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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第九章~クラッシャー&ブレイカー~
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12.メリーちゃんと市子

「私!こんなにちょろくないの!」

「ハッハッハ。人形だったのに完全に人間の幼女扱いだもんなぁ~」


 メリーさんは怒っていた。今村に相談に来たら、今村からメリーさん題材の色んな話を見せられたからだ。


「恨み辛みで、捨てた人間に報復して殺した後、何か有名になって色々動けるなぁと思ってたら、急に人間になっちゃったの。そしたら、可愛いって…私は怖いの!可愛くないの!アイデンティティの喪失なの!」

「なのなの言ってっからじゃね?そう言えば最近なのなの言ってる幼女とよく会うなぁ…」

「これもアイデンティティなの!そっちの子に止めるように言っておくの!」


 地団太踏むメリーさん。…いや、メリーちゃん。今村は呪いの宝珠(少し大きめの黒い飴玉みたいな物)を出してメリーちゃんにあげた。

 メリーちゃんはとても可愛らしい笑みを浮かべる。


「おいしいの!」

「…こういうのが駄目なんじゃね?」

「飴玉なんか嫌いなの!このニガイ大人の味がいいの!」


 そう言って、呪いの宝珠は食べ続ける。ほっぺたのどちらかが膨らみ、口の中を転がしているのがよく分かる。…何だかとても和む光景だ。


「待ったをかけるのじゃ!」


 そこに乱入して来たのは市松人形。こちらは完全に人形スタイルだ。今村は遊び心満載でこちらにも人間みたいになるように術を掛けてみた。

 結果、黒髪パッツンのストレートヘアーの可愛い幼女が完成した。


「そっちはまだいいのじゃ!私なんて完全に忘れられてるのじゃ!」

「そっちは要るだけで怖がられるだけマシなの!私は頭とか撫でられるの!屈辱なの!」


 二人の口論が始まった。そして子供の乱闘が始まる。「このー」など「うにゅ」など本気で子供にしか見えない。


「はいはい。そこまでそこまで、」


 今村は二人を強制的に引き剥がす。市松人形(命名市子)は無表情ながらムッツリとした顔。

 メリーちゃんは人間になってから結構長いので明らかにムッとした顔で市子を睨んでいる。


「で?メリーちゃんはどうしたいんだ?」

「昔みたいに人間を恐怖のどん底に陥れたいの!」

「…じゃ、とりあえず人間が居る所に行ったら?」

「…最近、人間は避け気味なの…奴等、魂を削りに来てるの…無言でシャッターを切るのぉ!」

「…まぁ、ゴスロリ美幼女が街中歩いてたら目立つわなぁ…」


 恐怖に怯えたメリーちゃんを今村は慰める。メリーちゃんは大分今村に心を開いて来たようだ。チョロい。


「それに、時々血走った目でメリーを見る人が居て怖いの。」

「おい、お前恐怖のどん底に陥れたいって言ってたのにそれでいいのか?」

「怖いものは怖いの!人の果てしない欲望は神でも恐れるの!メリーを…暗がりに…なの…怖いの。命知らず怖いの!殺したのに満足そうだったのが更に怖いの!」

「あぁよしよし。」


 何気に大変そうだ。市子はフンと鼻で笑った。


「なんなのじゃ?情けないのじゃ…同じ人形として恥ずかしいのじゃ!」

「×××をおっきくさせて、メリーの顔を押さえつけるの!怖いの!一回やられるといいの!」

「のこのこ騙されるからじゃ。」

「うわぁぁぁあん!酷いの!何色の血をしてるの?なの!」

「人形なのじゃから血はないのじゃ。」


 今村は今自分が何をしているのかよく分からなくなってきた。育児か?何か最近こういうの多いな…と思ったが、とりあえずメリーちゃんは可哀想だった。


「ぐすっ…ひぐ…お兄さん…助けてなの…正直、人間の家に上がりたくないの。何か怖いことを遠距離で出来るように考えてほしいの。」

「ヘタレじゃの。愚かな人間風情に何をびびっておるのじゃ?私は行って来るのじゃ!まずは…そうじゃ!こんなヘタレ人形を有名にして私を蔑ろにした作者を…「もしもし志藤?人間の恐ろしさを市子って子供に教えて?ん?隠し子?ハッハ。ぶち殺すぞテメェ。うん。うん。じゃね。」……?」


 今村が突然1秒にも満たない時間変な声を出したので市子は不思議な顔をして言葉を途中で止めた。

 その2秒後、奴が現れた。


「ハッハ!愛の行為に越境はない!すべて等しく平等に!先生!教育を行うのはどいつですか!?」

「手は触れるな。房中術も禁止。言霊も禁止。ただ、人間がどういったプレイを行うのか教えるだけだ。」

「ソフト?ハード?」

「全部込みのマシマシ。実年齢400以上だから遠慮なし。」

「了解です!…よし!立派な愛溢れる人形(ラブドール)になるようにしてきます!ひゃっほぅ!」

「え、ちょ…」


 市子は消えた。メリーちゃんは今村に慰められている。そして20分後、つやつやした顔の志藤と怯える市子が帰ってくる。


「こ…怖いのじゃ…人間…何を考えているのじゃ…?」

「間違っても、何かを創っているクリエイターに手を出すな。出したら官能小説のネタにしてやる。」


 市子は首をもの凄い勢いで縦に振った。因みにメリーちゃんは寛ぎモードで今村が座っている椅子の近くのベッドに横になっている。


「いや~無垢な子供にイケないことを教えるっていいですねぇ~」

「…イントネーションに気を付けろ。ぶち殺すぞ?」

「ところで俺も見学していいですかね?ちょっと特殊プレイ「ひぃっ!」…に興味があるんですよ…」


 市子が悲鳴を上げて今村の所に逃げた。今村の後ろに逃げ隠れると志藤の様子を怯えながら窺っている。


「…問題にならないレベルでな。向こうの校長と話し合って決めろ。」

「はーい。ろくろ首の首で…ふふ…」

「さっさと行け。」


 今村は志藤を呼び出しておいて蹴り出した。


「…さて、そろそろ飽きたな…帰るか…」


 目的は文化祭の観察だったが、何かもう怠く、何かするのにも憂鬱になってきたので帰りたくなってきた今村。


「あぁ…成程。憂鬱は怠惰と相乗効果があるからな…うん。俺のテンションが下がるのも仕方ない…」


 自己分析してカウンセリングを終了することにした。寧ろ自分をカウンセリングして欲しいとまで思ってきた。


「ふぅ、だりぃ…あ~自覚して来たらマジでやってらんねぇ…ここの負の氣を喰い過ぎたか…?」

「帰るの?」

「…あぁ。もういいや。目的はあんまり達成できなさそうだしな…」


 今村は顔を無表情にしてメリーちゃんに応じる。その言葉に市子が首を傾げた。


「目標…?」

「1に人間を自分の認識外に置き始めてる教え子の世界を広げること

 2に面白い奴探し

 3にこんな目に合わせた俺のことを嫌わせること

 4に怖がり解消

 5に学校外へのパイプ作り

 6に怨霊などが集まって更に増えていく負の氣を集める

 7に文化祭の観察

 8に…アレ?何だっけ…まぁいいや。大体そんな感じ。」


 今村は欠伸交じりにそう言った。


「え…と、説明欲しいの。」

「ん~…?聞いてどうする気だ…?」

「疑問の解消なの。言ってることが分からなさすぎるの。」


 メリーちゃんの質問に今村はまぁ部外者だし言ってもいっか。と考えることにして言うことにした。


「…何で説明が欲しいのか分からんが、まぁ計画の全貌を説明するってのは気分いいし楽しいからいいよ。教える。」


 今村は説明すれば昼休み位には入るかな?と考えて、相談室の扉を休憩中に変えると説明を始めた。




 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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