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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第九章~クラッシャー&ブレイカー~
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8.鬼ごっこ!後編

50万字突破です!わーい!

「『フェザーストーム』!」

「『冥獄炎』!」

「んなもんここで撃つなぁっ!『白礼刀法・獄車裂き』!」


 鬼ごっこからいつの間にか戦闘になっていた。因みに教師陣以外はマキアと志藤を除いて全員脱落している。


「むぅ~…そのお面ください~!」

「さっさと!妾に!寄越せ!」

「仲悪いくせに何でこんな時だけ息ぴったりかなぁ!?」


 長年連れ添って戦い続けた相棒のように息を合わせて襲い掛かってくるサラとヴァルゴ。


 今村はそれだけでも厄介だと思うのだが、ここにはもっと別の厄介な者たちもいる。


「っと。」


 頭を狙って撃って来るのはマキア。しかも、攻撃能力があるとかそんな感じのものではない。自身の下着類を圧縮して作った訳のわからない銃弾だ。

 しかも今村以外の目に触れるとマキアの手に戻るという謎仕様。

 正直あまりにも戦術が高尚過ぎて意味が分からないが、当たるのは何となく嫌なので避ける。すると、その避けた先に攻撃が待っているのだ。


「…って分かってんだけどなぁ…だからといってマキアのパンツに頭突っ込むってのは…ブラジャーかもしれんが…」


 ミーシャの攻撃をいなしながらぼやく。今村からしてみれば別にお面を渡してもいいのだが、個人的に道具に頼らせるのがあまり好ましくないという理由で逃げたり避けたりを続けている。


(…これでまだ前半戦だからなぁ…午後からどうしよ…長引かせると危険だし…)


 結構本気で疲れて来た。自分の教え子たちがかなりやるようになったのはいいことだが、生憎今村は負けず嫌いなのだ。


 道具で恋愛はするものじゃないし、どんだけ弱っててもこれだけ最初にやる気を見せておいたのに負けるのは今村的に好ましくない。


 よって、


「我が世よ開け。」


 ちょっとズルい技を使うことにさせてもらった。今村がそう言ったと同時に空間に穴が空き、中から様々な動物たちが現れる。


「うぇ?えっ…これ…は?」

「行け!ミャー!ニャー!タマ!」

「ネーミングっ!?」


 ふざけているとしか思えない名前のサーベルライガーたちを不憫に思って見ていると、突然その姿が消え、腹部に強い衝撃が走った。


「かはっ…!」

「フシャー!(ご主人様に何したー!)」


 今のはミャーの猫パンチだ。モアイ像くらいの岩を一撃で砕く。それにニャーが魔法・・を繰り出す。


「おぉ…『ワールドエンドダンス』…猫バージョン…かっわいい。」


 頑張って2足立ちして震えながら踊る様子は猫好きが狂い死にしそうなほど可愛かった。今村も若干戦闘中だという事を忘れた。そこにマキアが銃弾をぶち込むが、今村は見もせずにそれを避ける。


「あ!今その歌はマズイ!」


 放し飼いにしていた電子精霊たちの中に、地球産の電子精霊から歌を教えてもらった者が居て、『崩壊の音クラッシャーソング』と言う技を放とうとする者が居たので慌ててそれを止める。


 特定音域で魔力を十分に込めると放てる技なので歌は何でもいいのだが、ここで歌われると色んな人が死ぬ。


「冗談交じりにやっていいことじゃねぇぞ!やっていいことと駄目なことの境界線を考えろ!」


 今村の大声にしゅんとなって電子精霊たちは合唱を止めた。代わりに別の技を使う。


「ズルくないですか~?」

「おじさんはもう歳だからねぇ…若い子の元気には勝てんのよ。」

「さっきまで片手であしらってたじゃないですか~!」

「それはそれ。これはこれ。」


 今村の知らない間に二足歩行ができ、完全に何かの武術の技と思われる物を使っているスライムに若干苦笑いをしつつ、今村は休憩に入った。


「あ~…体の中が若干改造されてるなぁ…また若干性格が変わりそうだ…スライム。籠。」


 今村の命令で籠上になり、今村を覆うスライム。捕食の図にも見えるが、ちゃんと中は空洞で、保護になっている。


 余談だが、このスライムは顔に張り付けると保湿効果で肌が潤ったりする。今村の自世界にいる人化できる動物や、人はこれを使って寝る前に肌の手入れをするのだ。


「…え?何してんのかって?鬼ごっこ。」


 プルプル震えることでコミュニケーションを図るスライム。今村はスライムの中からでもそれに応じた。


「鬼連れて来たらごっこじゃなくて殺戮になるだろ。え?ん~こいつらどれくらいまでなら血が抜けるかな……まぁ、あんまり血抜きとかはしないでやって。うん。敵じゃないし。」

「物騒な会話してますね~!」


 動物の猛攻の隙間を縫って今村に肉薄したヴァルゴ。因みにその為にサラは尊い犠牲になった。

 具体的に言うのであれば、サーベルライガーとスライムの挟撃に遭ってスライムに絡め取られ、触手プレイのような状態になっている。


「チェックメイトですよ~!」

「んにゃ、ただのチェックだろ。でもってチェックメイトっつうのはこういう事。」

「へ?」


 コンマ数秒にも満たないやり取りの間にヴァルゴは気付けばいつの間にか地面から生えて来ていたスライムの触手に捕まっていた。


「お前ら俺のペッツ舐め過ぎ。これでも異世界行けば神々とタイマンきれるレベルにはなってるんだぞ?」


 今村は案外あっさり倒せてしまったのでスライムの籠を解いてヴァルゴの前に移動した。


「じゃ、午後も動けない程度に痛めつけるか~。」


 今村がいい顔でそう言ったその時だった。ベルが鳴り響いて午前の部が終了してしまった。


「ありゃ、失敗。ペッツ。そいつら全員解放。」


 いつの間にか捕まえていた白濁液が顔にかかっているチャーンドと気持ちの悪い笑みを浮かべている志藤もうち捨ててペッツは今村の後に続いて行った。


 昼食の時間だ。


 今村が職員室に帰るとそこにはほんの少し前までサーベルライガーたちと戦っていた祓、ミーシャ、芽衣。それにサラ、ヴァルゴ、マキアがいた。


 彼女たちは一様に今村の机を円にするように座っている。


「……休み時間の攻撃は禁止だが…まぁ、確かに毒物効かんけどさぁ…」


 何か微妙な感じのルール抵触だと感じた。効かないからといって使っていいものではないと思ったのだ。

 だが、勿論彼女たちは自分の売り込み。弁当を食べてもらおうとしているだけだ。(サラとヴァルゴはシェフに作らせた。)


 …マキアは実際に媚薬を入れていたが…その所為で空気が微妙になったのは言うまでもない。


(…じゃ、腹いっぱいにさせることで動きを鈍らせようとか?…ま、『暴食』の呪いがかかってるから満腹になるってことから無駄だが…)


 呪いのおかげで好意をシャットダウンされている今村は好意を伝える相手の表情すら改竄されている顔しか見れないので、何が何だか分からずに適当に推理して判断した。


 そして、午後の部が始まったと同時にこの鬼ごっこは終了した。


「え?」

「にゃー。(げっと~)」

「みゃ~♪(私たちの勝ち~♪)」

「フシュルルルル…(文句ある~?)」


 このお面が何なのか知ったサーベルライガーたちが今村からお面を盗ったのだ。


 すでに教員の分はスライムたちが回収しており、それを貰い受けることで全ての条件を整えたミャーたちは、今村を見て一声、大きく鳴いた。


「うにゃにゃったにゃにゃにゃ~!(遊んで!もっと遊んで!勝ったからいいでしょ~!)」

「オッケイ!」


 今村は速攻で陥落した。前世の顔で無駄に爽やかで似合う笑みを浮かべるとほぼ無条件で自世界に消えていった。


「え…何それ…」


 取り残された人々は何とも言えない状態で立ち尽くしたという。




 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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