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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第九章~クラッシャー&ブレイカー~
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6.鬼ごっこ。前編

「準備体操をした後から鬼ごっこ開始な。それじゃ、二人組になって。組手始め。」


 8:50分。鬼ごっこに向けての準備体操が始まった。この時点での攻撃は禁止で戦闘は9:00からを厳守するようにお達しが出ている。


「…まぁ、鬼ごっこに比べればこんなもん準備体操にもならんがな…」


 クレーターを作って地盤沈下させた後に今村はそう呟いた。因みに現在前世と同じ顔で狐の耳を生やしている。更に7つの尾をふさふさと操って遊ぶくらいまで本気になっていた。


 イケメン爆ぜろのブーメランが自分に突き刺さるような顔だが、雰囲気重視の今村は別に気にすることなく準備する。


 その顔を見て更に女性陣のやる気が向上。今村はニヤニヤが止まらなかった。


(さぁ、この結界は超弱化の呪いつき。気付くかな?)


 例外地点に保健室。…回復役にクロマ・アロガン(今村が今世で初めて行った異世界)の女神に任せている。


「さて、そろそろだな~…3・2・1スタート!」


 それと同時に今村が居た地点で爆発が起きた。今村はニヤッと笑いながら「幻夜の館」の二階の屋根の部分に飛び乗る。


「コーンコンッ。鬼さんこちら。の鳴く方へ♪『多重有身幻覚』」


 おどけたように今村がそう言い終わると同時に全く同じ存在にしか見えない今村たちが5人に増えた。


「さぁて、どれが本物でしょう?」

「クスクス。教師陣を先に倒した方がいいかもよ?」

「最初に俺を倒しても疲労困憊じゃ他の人に盗られるからね?」

「因みに俺らのおすすめは最初に咲夜を倒すこと。」

「うん。この中じゃかなり規格外だしね。」


 今村たちは愉しそうに笑う。


「「「「「さぁ、始めようか?」」」」」


 早口にそう言って5人は5人とも違う方角に飛ぶと大規模に空間を歪めた。


「迷路だよ。さぁて、探査系の魔術は禁止フィールドで誰が俺の所まで来れるかな?」

「アスレチックだよ?能力系全面禁止で誰が俺のところに来れるかな?」

「クイズだ。純粋に競い合おう。」

「「さて、俺らは戦いながら逃げようか」」


 そう言い残すと今村たちは全員消えた。その光景を見ていた生徒たち、及び教師陣は一旦今村から仮面を盗るのを諦める。


「…あれ~?僕狙いかな?」


 そして、この鬼ごっこに於いて今村の次に警戒するべき相手、咲夜を包囲した。


「フッフッフ!さぁ咲夜ちゃん覚悟!」

「…先生に告白できたじゃないですか。なら、あのお面は要りませんよね…?」

「ご主人様に告白したいんですよいい加減…生殺しも極まりないんですからね…?」

「アレさえあれば…俺も祓と…」


 様々な思惑の中、咲夜は三日月の様な笑みを浮かべる。


「フフフフフフ…僕を、倒そうなんて…3京年早い…でも…君たちが全員いなくなれば…お面も獲得しやすくなるよね…?」


 風が吹き抜ける。凍てつくような、動くことが億劫になる風が。


「はい、きゃぁっか!」


 だが、その風は今村の一声と共に止められた。声の主である今村の方を見ると見たこともない壮絶な笑みを浮かべている今村が、真紅の翼を持ってそこにいた。


「…【怒り狂いし破壊竜】…君か?」

「…どうだろうな?とりあえず俺がやることはお前の妨害だ。…まぁ当然だな。お前が勝ったら間違いなく『恋狐れんこの面』を俺に使う。他の恋愛だったら俺も安心して見てたんだが…自分の身になれば拒否に決まってる。」


 今村は狐の面を真っ赤に染めると翼を広げて宙に浮いた。羽が舞い散り、触れるものを溶かしていく。


「ということで脱落プリーズ?俺は独身貴族万歳派なんでね!」


 総攻撃が始まった。



















「…これで良しっと…後は終わるのをモフって待ってよっと…」


 お祭り騒ぎ状態の中、今村は一人で「幻夜の館」内でモニターを見ていた。因みにこの今村が本体で、この今村が持っている仮面が本物の「恋狐のお面」だ。


 今回の鬼ごっこに関しては今村的には三つの意味があった。


 一つはそのままの意味で恋愛イベント。個人的な趣味だ。


 二つ目は実際に力を使うことで今、自分が習得したことと現実との乖離を知ってもらう事。


 そして最後に【大罪】たちの力を使うことで減らそうという試みだ。


 流石に咲夜には気付かれるだろうと思ったが、案外面と向かって会わなければ気付かれなかったので若干の驚きがあったが、今村的には別に計画に支障がないので問題なしということで終わっていた。


「…まぁ、普通に考えて【憂鬱】にも効くような弱化の呪い込みのばれない結界なんて弱化した俺じゃ出来るわけないじゃん。この辺りじゃ熊ちゃんにしか出来ないよ。」


 今村はサーベルライガーのニャー、ミャー、タマを撫でたりモフモフしたりしながら苦笑する。

 モニターでは咲夜と【破壊竜】がとんでもない争いを繰り広げている。


「せ、い、と、達はっと…あ、相馬が脱落してる。……あいつ、俺結構頑張って育てたんだけどなぁ…」


 何かミーシャに瞬殺されて保健室に運ばれている相馬を見て今村は何となくやるせない気分になる。


 因みに、そのミーシャは芽衣と祓のタッグと相対している。そんな中、マキアはアスレチックを今村(傲慢獅子王)と二人きりになるように空間閉鎖術を使って閉め切ると、ポールダンスをしながら滅茶苦茶不気味なスピードで鬼ごっこをしていた。


「…何やってんだあいつ…まぁ、あの変態娘がこうなのはもう諦めて、変態男の方は…」


 別モニターで志藤を探す。志藤は御自慢の武器片手にチャーンドと争っていた。


「精剣×(ピー)カリ、バー!それに…ゲイ!る…く!」

「…この変態が…とりあえず死んだ方が仁の為、世の為だな!」

「フフフフ…君、自分の心にもっと正直になるべきだよ?さぁ、新しい世界にともに踏み出そう!」

「踏み外す気はねぇ!死ね!」


 今村はとりあえず全力でチャーンドを応援しておくことにした。そして後で悪化していた奴の武器を自分に向けた場合は速攻でへし折れるように細工しておくことにする。


「ニャー、ミャー、タマはこんな汚いの見ちゃ駄目だよ~?」


 通常時は鞭のようにしなり、持ち主のテンションが上がるとともに強固な剣となる精剣。

 これを作った奴は本気で馬鹿なんだろうな。と思いつつ別モニターを見たその時だった。


「…ちっ。最悪…こんな時に来やがるか…」


 画面には何故かサラとヴァルゴがいたが今村にはそんなことは関係ない。それよりもっと面倒な敵が来たのだ。


「ん~結構不味くね?かなり抑え気味にしておいたのに勘付かれるとか…まぁ不味いのは俺と【大罪】の連中だけだが…」


 今村はそう言ってサーベルライガーたちを自世界に帰す。そして次元を跨ぐ魔法の存在の揺らぎをここに持って来た。


「さて、4重結界。熊ちゃん頼むぜぃ?」


 そして外の空間よりかなり頑丈にロックをかけさせる。その直後に人間がこの場所に現れた。それを問答無用で今村はぶち殺した。


「なっ!神敵!」

「ハロー狂信者ども。という事で死んでくれ。」


 その宣言と共に今村は地球産の元銃器たちをファンタジー仕立てにしてぶっ放した。




 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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