど誰もいなくなっていた。


「…じゃ、とりあえず…ハローワークに行くか。」


 ということで天の文字に書いてあった職業を決める場所という所に行ってみた。



















「…長いな…」


 そして行ってみるとそこはすでに店の外に出て、町全体を覆うかのような長蛇の列だった。

 しかし、それは絶えず動いているので今日中には一応職を貰えることにはなりそうだ。


「…今村君何見てるの?」

「動画。」


 今村はそんな中でも地球の携帯があり、それでダウンロードしておいた分を見て楽しんでいたので特に時間の流れは関係ない。


 祓は今村にべったりなまま移動する。


 森は時々触手で色々やって、早乙女は甲斐甲斐しくみみを世話して、蜂須賀と美川は話をして待っていた。


 そして何時間か後、森がカラフルな触手のハンモックに揺られて眠りについた後に今村たちの順番が来た。


「職業割決め所となっております。こちらにどうぞ。!…今村様…は選択肢が非常に多くございますので少々お待ちください。天明様…は5つになるので今しばらくお待ちを。森様は魔物使いになります。早乙女様が選択肢が2つ、美川様は3つ、蜂須賀様は2つになりますのでここでお待ちください。」


 表情だけは微笑みながら目が無表情の受付嬢がそう言ってベルを鳴らすと森だけが連れて行かれた。


「では、蜂須賀様。戦闘士とイケメン。どちらに「イケメンで!」」


 今村がこれは面白そうだと割って入った。蜂須賀はそんな今村を押し留めて受付嬢に話を聞く。


「戦闘士はまだ分かるんですが…イケメンって…」

「補助能力が基本ですね。それに他の職では持てないジョブスキルというものが付きます。」

「…名前はアレだが…案外まともだな…じゃあそれで。」

「それでは蜂須賀様を。」


 蜂須賀も連れて行かれた。そして次は美川になる。


「美川様、騎士と戦闘士、イケメン。どれになさいますか?」

「…俺は蜂須賀とペアになるだろうし…補助職はいいか。騎士で。」

「それでは美川様を。」


 美川も連れて行かれた。次は早乙女だ。


「早乙女様。召喚士と踊り子、どちらに…「踊り子一択だろ。」なさいますか?…踊り子でいいですね。」

「え?お、ちょい!」


 早乙女は受付嬢の独断と偏見で連れて行かれた。そして祓になる。


「天明様。巫女とアイドル、それに魔法使い、神官、上級戦闘士どれになさいますか?」

「先生…」


 どれにすればいいかと言う意味を込めて今村を見ると今村は祓の横に来ており、目の前のハローワークの職員と談笑していた。


「いや~一瞬であいつの弄られ属性見抜くとはやるね。」

「いえいえ…虐めてオーラが半端なかったので。」

「ハッハッハッハ」

「ホホホホホホ…」

「…先生がこの中だったらどれにしますか?」


 祓は今村をこちらに向かせて選んでもらう。その間に今村にはハローワークの職員からリストが渡された。


「今村様の可能職業は619職となっています。お選びください。」

「…全650職だったな…イケメンとか女性職は無理として後何が出来んかったんかな?…まぁいいか。魔術師の欄の上級はっと…大賢者か…」


 因みに魔術師の欄は魔術師→魔導師→魔法使い→大魔導師→賢者→大賢者の順番でクラスアップだ。

 クラスアップの解放基準の他の職も出ているので全て問題なく出ている。


「では大賢者で、この世界を早く終わらせてください。期待しております。」

「終わらせていいんか?」

「はい…正直に言いますと他の仕事があるんですが…さぼ…これ以上は申し上げられないようです。」


 突然赤いランプが灯ったので受付嬢は口を噤んだ。


「…では、神官にします。」


 祓はどこでも変わらない今村を見て回復役を選んだ。





 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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