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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第十章~卒業と就職と進学~
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10.秋が過ぎ、冬が来て…

「…忙しいな…」


 改造に着手しすぎたせいで今村はほぼ休みなしで1ヶ月以上働いて、私立白水学校で高校生活中の式神の方に力回すのが惜しく、何か雑な感じで「幻夜の館」以外の所を過ごしていた。


「…大学受験が…」

「…先生…自治区の中で…いや、世界の中でも怪物レベルの企業のオーナーになっておきながら大学に通うんですか…?」


 祓が術でペンを浮かし、同様にして浮かしている紙にサインをしながらお茶を持って来て今村の机の上に置きながら突っ込んだ。


「ん~?…まぁね。いや、小中高とろくな学園ライフしてこなかったし、最後位はねぇ…って思ってね。」

「…『アカシックレコード』とか言うのにアクセスできるのに今更人の子から何を学ぶ気ですか…?」


 祓は緑茶と一緒に蜂蜜入りの羊羹を置いて今村の横の席に掛ける。


 因みにこの席は仕事量をいつもの何倍もの量にする代わりに座れる席で、逆側は最早人外の彼女たちでも頭がおかしくなるレベルでの量を熟す代わりに常にミーシャの物となっている。


 ミーシャはくたくたになるが、他の皆はそれほどまでに疲れないというレベルの量だ。

 今村は自分がやると決めたことなのでミーシャにだけ任せるという事はおかしいと大体同じくらいの量を熟している。


 今日は祓も参加なので他の面々は早上がりとなり、このオフィスには今村、ミーシャ、祓だけが音を置き去りにして書類にサインする部屋に残っている。


「…ミーシャ。そろそろ休憩するか?」

「はーい。えへへ…」


 今村の呼びかけにミーシャは机の上だけじゃ足りなくなり、床の上まで使い、それでも1メートルほどの高さに積み上がっている書類の山を飛び越えて今村の席に跳んだ。


 因みに今村の席では書類が空中に平積みで浮いている。祓の席は横に並んで浮かされている。


「…先生、いつも、こんなことを…?」

「まぁ。ミーシャが特に頑張ってる日はこうして欲しいっつってるしな。」


 今村は職員室空間に4畳ほどの畳空間(一部段差あり)を創り出して、座るとその太腿にミーシャを乗せると頭を撫で、髪を今村の手で梳いていた。

 時折、猫耳の辺りを弄ってあげるととても気持ち良さそうにミーシャは目を細める。


 祓はそれを見てミーシャの机と書類を見、そして自分の分を見て…最後に今村の分の書類を見た。


「…先生。先生の分の書類貰ってもいいですか?」

「…別にいいけど?あ、基本重要案件しかないから変な真似はするなよ?」

「はい…その代わりなんですが…後で、私の頭を撫でて、髪を手櫛で梳いてください…ミーシャさんみたいに。」


 今村は軽く請け負った。仕事も減るし、別に何の問題もない。寧ろこちらにメリットがある事なので特に考えるほどのことでもないからだ。


「…じゃあそこで待っててください。」

「別に俺はいつでもするから「いつでも?」…まぁうん。そこまでいつでもって程じゃないが…少なくとも今日は日付変わってもするから手は抜かないで…って早いな…」


 もの凄いスピードで書き上げ、タイプして、念書して、棄却して…祓は無表情に凍てつくような視線で書類を見て速攻で仕事を終わらせにかかった。


(…甘かった…いつも一緒に居られるんだからこれ位譲って下さいなんて言われてたの無視してればこんな…こんな素晴らしいことに気付けたのに…)


「前見て仕事しろよ…」


 因みに今村の髪はほぼ自動で書類のまとめに入っている。今村に残された分はもう終わりかけだ。


「…ミーシャさん。この仕事、もらいます。」

「ふにゃ!?だ、いいですよ!私がやります!今村さんありがとうございました!」


 今村の為に一番頑張ったと言いたいダメンズメーカーのミーシャは跳ね起きて書類の束にとりかかった。


「…因みに先生、これ、ミーシャさんと同じことを要求したのって…」

「…よくわからんが…とりあえず全員だな。」


 ミーシャの熟す仕事量がどんどん増えて行った訳が分かった祓だった。この所為で仕事をこなす量が指数関数の様に跳ね上がったようだ。


「…どんどん仕事する量増やすから…改革法案はもうすぐ出来上がるな…いつ発表して施工するか…」


 参議、衆議を通るのは間違いないし、国会でも承認されるに決まっているので施工時期を考える今村。

 今の時点で大分急速過ぎるとの反応があったので街頭調査(各局すでに仕込み入り・及び微弱な精神誘導済み)などで緩和はさせている。


「これ終わったらちょっと時間出来るな~今度は何しよっか?」

「温泉旅行とかどうですか?混浴で。先生以外の男性と先生と女性陣とか…」

「よし、喧嘩だ。」


 今村は何の罪もないペンをへし折った。因みにこれは呪具じゃない普通の音速を超えても大丈夫な丈夫過ぎるペンだ。


「…じゃあ、水着着用ならいいですか?」


 今村が書類から目を離さない状態でそう言ったのでミーシャが対案を出してみる。今村は仕事とは別に疲れたように溜息をついた。


「俺は風呂に一人で入りたいんだが…」

「私たちは先生と一緒に入りたいんです。」

「何で?」


 今村の質問にここで好きだからとか言っても聞こえないのは重々承知なのでミーシャは少し本音を隠す。


「成長したのを見てください。」

「…あ、先生。私また胸が大きくなったんですよ。後で見てください。」

「…仕事しろ。」


 何とも言えない内容だったので今村は仕事に集中させた。祓とミーシャは後で職員会議に出して意見を通そうと目論むことを無言で決め合って、仕事を続ける。


「…カップル数の増加か…自分でやっといてなんだが…リア充撲滅したい…クリスマス?はっ!平日だろ?仕事だよ!…温泉か…温泉自体には行きたいな…」


 今村はそう呟いた。これで今年は温泉旅行も決まったということになる。大体の店は祓かミーシャ、というよりこの学校の女性陣が頼めば混浴にするだろう。


 今村の気付かないところでそんな計画が進行しつつ、今村の方は今村の方でリゾート地の視察だからこれは仕事だ…なら文句言われる筋合いもない…とわけのわからない言い訳を心の中で思っていた。





 今年いっぱいありがとうございました!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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