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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第九章~クラッシャー&ブレイカー~
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23.文化祭は終わるよ

 マキアを志藤と同じ部屋に突っ込んで鈴音のライブなどのイベントを熟していくと今村の仕事は終了した。この後は、色んなランキングや、話題などをピックアップして放送していく流れになっている。

 その間に今村は本腰を入れて全ての店を回るつもりだ。


「…さぁて、と。飯も食ったし、店を回ることにするか…」


 今村はそう言って道案内の呪具、『シルベル君』を出すとアトラクション巡りを開始。

 因みに現在、みゅうは祓とマキアへのお折檻中。今村は座敷童とさとりの二人と一緒に移動中だ。


「…この面々でお化け屋敷って…まぁ行くけど。」

「……………フフフ。……………本家、…お化けを…越えれるかな…?」

「ん~…従業員さんの記憶を漁ってみたらこっちも本物使ってるっぽい。」


 まずはお化け屋敷スタートだ。


「…ほっと。」

「………………何か、……………にゅめっとした…」

「あ、それ多分俺が避けたこんにゃく。」

「…そこ、人が居るよ?」


 通行。お化け屋敷を楽しむと言うよりはこの言葉がしっくりくるペースで道を進んで行く。


「…あ、このお化け本気で殺しにかかってる。」

「おぉ…迫力あるね。…『霊神氣大発剄』…まぁ一応保険ってことで。」


 そのお化けは悲鳴を上げて逃げて行った。そしてまた進んで行く。


「キャハハハハハハハハ!」

「…あ、今村さんこんにちは。メリー頑張ってるの!」


 メリーちゃんと再会。スプラッターなペイントに幼い体に不釣り合いな肉包丁を携えて今村に礼をしてきた。


「そっちの狂ったように嗤うのは友達?」

「拾ったの。メリーのペットなの。」

「あっちはメリーちゃんが怖くて壊れたみたいだね…」


 覚がショタ外見には似合わないシニカルな笑みを浮かべるとこれまた似合わなく肩を竦めた。


「あ、次のお客さんに追いつかれると困るからもう行ってほしいの。」

「あいよ。」


 そんなこんなでお化け屋敷終了。


「次は…射的屋か。」


 移動した先は射的場だった。といっても実弾ではないコルクの物だが…そんな景品の中に座敷童が気になった物があるようだ。


「……………あの飴……」

「いいよ。」


 今村は6丁分の代金を支払い銃を借りると、両手に2丁、その上に髪で左右に2丁、ローブでその下に2丁構え、一斉発砲。発射したコルクの弾に連続で後続の弾を打ち抜きそれを商品に中てて倒した。


「うっそぉ…いや、なんとなくこの人ならやりかねないけど…」

「もうちょっと強い銃にしろよ?普通これ倒せないし。」

「いや…これ、ずらして棚に描いてある線を越せば成功だったんですけど…」

「あっそう。まぁ倒したんだし貰うぜ?」


 今村はそう言って座敷童に飴をプレゼントする。そこでふと思った。


(…そう言えば、生徒には売上金がそのまま手に入るというメリットがあるけど職員は打ち上げしかないな…ん~何か買ってやろうかね?)


 全員言ってしまえば今村の生徒だ。元が付くが、現在も頑張っているし、仕事量は普通の生徒より多い。

 何かご褒美がいるなぁ…そんなことを思っていたら、みゅうが今村の下に帰って来た。


「ふぅ…あいつ、嫌になるね?」

「…まぁアレで良い所もあるんだしあんまり悪く言ってやるなよ?知らないが…」


 みゅうが無邪気そうに毒を吐くと、ここら一帯に流れている放送の話題が先生たちの好みのタイプに移った。

 今村は顔を顰める。


(…俺のまで聞いてきやがったから一応適当に答えておいたが…それでも何かもの凄く要らない情報だし、俺が恥ずいだけの要らないコーナーなんだよな…一応口止めしといたし、諸説ありますがの一文を最初に足して、最後に最初にも言いましたがって言わせることにしといたが…『限言呪』掛けとけばよかったかな…?いや、生徒の自主性に…ん~あ、)


「みゅう。」

「ん?」

「時の運行を速めて…」

「いーけど…何で?」

「さぁ!最初は我らが学校の校長!今村先生の異性の好みだ!」


 その放送が流れた瞬間。世界が静寂に包まれた。


「…ん?また、聴覚が…」

「しっ!」


 みゅうに鋭く言葉を止められる。


「アレ…?聞こえてるのか…じゃ…何だ…?」


 今までの喧騒も、他の店で調理しているはずの火の音も、呼び込みの人の声も、客の声も、全ての音が消えている中、放送は重々しく始まった。


「これは、適当に答えられているとお思いの皆さん。今回は凄いですよ?何せ、さとりさんに調査同行を依頼。しつこく、本当にしつこく聞いて得られた情報です!」

「事細かい質問をすることで、薄ぼんやりとでもイメージをさせ、そのイメージから得た情報です。この所為で覚さんは能力が大幅に弱まり、更に今村先生に気付かれることで一度殺されかけて…」

「いいから早く教えてよ…」


 みゅうがイライラし始める。その柔らかく、小さい手は今村のローブを掴んで放送を中断しに行けないようにしている。


「…こんな静寂の中で言われるって罰ゲームだな。しかも俺が言ったこと潰してやがるし…後で笑う気なんだろうがな~」


 今村はそこで深く歪み、口の端を三日月に仕上げる笑みを浮かべる。


「そんなの俺が許すと思ってるのか?」

「行かせないよ?」

「ここは通せませんね。」

「はっぁあ!マキア復活!」

「好みの同性も聞きたかったところですが…まぁ、最悪俺が女になればいいか…」


 今村が放送の場所に飛ぼうとしたところでみゅう、祓、マキア、志藤が立ちふさがる。尚、放送は続いており、情報の一部が流れ続けている。


「いや~まず、あの方は結婚する気はないみたいです。まず、誰とも付き合うつもりはない。」

「これは覚さんがどれだけ見ても駄目だったみたいです。完全に拒絶されてるみたいですね。」


 どこからか息の揃った溜息が聞こえる。今村はそっちに思わず気をとられて突っ込んだ。が、目の前の相手はこちらを封縛しようとそんな隙を許さない。


「ちゃっちゃ。危ないのぅ…」


 今村は大きく距離を取った。


「で!す!が!皆さんに朗報です!唯一、100回くらい訊いて半殺しになってそれでようやく見つけた光明があります!今村先生が結婚を考えるとするのであれば!」

「理性の抑えが効かなくなって、既成事実を作ってしまった場合、一生面倒を見ることにはなりそうだな…これは、ある意味結婚か…?との!」

「死神殺し!【隔絶死】【破壊演武】【スラッター】。」


 今村が遠隔攻撃を仕掛けたが、それはみゅうの【空間魔法】によって防がれた。が、その直後、放送が慌ただしくなる。


「あ!」

「く…ペンは…筆より軽し…ただ、剣より強し…好きな、髪型は…ロング…」

「胸の大きさには…拘らない…ただ、バランスを重んじ…」

「そこまでです。…もの凄く勿体ないですが、記憶は消去させてもらいますよ?」

「…ふぅ。間に合ったか。」


 放送から聞こえてきた軽やかでその中に妖艶さを滲ませている声は月美の物だった。今村は力を抜く。


「ハッハ。『霊神氣大発剄』で保険掛けといてよかった。俺の魂魄の100000分の1でも呪具なら行けるしな。あ~また寿命が減った!」

「…これ、月美さんの独り勝ちじゃ…」

「…うぅ~ぅぅぅぅぅううぅぅぅううぅ~みゅあぁあぁぁっ!とにかく、パパと…」

「よし、これじゃ本気で死ぬし、神辞めるか。後片付けよろしく。」


 もの凄く軽くそう言ってみゅうと祓に『双呪の印』を結んで「スレイバーアンデッド」の効果を持続させると今村は自世界の月美にすら教えていない深い研究所に飛んだ。




 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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