11.平然と狂気を振りまく
個人的な判断に基づく15禁で収まる範囲内でグロを書いてます。苦手な方はご注意ください。
今村が相談室を開いているころ、祓たちはまず最初のクラスに移動していた。最初は慣れないだろうとのことで同じクラスに移動することになっている。
その後、マキアは生徒としてそのクラスに残り続け、祓だけが別教室に移動すると言う手筈だ。
因みに今、二人はくっ付いており、傍から見てかなり百合百合しい。特に発達した胸部が互いに押し合って変形しているので先行教師はその様子をガン見している。
「うぅ…先生は守ってくれるみたいだから…頑張るけど…セクハラしていいよ宣言が…私をセクハラして蹂躪していいのは先生だけなのに…」
「…私の声真似は止めてもらえませんか…?」
「だって、誤魔化してないとやってられない…」
地面には生首が転がってローリングナウと言って笑っている。正気度がガンガン削られていく光景だ。
「あ、すみません。その足とても綺麗ですね?私足ないんですよ~くれません?」
「え、あ、きゅ…『キュアモーラル』」
突然恐ろしいことを言って来る少女に祓が回復魔術をかけたが少女には何の効果もない。ただ、足にしがみつかれて頬擦りされる。
「いいなぁ…いいなぁ…欲しいなぁ…引き千切りたいなぁ…っ!」
そこまでで下半身を失っていた少女の顔が強張り、顔が元々血を垂れ流しながら動いていることで蒼白なのに更に血の気を失った。
「あ、あの、それは…」
教師も怯えて祓を見る。祓は「死神の刃」を胸に抱くようにして辺りを睥睨した。ただ、全く威圧感もなく、寧ろ子猫が怯えている印象で可愛いのだがこの場にいる妖どもには猛虎が猛り狂っているようにしか見えないようだ。
「…嫌です。あげません。」
「じゃ、じゃあ、そっちのお嬢さん…」
「これは先生の物で…先生の許可を貰って来て。」
妖はステージの上で恫喝していた今村のことを思い出して両手を高速で移動させることで逃げ出した。
「さ、さぁ、このクラスです。」
「内臓を見せろ!げっげぎぇぎゃあぁぁぁっ!」
イカレた様に嗤い出し、刃物を持って暴れ狂う濁った眼をして口を縫われている少年。
その姿を見て教師の霊は呆れの顔を見せ、体の中に刃物を通す。が、霊体なので普通に通過した。
「月蔵くん…何度言ったらわかるんですか?授業が始まりますから暴走を辞めてください。」
「なっ…内臓ぉ…ぐっぐちゃぐちゃに…げへっげへっ…肉の匂いだぁ…お前らかぁっ!」
錆びた肉包丁でマキアに襲い掛かる月蔵。マキアは咄嗟に魔法を展開するがそれも意に介さず突っ込んで来た。
「き…きゃぁ…」
「はぁい。心配性の先生ですよ~。」
魔術でなく、魔法ですら通じず、パニックになったマキアが月蔵の包丁から逃げることが出来ず、目を瞑った時、今村がその間に割り込んだ。
「げっげ…肉ぅ…お前ぇええぇえぇぇぇぇっ!」
「教育の時間だね。さぁ始めようか…」
今村は邪魔されて怒り狂う月蔵に三日月の様に歪んだ笑みを見せて捕縛した。
「『ブラックカーテン』。及び『ブラインドカーテン』。…あ、この学校の奴らには一応見せしめで見せておくか…」
その前に一応校長に連絡を入れる。テレパス越しに校長が怯えているのが分かったが、今村の方は大して気にせずに一定以上の害意を持っている者たちを選択して頭の中に今から行う映像を流し始めた。
・月蔵の腹を掻っ捌く。その時に筋肉まで傷を入れないように表皮と真皮だけを斬ると、露出した筋肉を繋いでいる部分の片側だけ切除。
・外に出て来ている部分を片側に流れるタイプのミキサーにかけてミンチにする。そして腸を抉り取って中に無理矢理そのミンチ肉を捻じ込む。
・それを高温のポールに巻きつけて焼きながらその先を月蔵の口にぶち込む。
・黒魔術による死体欠損の再生魔術をミキサー寸前で延々とかけ、体を正常に元通りにしようと再生させ、術が切れるまで食事が続けられるように設定。
・後は強烈な空腹を感じるように設定し、更に痛覚と異物感が消えないように考慮してじっくりいたぶる。
「ハッハッハ。俺は優しいからな。これで済ませよう。…カウンセリングの奴に悪いし5分かな~?」
今村は泣きながら、それでも強烈な飢えから自分の身を喰らう月蔵を尻目に札を書き、今の状態を維持し続ける文言を書いてカーテンの外に出て来た。
「外では怯えきった生徒と、吐いている生徒、何が起きたのか全く分かっていない生徒がいた。」
「…よし、この場にいる皆~1から10の中でどの数字が好き?」
今村の突然の質問に皆考え出し、多数決が行われることになった。結果は7。
「じゃ、7分間にしとこ。」
今村はそう言ってカーテンごと月蔵を席に持って行き、この場から去ろうとした。
しかし、思い止まり、その前にマキアの方に行くことにする。
「きゃぁ…か。」
「そ…それはともかく、あの子供に何をしたんですか…?3人位酷く怯えてますが…」
マキアは全力で話題を逸らしにかかった。
「ん?ソーセージを喰わせ続けてる。極太のな。」
「…衆道地獄ですか?」
「想像に任せよう。」
今村はそう言って消えて行った。マキアは顔をほんのり朱に染めて隣にいる祓にしか聞こえないくらいの音量で呟く。
「…だから好きになるんですよ…馬鹿…って!」
タライが降って来た。悪口は許さないそうだ。
「じゃ、じゃあ、何かよく分からないが…とにかく自己紹介から…」
教師の言葉に頷いて二人の戦いが始まった。
「…な、なので、恨みと殺意で私の本質って何だろうな?って思うようになったんです…」
今村の方はカウンセリングを続行していた。今の自分の目の前にいるのは怨霊になったのだが、元々の自分はこんな人間じゃなかった。私ってどうだったのか。本当の自分じゃなくなるのが怖いという相談をしに来た先生だ。
「うんうん…俺も『アクトイフ』って呪いの技があって、それを使うと自分の感情が分からなくなるっていう代償があるからよく分かるよ。」
先生は顔を上げて今村を食い入るように見た。
「でもね、結局の所楽しめればいいんだよ。自分の責任に負える範囲で楽しめれば本質なんてどうでもいい。」
「でも…私、呪う事しかとりえがなくて…」
「大丈夫。探せば意外と見つかるもんだって。とりあえずは学校の先生なんだから仕事からふとこれが面白いと思えるようなことを見つければそれを追求すればいい。」
亡霊先生は今村を伏し目がちに見た。
「でも、相容れない妖とかといるとストレスに…」
「じゃ、学校辞めてみるのも手かもよ?霊なんだから旅し放題だ。行きたければ宇宙にだって行ける。気晴らしに行ってみたら?」
「…え?行けるんですか…?」
「勿論。この世界には結構な霊力があるしね。」
今村の言葉に亡霊先生は頷いた。
「行ってみます。そうでした。私、霊なんですからもっと自由にやってみればよかったんですね。人間の時みたいに働いて稼がないと生きられないんじゃない…」
「飲まず食わずでも生きていけるんだから。」
「…行ってみますね!ありがとうございました!」
亡霊先生の話は終わった。次に行く。洋風人形…いや、人形の様に可愛らしい少女だった。
「私、メリーさん。最近扱いが酷くて困ってるの。」
「オーケー。聞こうじゃないか。」
今村は地球のインターネットと繋いでいる自分の携帯の小説を思い出しながらこれは楽しそうだと思いながら話に入った。
ここまでありがとうございます!




