5.不用意に
「いやはや…流石ですなぁ~」
「ってなことで強化烏賊神50000体による超ブラックホールと強化蟲神たちの自滅特攻でドーン。」
神の力で進化とかの過程を全部すっ飛ばして人類を創り上げた「狐」に対して今村はこの前行ってきた地球の進化の歴史と、一部人類を創ることで対抗。
相手の初期人類が武器などを創り上げていたころにはこちらは大型の虫を送り、その次は恐竜を送り込み、次の戦闘では大型哺乳類を、その次は人類…と絶え間なく攻めることで相手の進化を押し留めた。
最後に完全に化物になっていた烏賊と蟲のボス的なものを送って対抗できる敵軍を滅ぼして最初に創っていた人類が超進化を遂げて世界ごと滅ぼした。
「…いや、負けましたなぁ。最初に折角ハビタブルゾーンに出来た星のひとつを態々巨大隕石をぶつけた時は何をしているのかと思いましたが…」
「あぁ、アレは何か今回のモデルになった世界の神が言うには生命力と冒険心を養うためらしい。」
「…すべて2000メートル級の氷の壁で覆ったのは…?」
「…アレは、実際は地熱とかで生きてた奴らが多い。ってか原理はどうでもいいじゃねぇか。俺の勝ちってことで。」
「…後で詳細を教えてもらいますがね。」
そう言って「狐」はテーブルを消した。そして今村は次に移る。
「さて…次はアレだよな…」
今村は半透明の今村を見た。
「僕はいつも通り大食いでいこ。今食べたいのはしょっぱいもの。」
そう言うと同時にテーブルとその上に大量の食べ物が現れた。
「それじゃいつも通り、いっぱい食べた方が勝ち。【喰らい尽くせし狂粘液】との勝負だよ。よーいスタート。」
スライムの触手と今村のローブと髪が舞い始めた。
「…結界張ってありますね。」
「…鍵掛かってますね。」
―――じゃあ入ろ~!―――
今村の家に安善、祓、ミーシャ、芽衣の4人で祝いに来た。勿論結界をすり抜けて家の鍵は壊さずに開いていた庭の方の窓から侵入した。
「…何気に綺麗ですね。」
まずリビングに入ってそう感じた。そしてキッチンがあったので祓とミーシャ、それに芽衣がパーティーの食事の準備に入る。
安善は色々なことに対して警戒だ。
「…何気に不法侵入ですね。」
「ご主人様は細かいことは気にしないと思います。」
「…気付いたら私の常識も侵されてきているなぁ…」
ミーシャはどこか遠い目をして呟いた。それでも手先で切っている刺身の筋を読んで美味しく切り分けている。因みに地球産だ。
「…そう言えば、亜鉛って精力を上げるらしいんですが…」
「…貝類増やしますか。」
「…グラタンはシーフードにしておきましょう。」
何気に色々考えて色んな料理を作る3人。安善だけ何もさせてもらえない。
―――う~…~
「暇なの?なら、サラダの準備でもお願いしていい?」
「…それより先生の方を気にした方が…」
「…気にしてももうここまで来たらどうしようもないんじゃないですかね?」
そう言う間にも料理が進む。安善は尻尾をぺたんとさせて警戒に当たった。
―――私がやったって言って褒めて欲しいのに…―――
「…それじゃ、出来上がったら今村さんの所に行って呼んでくる役したらどう?」
悲しんでいる安善にミーシャが助け舟を出した。そうしている間にも準備は着々と進んでいく。
―――いいの?―――
「…まぁ、私は先生に褒められるのは大好きでそれだけでしばらく生きていけるくらいは嬉しいですけど…安善さんが機嫌を悪くして先生が楽しめない方が私は嫌なので…」
「…いっつもメイは引っ付き過ぎだから嫌ですけど…まぁ…仕方ないかな…」
他の皆の了承も得られた。料理が終わったミーシャと芽衣は部屋の飾り付けに移行し、祓は最後の仕上げに入る。
「…出来た。」
そして完成してしまった。安善が今村の気配を感じ取ってその部屋に向かう。
―――アレ?寝てるのかな…?―――
そこに居たのは無防備で部屋の椅子に腰かけている今村。安善はそれに忍び寄って…
―――起きてっ!―――
飛びついた。次の瞬間今村の目が赤に光って見開かれる。
「ペナルティ…発動だな。ん?何かゴミが乗ってるな…」
―――へ?きゃっ!―――
今村がノーモーションで腕を振りぬく。何か来ると感じた安善が身を翻すと安善が先程までいた所が抉りぬかれている。
「…ふん。あぁ、ゴミかと思ったら…糞マスターの奴隷か、雑魚如きが俺に触れるなんぞ…身の程を知れ。」
―――ご…ご主人様?―――
突然の今村の行動に安善は訳が分からないといった状態で見上げる。今村は路傍の石を見るかのような目で目の前の空間を見た。
「…そうだったな。こんなものはどうでもいいか。…先に滅ぼしておく所が死ぬほどあった。糞マスターが起きる前に潰しておかねばなぁ…」
今村の顔に酷薄な笑みが浮かぶ。その直後にアーラムが現れた。それに伴いアリス、それに知らない顔ぶれの面々が訪れる。
「…ハハ…何でこんなところに【獅子王】が…」
「そんなことより…ひとくんが…」
アリスの言葉に今村…【獅子王】が眉を跳ね上げた。
「…おい女ぁ…誰の断りを得て糞マスターのことをそんな気安く呼んでいいっつった?不敬だぞ?とりあえず死ね。」
「っ!『光女神モードLV.Max』!」
「『カーレリッヒ』!」
今村の攻撃にアリスとアーラムが防御陣を張る。だが、それは一瞬の後壊れた。
「これはマズイのぅ…『マジックアクセス』じゃなぁ…」
白い髭を蓄えた仙人のような風貌の男が防御陣に更に術を掛け、対抗させる。それにより何とか今村の攻撃が止まった。
「…オイオイ糞マスター…弱り過ぎだろ…俺の力で行動してんのにこれはねぇぜ…?」
「…よく言うわぃ…これだけで儂の魔力の10分の1まで持って行っておいて…」
自身の行動に納得いかないらしい【獅子王】。その目が一度不意に閉じられた。
「!何故かよく分かりませんが今です!」
深緑色をした髪の青年がそう言って行動を開始、だが、それは一瞬たりとも成功し続くことはなかった。
「あぁ妬ましいなぁ…素晴らしき方を前に出来る君たちが…そして、その方に最期を看取ってもらえる君たちが…あぁ羨ましすぎて殺したくなる…」
「…まさか…」
雰囲気が変わったところで緑髪の青年が膝から崩れ落ちる。それに続いて周りの者も崩れ落ち、全員が行動不能になった。
「…さぁて、これで仕込みはお終い…さっさと私より上であるもの、我が君に少しでも危害を加える可能性があるものの排除に行かなければなりませんので、速やかに死んでください。」
「毒に…妬み羨む…」
「…間違いない…何で災厄の王がここに2体も復活して…」
鮮やかな赤髪の壮齢の男と淡い水色の髪色の少年が引き攣る顔で今村を見る。
「さぁ…速やかに死ねっぐ?」
「解毒完了…危ない所でした…植物毒だったので何とかなりましたね…」
今村を襲った激痛、それは最初に沈めたはずの緑髪の青年だった。
「…あぁ、我が君の体に傷を…死ね。ごみ。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね…っぁ…」
急に体勢を崩す今村。周りはまさかと言う思いで猛攻撃を仕掛けた。
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