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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
章間10
221/644

女子会・男子会

「…という事で本年度最後の報告会及びに来年度への壮行会を始めます。」


 「幻夜の館」で【反独身貴族連盟】におけるトップ層の女性陣たちの宴が始まった。

 この場にいるのは、サラ、ヴァルゴ、みゅう、祓、ミーシャ、月美、マキア。その他の人物、及び一定水準以上の知的生命体は別室で慰労会を行っている。


 因みに座敷童が時折この部屋にお菓子を取りに出て来るが誰も気にしない。


「みゅうは頑張ってるけど【時間神】は見つけれてないよ。邪魔ばっかり入ってイライラしてる。」


 まず口火を切ったのはみゅうだった。可愛らしい目を少々細めて機嫌が悪そうに天蜜蜜柑てんみつみかんのオレンジジュースを飲んでいる姿はとても可愛い。

 但し、荒れ狂う氣はそんなに生易しい感想を抱けるものではないが…


「私の方は…何か色々まだまだですねー。まずどれだけ言っても前世の分含めて冗談としかとって貰えてなかったみたいだし…」


 次いで、マキアが入った。いつもの元気な姿とはうって変わってやけ酒を飲んでいる。


「はぁ…まぁ色仕掛けは全部軽く躱されてまーす。ただ、微妙に悪ノリしてる時は楽しくていいんですけどね…本気まで流されているのが現状でーす。」

「…最近、『幻夜の館』姿を見かけませんけど…」

「研究に没頭してるんで。…後、ちょっと前に先生の部屋に夜中全裸で侵入して添い寝を敢行した時に…」

「…パパに何してるの?」


 みゅうの手に持ったグラスにひびが入る。が、マキアは気にせずに続けた。


「中は寝静まってたんですけど部屋の扉が開いた途端先生が起きて、超怒られました。それで次何かアウトなことをしたら嫌なモノをお前専用に召喚してやるって言われたので活動自粛中です。」

「…先生は寝るときは凶暴になりますからね…」

「そう言ってじゃあどうせ寝るときに凶暴ならベッドの中で…」


 そこから先は妖猫酒で酔ったミーシャの猫パンチで黙らされた。


「つっぎは私れすれっ?今村さんは最近改革にいそらしいんれすが、私もらんらってたので時々一緒の部屋で仮眠取ってるのが楽しいれす!にゃははははー♪」


 無言でグラスがいくつか壊された。が、グラスの中身は浮いたまま…そして猛スピードでミーシャに襲い掛かった。


「うにゃ?飲み比べ~♪」


 その猛スピードの弾丸をミーシャは全て口で受け止め、それらを飲み干す。


「ねむねむ…ふにゃ…あ、後最近みんなで温泉に行ったのも楽しかった。うん。ね祓ちゃん?」

「…それ、今ここで言ったら…」


 今度は手近にあった瓶が割れた。


「…ズルい。みゅうも行きたかった。」

「みゅうさんは月に一回先生とお風呂に入ってるじゃないですか!私たちだって頑張ったんですよ?少しくらい…」

「みゅうも頑張ってるー!みゅうもー!パパに言って来る!」

「…妾たちなんぞすでに再来年度の仕事に取り掛かっておるのじゃが?」

「ですよね~?私たちご先祖様が見たら発狂するくらい仁さんの所に早く行くために協力して仕事してますよ~?」


 サラとヴァルゴは結託したようだ。基本、彼女たちの所が最も交友が浅い。お互い忙しい身で協力関係とはいえ、他の所で楽しくされていれば少しはムッと来るものもある。


「来年度は待遇の改善を求めるのじゃ!」

「そうですよ~!月に3回は来て欲しいです~!」

「じゃあみゅうも時々はパパと旅行に行きたい!」

「…マスターの身が大変なことになりますが…」


 唯一今村の現在行っている仕事量を把握している月美が今村からこの前貰った酒でほんのり顔を赤らめながら水を差した。


「…来年度は大学に通いながら教鞭を振るい、改革の予定との差異を確認し、各地を訪問しつつ『レジェンドクエスターズ』の事業拡大及びの排除。諸外国への牽制に自衛、また研究までして鍛錬もする予定なのですが…」


 月美はそこでわざと一拍置いて言った。


「まだ、我儘を押し付けられるのですか?」


 空気が白けた。が、みゅうがそんな空気はすぐに吹き飛ばす。


「む~…ずっと一緒に居る余裕め…みゅうがもっと敵を引き付けてパパを楽にするもん!その分甘える!」

「…先生がしていることを減らせば甘えてもいいはずですよね…?『レジェンドクエスターズ』の事業関連は私がやります。」

「え?…じゃあ研究かな…」

「鍛錬じゃな。」

「天の目を駆使して『レジェンドクエスターズ』に対する悪事をリストアップしておきますね~」


 次々と自分の特技を使って今村の負担を減らしていく彼女たち。月美は酔いどれのミーシャを見て「政治は…彼女か…」と口の中で言葉を転がす。


 どうやら今村の負担を軽くしてくれるらしい。なら彼女に異論はなかった。


「…失礼しました。ではスケジュールの方の調整に…」


 そして月美も話に加わった。



















「じゃあ…飲み会始め。リア充死ね!」

「うおっ!」


 開始と同時に今村はタナトスにナイフを投げた。


「何するか!」

「悪ノリ。大丈夫大丈夫。これ当たっても痛くないから。…まぁ代わりに性欲が異常増殖するけど。時間差で。…大体家に帰ってひと眠りした後かな~?」

「頼みます。それ、絶対に売りに出さないでください。」


 「レジェンドクエスターズ」のことを知っている一同はすぐさま土下座して今村に頼み込んだ。


 因みにこちらは今村、タナトス、イグニス、トーイの4人となっている。各ハーレムは今村の説得に応じて各自の部屋にお留守番中だ。


「うん。これだけ濃度が高いのは売りには出さんよ。売りには。」


 すでにこの会を開くにあたって説得用に各ハーレム陣に渡している。その件は黙っている予定だ。


 大体、彼らとは長い付き合いなので嫌いであれば実力行使に出ているであろうのに今でもなんだかんだ言いながら一緒に居るのが彼らが茶番を繰り広げている証拠だ。


 これらを以て今村はさっさとくっ付けばいいのにという色々な行動を行っている。


「…さて、この腐れ照れ屋ども。」

「いきなり暴言か…」

「結婚についての考えをどうぞ?あ、姉貴はなしな。アレに関しちゃ別の奴とくっ付いてもらう予定だし。」


 一同が固まった。今村は予想通りの反応に心中溜息をつきながら続ける。


「…はぁ、お前ら…まだ諦めてないのはいいことだが…ってかとても面白くて俺的にはもの凄く嬉しいことなんだが…あれにはアーラムと…」

「…それはちょっと考え直した方がいいと思うが…」

「…同感だ…」

「アリスさんがあまりにも可哀想じゃ…」


 これは今村の予想にはあまり即していないものだった。反対の意見が出ると思っていたのだがこんな感じで出されるとは思っていなかったからだ。


「…あれ?もっと感情的に拒否るかと思ってたんだが…」

「…いや…御大将が…ん~…まぁとりあえずそんな感じでいる限りは諦めないってことですね。」

「…意味わかんねぇ。まぁいいけど…とりあえず飲んでから考えるか。」


 この後は普通に飲み会になった。






 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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