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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第九章~クラッシャー&ブレイカー~
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21.ということで文化祭

 色々ごめんなさい…

 大体1月ほどかけて準備した文化祭の実行の日になった。スタートと同時に客が押しかけて入場する。


「…お、早速か。」


 今村はイベントに審査員として参加する以外は基本的に遊ぶことにしている。が、一応仕事として変な奴を捕まえて強制ログアウトさせている。


「…受付で多数の犠牲者が出たか…張り切ってたのに水差すのはアレかと思ってたがやっぱいきなり石田・祓・ミーシャの受付だったら理性失うよなぁ…」


 今日はお祭りという事で魅力減退の術もかけていなかったのが災いした。今村は掛けようと言ったのだが、この後にファッションショー的な物があるらしいので術を拒否されたのだ。


「ん~…まぁ『警備傀儡』たちの動きを見ただろうし、こっからはそうそう滅多に変なことはないだろう。うん。」

「パパアレ食べたい!」


 因みにみゅうには別に伝えていなかったのだが、陸奥の所に行った時に聞いており、それで来ることになっていた。


 ピンク色の可愛らしい浴衣姿で今村と手を繋いでご機嫌なみゅうは白銀のツインテールをひょこひょこ揺らしながら「雲菓子」と書かれた看板の方に今村を連れて行く。


「これください!」

「はい!いらっしゃ…あ、先生!ここが一軒目ですか?」


 元気のいい、例によって美少女が今村を見て溌剌とした笑みを浮かべる。


「あぁ…まぁそうだけど?」


 この言葉にこの店のテンションがもの凄く上がった。


「賭け金総取りよ!」

「やったぁ!」

「あ!バカ!言っちゃダメ…」

「…お前らは何してんだ…?」


 今村がもの凄い微妙な顔をしているとサービスと言ってみゅうの体くらいはありそうな雲菓子を渡してきた。

 要するに聞かなかったことにして欲しいという事だろう。別に生徒たちが楽しんでいれば特に文句はないので今村はそれを受け入れた。


「じゃ、そら。みゅう。」

「ん~…美味しいよ!」

「…………私も。買って?」


 いつの間にか姫カットの座敷童がやって来て今村のローブの袖を引いていた。この学校に来て若干身形が良くなって更に可愛くなっている。


「別にいいが…もう一個。」

「『我、理を読み解き、我が意を以て作り直し、命ず。』はい。どうぞ!後、先生に食べて欲しいんですが?」


 バスケットボール位の大きさの雲菓子と、先程と同じくらいの大きさの雲菓子を渡される。今村は黙って大きい方を座敷童に与え、自分はバスケットボールの方を食べた。


「……ありがと………」

「いい出来だな。」

「…ありがとうございます。でも…大きい方が先生の…いいですけどね…」


 褒められて嬉しそうだが、どことなく納得いかない状態の彼女たちを残して今村は別の店に移動しようとして足を止めた。


「…そろそろイベントが始まるか。最初は…余興代わりだったはずの相馬と志藤のガチバトルか…」


 最初の結界担当なので今村はそちらに移動することにする。その旨をみゅうに伝え、座敷童と回っているように勧めたが、みゅうは今村に付いて行きたいとのことだったのでみゅうを連れてイベント会場に移動した。



















「さぁ始まりました!司会は不肖私、ゴルフレドが!」

「解説はベルがお送りします…」


 実況解説コンビことゴルフレドとベルが取り仕切る会場では既に相馬のファンの生徒たちや志藤に引っ掛かった能力者たちが大勢いた。


 そんな大衆の見守る中、志藤と相馬は睨み合っている。


「さて、今回の対戦ですが元々はそれほどやる気のなかった両者がこれほどまでにやる気なのは何故ですかね?」

「これはですね…志藤さんが相馬先生に天明先生みたいな者を追っかける奴と言ったことに始まります。みたいな・・・・を撤回しろと言った相馬先生に志藤さんが挑発。それで口論となり、結果、負けた方が相手の言う事を一つ何でも聞くという約束になって負けられない戦いが始まったという事らしいです。」


(…あ、これ相馬が不味い。多分、志藤は負けても聞くだけ聞いたとか言いそうだし…直情に育てちゃった相馬は腹芸出来ないし…)


 どっちに転んでも相馬が不味いな…と今村は気付いた。相馬は勉強はできるが元々の土台からして馬鹿なのだ。

 これを殺さずに活かして主人公キャラに育てたので弱点と言えば弱点となっている。


「フム。まぁいっか。」


 だが、今村はどちらにしろ面白そうだし、取り返しのつかないことになる前には助けることにして成り行きを見守ることにした。


「さぁ、ソードマスターこと熱血体育教師相馬先生か?スペルマスターこと陰の実力者志藤さんか!ベットタイムは残り10秒です!お手元のモニターで…おっと、締切りです!それでは…」

「レディ…」


「「ファイト!」」


 戦闘が始まった。


「前回は負けたが…今回はそうはいかないぞ?あの変な剣と鞭の対策も、執拗に背後に迫ってくる槍の対策もやったからな?」

「フフフフフ…勘違いしてもらっちゃ困るな。紹介にも預かった通り、俺の本業は魔術師。しかもその熟練者…人呼んでスペルマスター!略してスペルマ!お前の対策なんて意味がないんだよ!」


 とりあえず今村は勝っても負けても志藤の口を縫い合わせることを決めた。


「さぁまずは性剣からイカせてもらおうか…」

「来い!」


 相馬が今村から貰った剣を構え、志藤の剣を睨む。その直後、その剣の切っ先から勢いよく白濁した何かが噴出される。


「おぉっと!?これは何でしょうか!?絵面が最悪ですが!?」

「アレは…ちょっと先生に訊いてみますか。」


(こっち見んな。)


 説明したくないが、視線が突き刺さるのでベルに教えた。


「成程、アレは相手の装備を腐食させる志藤さんの得意魔術なんですね。」

「因みに名前は、正しきモノを曲げるという意味で『斜正しゃせい』だ!」


 志藤が相馬と戦いながら叫んだ。最低だ。相馬ファンの女性陣から大ブーイングが起きる。中にはこの会場から出ようとする者まで現れる始末だ。それなのに志藤に引っ掛かった女性陣は頬を赤らめている。


 頭おかしいんじゃないだろうか。


(…とりあえず、みゅうは…と言うより、精神年齢18未満と個人的にアウトだと思う連中は追い出しておくか…)


 結界に手を加えて女子生徒たちの一部を外に出して、画像処理をしたモニターだけで観戦してもらうことにする。


「や…だ!パパと一緒に見るの…」


 ただ、みゅうは全力で抗った。仕方がないので観戦をさせることにする。


「…『剣王一刀斬』!」


 戦闘に話を戻すと、相馬の武器は今村製なので特に何も問題なかったが、防具は自分で今村の切り離した世界で狩って作ったものだったので大分やられた。

 が、武器に問題が無ければいいという思考の切り捨てで斬撃を生む一撃を繰り出した。


「凄まじい斬撃ですね!結界越しにも迫力が伝わってきます!」

「対する志藤さんはそれを魔術で防ぎましたか。素早い判断です。」


 解説実況のスピードも上がってくる。一般客の中には最早何が何だか分からない者たちも出て来た。彼らはモニターで見えるようにされている図を見て目を輝かせている。


 結局、この試合はふざけまくって時間を浪費してしまった志藤と、地力の差に決定打が出せなかった相馬との間で時間切れという何とも言い難い結末に終わった。




 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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