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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第九章~クラッシャー&ブレイカー~
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16.学校内の様子を確認

「よし、包囲完了だな。中々の手際の良さだ。」


 今村は空き教室の中でテロリストたちを褒めた。因みに現在フリースと祓、ミーシャの親睦会が開かれている。


「じゃ、学校見学始めよっか。バックアップに俺かフリースが付いておきたいからミーシャと祓でどっちに付いて行くか決めて。」


 この言葉に対する二人の反応は互いに対して術を掛けて沈黙させようという行動だった。が、二人とも術が発動できないのを忘れている。


「今村さん!経営者目線で話しながら行きたいので!一緒に行きましょう!」

「先生!一ヶ所に二人同じような視点から物事を考える人が集まると、情報の入りが悪いと思うので、私と行きませんか?」

「懐かれてるなぁ~」

「業務的な話だろ…」


 今村は考えた。結果。


「じゃ、ミーシャ行こっか。別の所行ってて同じ様なこと考えて報告されてもどうしようもないし。」

「はい!」

「…うぅ…」


 今村・ミーシャペアと祓・フリースペアに分かれることになった。今村とフリースは拠点を見るか、実際に捕まえている様子を見るか、それと細々したことを話し合って別れた。



















「…あ、言い忘れてたけどここじゃ体の作りから弱くなってるから気をつけてね。撃たれたら死ぬよ?」

「は、はい。」


 ミーシャはかなり舞い上がっていた。


(は…初めての二人きりでの行動…な、何をすればいいんだろ…ここまで来て事務連絡じゃ私馬鹿だし…)


 いつも、仕事の残業で一人残った後などは今村に甘えたりはしているものの、そこには祓が居た。

 出会った頃から色んな人が今村の所には居てミーシャは完全に二人きりと言う状況にならなかったのだ。

 …そして今、その、念願の二人きりという事になってミーシャは何をしていいのか分からなくなっていた。(ミーシャは月美が今村の呪具の概念体であることを知らない。)


「…よし、そろそろ巡回の奴らがこの辺をうろつくはず…ミーシャ。ロッカーに隠れるぞ。」

「ひゃいっ!」

「…?隠れるぞ?」


 今村の言う通りに廊下にある個人ロッカーの中に隠れようとする。しかし、鍵がかかっており、ミーシャは中に入れない。

 今村はミーシャを呆れ顔で見る。


「何してんの?ダイアル式なんだからすぐに開けなよ。」

「無理ですよ!何でできて当然みたいにしてるんですか!?」

「油のし具合とか、大体面倒臭がって近くのナンバーで特徴的な…あぁもう間に合わんな。一緒に入るぞ。」


 今村はミーシャを引き摺りこんでロッカーを締めた。


「…漫画とかじゃ結構余裕ありそうに見えるけどないな…くっつくくっ付かないで喧嘩できるほど余裕ないぞ?最初から最後まで密着じゃん…」

「あの…息が耳に…」


 もの凄く小声で話し合う二人。人間の可聴域から外れているが、猫と神のようなものなので問題はない。


 そうこうしている内にいかにもテロリストと言った感じの一団が現れた。


「楽しいなぁ…」


(近い…良い匂い…安心する…うぅぅぅぅううぅ…我慢我慢…ぁぅ胸がきゅんってなるよぅ…今村さぁん…)


 二人のテンションは別ベクトルで上がって行く。足音が近付いて来て、それがまた遠ざかるのを聞きながら二人は息を殺してその場から動かなかった。


「何かテンション上がるなぁ!楽しい!」

「あ…もう出るんですか…」


 楽しそうに今村は外に出るが、ミーシャは少し残念そうに外に出た。そしてダイアルをずらすとまた移動をしながら今村とミーシャは話をしていく。


「…で、テロリストたちの犯行を見た後はどうするんですか?壊滅させるんですか?」

「ん?いや…多分俺が出る前には終わってるからいい。」


 今村はそれを訊いてくれるか!みたいなテンションでミーシャの問いに嬉しそうに答えた。


「あのな、この学校には何故か・・・謎の転校生と、それを見守るお嬢様と天才ハッカー少年と、誰も正体を知らないが絶大な力を持つと噂される生徒会。それにそれを束ねる生徒会長が居るんだ。」

「…は、はぁ…」


 ミーシャは若干気圧されながら今村の言葉に相槌を入れる。


「で、その謎の転校生は基本授業を屋上で昼寝することでサボってる。…結果、今回のテロリスト集団も気付いてなかった。…が、探してるんだ。それがさっきの集団。」

「えっと…それで…?」

「多分、今挙げた奴らでテロリストは潰される。」


 ミーシャは今村が何を言っているのか分からなかった。


「え…と、それと文化祭に何の関係が…」

「お祭りだし見たかった。因みにテロリストの首領は実は一本槍 遼の…あ、謎の転校生ね。の幼馴染の東なんちゃら。どうなるかな~」

「テロの真っただ中で映画鑑賞の気分ですか!?」


 今村はサムズアップした。


「いいね。その調子!でもあんまり大きな声出すとテロリストにバレっから。まぁ本当は文化祭も見に来てるんだけどね。予算が高くてこのくらいか…とか、コストパフォーマンスの基準とか…ほら、ウチで本気でやると最早文化祭じゃなくて店舗になるし…」

「…あぁ、まぁ…」


 各クラスに教師が肩入れして生徒たちが全力で何かするとなったら材料を今村が惜しまないとして、小さな世界創造位やってのけそうだ。


「それにさぁ~…モチベーションっていると思うし、どんなご褒美でどん位動くかとか見てたら…偶々今日ここがテロられるってことだから…実際に作りかけの物をガン見しに来た。」


 そう言って今村は適当な教室の中に入る。中では悪趣味な飾り付けが施された文化祭の入場門が出来ている。

 今村はそれを写真に収めた。


「…ふ~む…ダイヤに、サファイア、ルビーにエメラルド、それにトパーズ、オパール、琥珀に真珠にアメジスト、ガーネット…まぁとりあえずこれはないな。」

「…これは見なくても誰もしませんよ…」

「あ、一応現物を見たいなぁって思ってね。」


 今村はそこに今村が適当に創った宝石をポイッとしてこの教室を後にした。


「…今のは…?」

「この前ちょっと異世界旅行に行ってたじゃん。その時に【玉】って能力を手に入れてね。最近結構お気に入りだから使った。よくわからない宝玉。っと…巡回が来るな。」


 今村はミーシャと一緒にまた別のロッカーの中に入った。今度は結構物が入っていたので先程よりギュゥッとなった。

 先程が密着と言うなら今回は押し合っているという状態だ。ミーシャの胸が今村の腹部の上の方で潰れ、体を押し付け合う。


「…今度は結構きついな。服が邪魔い。」

「…ぅぅん…はしたないですね…いけないいけない…でも、結構大きい…?どうなんだろ…」


 ミーシャは自分の胸の下あたりに当たっている今村の一部分の感触に顔を赤らめて何か考察している。

 因みに、前回も今回も抱き合う形だ。ミーシャの頭の上に今村の頭が来て互いの顔は良く見えない。


「うわ~…撃ちてぇ…ヘッドショットしたいなぁ…やっぱ介入しよっかな…?」


 今村の方も別の意味で興奮して来た。隠し持っている銃(仮)を撃ちたくなってくる。危ない思考だ。


 結局、今回は撃たずにこの場を終え、そしてそろそろ打ち合わせの時間となっているので今村はミーシャを連れて合流地点に戻って行った。




 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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