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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十章~卒業と就職と進学~
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12.お風呂

「…ま、いっか。」


 今村は混浴についてこの一言で済ませた。そんな彼は男子生徒が全員簀巻きにされていることを知らない。


「「「「「背中を流させてください!」」」」」

「もう流した。」


 今村はローブ姿、女子生徒たち、及び祓、ミーシャ、芽衣は湯衣。石田は一応遠慮しておいた。


「…そのローブが…ローブが…」


 怨敵を見る目おどろおどろしい眼でローブを見る芽衣。そしてマキアが遅れてこの場に飛び込んできた。


「テメェ!服着ろ!」

「着ってまっすよ~!」


 上機嫌でマキアは今村の攻撃を避ける。今村はマキアの言葉を聞いて嘘ではないことを聞きとった。


「…どういう…?」

「虚飾の付与の服です!先生以外には服着てるように見えますよぉ~!」

「…変えろ。」

「いいですよ!」


 マキアはにぱっと笑って脱衣所に戻って行った。


 今村は言っておいてなんだが素直に戻るマキアに首を傾げた。そしてマキアは普通の白い湯衣を着て戻ってくる。


「じゃあ代わりに!近くに居させてもらいますね?」

「…ほう。お前…俺が特製温泉湯改造の素を持ってるのに気付いてたか…」


 今村はこれだけ美女揃いというのに温泉の事しか考えていない。


「まぁ、あんまり効能変えるのもアレだし…まぁ周囲1メートルだけしか使う気はなかったんだが…まぁ気付かれてんなら…よっと。」


 今村は緑色の粉末をばら撒いた。


「ふにゃぁ…」

「ひゃぁ…」


 途端にミーシャは耳を伏せて思考を放棄した。生徒たちも崩れ落ちる。今村はそれを見て一応説明を入れておく。


「俺の常用の濃度10分の1。中毒性があるからあんまり長湯はす…マキア?」

「いや~ん♪」

「ぶちのめすぞ?」


 説明途中で湯衣が溶けていっているマキアを睨む今村。その視線の先にマキアは見せたいところをてていく。


 今村は仕方がないのでローブ…を使おうとして温泉改造の素を出しているのを思い出し、これで触れたら発情して大変なことになる恐れがあるので止め、髪で隠すことにした。


「きゃぅ♪えっへへ♪先生の髪で縛りプレイ!」

「…叩き落とすぞ?」

「むしろご褒美です!」


 黙ってマキアを持ち上げてお湯の中に叩きつける。


「先生、先生」

「あー?」

「呼んだだけです♪」

「死ね。あ、却下。」


 生徒の一人が大層ウザかったので今村は素でそう切り返したが「呪言」のことを思い出して即座にそれを消し飛ばす。


「先生、先生」

「…なんだ?呼んだだけとかだったらぶちのめす。」

「ちゅうしてキスしてレロってしてください。」

「…最初二つは分かるが…ってか嫌だけど。」

「舌で舐めてください。」


 超真顔で返されて今村はもの凄く微妙な顔をして温泉の湯改造の素を自分の周囲のみに回収した。


「これがあるからイカンのだ。まぁ俺は使うけど…」


 媚薬成分が多少入ってるが、彼女たちの能力なら問題ないだろうと思っていたが、仕方がない。希釈すると自分にとって意味がないので集める。


 …それがいけなかった。


「えへへへ~」

「…おぅ。」


 蜜に群がる蝶の様に女子生徒たちは今村の方に迫ってくる。超密度の中で今村は温泉の湯で透ける湯衣を纏った女性陣の扱いに困った。


「ん~…風呂場は基本戦闘するなら相手を殺す気になるからな…」


 個人的な信条の下、風呂場は非戦場なのだが、相手が出来た場合はその限りではないので少し考える。


「…まぁいっか。役得とでも思うか?」


 実はほぼ素の彼女たちは代わる代わる今村の下へ移動してぎゅっとして楽しんだ。


「…さて、そろそろ…離れないと死ぬか火傷するぞ?」


 そう言うと今村の周囲の温度がどんどん上がり始める。沸騰して…そして地面が見える。


「え…?」

「あ、『水呪空印・湯風煙』…まぁこれで色々大丈夫だろ。」


 沸騰した水蒸気を強制的に水に戻すように設定したついでに危険を一応排除しておく。但し、必要以上に近付く者には容赦しない。マキアはとりあえず火傷して治しに出て行った。


「ふぅ…極楽だね。」

「…地獄じゃないですか?」


 少なくとも煮えたぎるお湯に浸かる極楽はない筈だ。そう思って突っ込みを入れたが今村には沸騰する音で聞こえない。





「…じゃ、体も暖まったこっちゃし、雪見酒といくわ。…いる?」

「はい。」


 この場に残っているのは祓、ミーシャ、芽衣、それに復活したマキアと月美だ。他の面々はレジェンドクエスターズの業務に移動した。


 そしてしばらく飲んで酔った今村は今回、絡み酒になっていた。


「お前らいい加減結婚考えないとな~?」

「…先生が好きって私前世から言ってますけど?」

「はいはい。冗談はもうなしっての。」


 しかも性質が悪いことに恋愛事の話だ。その上、好意は全て冗談と一笑に付すか聞こえないかという嫌がらせのようなオプション付きとなっている。


 最初はまだ心にゆとりを持てた祓たちも段々本気で悲しくなってきた。


「本当に…何で…本気なんですよ?私…冗談とかじゃ…」

「はいはい。」

「あれだけ…先生以外に…私…」

「体の良い虫除けだもんな~俺。」


 最後の一言で泣きが入るマキア。


「…こういう時の先生には何を言っても無駄です。」

「そうそう。祓はさっさと相馬とくっつかないと続くよ?」

「死んでも嫌です。」


 祓は告白すらできていない。マキアの方が前を行っている焦燥感に身を焼かれつつ今村の言葉に傷を更につけられる。


 言葉の矢面に立ちたくない芽衣とミーシャは何も言いださない。


「アハハハハハハハ…あ~死にたい♪」

「「「「駄目です!」」」」

「うっさいな~…まぁいいや。触んな。」


 死にたいと言ったことでローブを掴みにかかって来た4人をあしらうとひらりと舞って風呂から出て行った。


「ニャハハハ!まだ自殺は駄目だ俺!頑張って生きようぜ!」


 全員の心に重石を乗せて。


「…フフフフフ…この、性欲を司る女神、グロ・マキアは、ぜぇったいに諦めませんけどね…」


 そんな中、重石を乗せられ、気持ちを信じてもらえなかった彼女は逆に火が点いていた。


「…基本、研究に勤しみます。皆さん…それじゃ。」


 幽鬼のような雰囲気を纏ってマキアは消えて行った。





 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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