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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第八章~八大罪とその主~
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4.戦闘しないで進む

 【怒り狂いし破壊竜】は今村が最初に来た時と全く別の態度―――怯えとは全く異なる様子で今村に語りかける。


「じゃんけん。これで。はい。『制契約書』出して。」

「…これまた適当だな。」


 今村はそう言って「制契約書」を出した。そしてサインを始める。


「じゃ、俺はグーで。」

「…なら俺はパーだな。」


 【怒り狂いし破壊竜】はグー、今村はパーで契約は成った。そして実行に移る。


「「じゃんけんほい。」」


 結果、今村が勝つ。当たり前だ。そして試練は普通に終了した。


「よし。」

「…まぁ何か捕まえた時から考えるとかなり釈然とせんが楽だしいいか…」


 今村は7834の世界を滅ぼした破壊竜を何とも言えない顔で見て呟いた。対する破壊竜は今村を見て微笑む。

 自分の顔(前世でイケメンだが)に微笑まれてかなり吐き気がしたが今村は表面上平然と受け止めてそのままの状態で言葉を待った。


「俺を救ってくれたのは王だろ?こいつらみたいに素直じゃないのは面倒だしね。」

「…あれ?次、僕の番なのに僕のお鉢を奪ってるビビりがいるよ?」


 興味なさそうにしていた今村がどこからか出した毛布を羽織り抱き枕装備状態で立ち上がり破壊竜を煽って来た。

 そしてその挑発に破壊竜はあっさりと乗り威嚇の様に睨みつける。


「は…テメェらと馴れ合うつもりはねぇんだが?」

「僕も君みたいな面倒臭いのと話すのはとっても面倒なんだけど?早く次に行こうよ王子。」


 煽った癖にすぐに飽きたように敷布団を出して毛布を上からまた被った布団の中の今村が本体の今村にそう声をかける。


「ん~…ま、いいだろ。」

「じゃ、早くいこっか。眠いし…」


 そう言うと二人だけが転移した。転移先は薄暗い室内で馬鹿でかいモニターが一つとゲーム機が無数に置いてある。


「それじゃ、ギャルゲしますか。」

「…勝敗条件は?」

「3時間付き合ってくれれば王子の勝ち。」


 ぬるすぎる条件だが、一応今村は警戒しておく。その必要がないことも分かっているがそれでも一応だ。


「じゃ、形式美だしね。一応言っておくよ。【深淵に微睡まどろみし暴虐熊ぼうぎゃくゆう】一応戦闘のようなもの開始。」


 何とも締まらない戦闘開始の合図が告げられた。



















 その頃喫茶店で召還魔術を使って荷物を全て今村が買った土地に返した祓たち一行はほとぼりが冷めたであろうと考えて再びデパートに行ってみた。


「ん~…本当に何がいいんですかね…?自慢じゃないんですけど私基本的に極貧でしたし、両親はかなり前に死んで孤児でしたのでプレゼントとか…」

「…私もそんな感じですね。何か決まりのものとかあると良いんですけど…」

 ―――私も迫害受けてたしなぁ~―――


 孤独組三人は喜んでもらおうと何かするのに慣れていなかった。おそらく他の奴隷も貧しさ故に売られていた子供ばかりなのでこの世界で今村を喜ばせることが出来るようなものなど知らないだろう。


「…別に孤独でもいいと思ってましたけど何気に困りますね…」

「同感です。」

 ―――自分が貰って嬉しいものをあげると良いって死んだママに聞いたけど…私ご主人様から貰うなら何でも嬉しいしなぁ…―――


 困った。それに加えて現在カメラで撮られているのが鬱陶しくて苛立ちが募る。眩しいのだ。


「…強いて言うなら婚姻届とか本気で欲しいんですが…多分ご主人様はいらないって言いそうですね…」

「…まず見えるか見えないところからスタートですね。」

 ―――眩しいのが鬱陶しいし、人が回り囲んで鬱陶しいし、カシャカシャうるさくて鬱陶しい―――


 それでもとりあえず三人は動いてみる。そして何か良さそうなものを見つけた。


「…あ、これ何かどうですかね?」

「あぁ…指輪ですか。」


 芽衣が見つけた物に祓が感心したように頷く。安善も頷いてはしゃぎ出した。


 ―――成程~…誕生石でね。それに遠まわしに求婚できるし!―――

「それに魔力付与できますし。」

「自分の『氣』を混ぜて送るのもいいですね。」

「後、自分の誕生月の石を填めたペアリング…」


 そこで安善が落ち込む。


 ―――私…誕生日とかこの世界でないんだけど…というか…元々の世界から覚えてない…―――


 それに対して芽衣はしれっと「自分で作ればいいんじゃないんですか?」言ったが祓が祓にしては明るめの声で指摘した。


「あ、先生が戸籍偽造つくる時に決めてます。安善さんは8月で芽衣さんは5月だったと…」

「祓さんは?」

「11月です。」


 それでこの話は終わりとなり三人は物色を始める。そして色々見ていると店員が三人に過剰な接客を始め、三人は若干不快な思いと引き換えに安価で指輪を手に入れることが出来た。


「それじゃ、後は御馳走の準備をして先生の家に行きましょう。」

「ですね。」

 ―――うん!―――


 この後三人は帰ってミーシャにもの凄く怒られた。何故自分に仕事を放り投げて三人だけで今村のお祝いをしようと画策しているのか。

 そして、準備が終わるまで少し待つように言って速攻で準備をした。


 後は、今村の家に行くだけだ。



















「…これで一応三時間だが…まぁ、キリが悪いな。」

「まぁ最低三時間だしあと少しで終わるじゃん。」


 【深淵に微睡みし暴虐熊】は毛布を被って今村とゲームしていた。そしてそのゲームが終わると今村の方を見た。


「じゃ、これで半分だね。僕はもう寝るから~」

「あぁ。じゃ。」

「ん~お休み~」


 次の瞬間今村は元の場所に戻っていた。そして今村の姿を確認すると同時に獅子王が苦笑いを浮かべる。


「オイオイ糞マスター。いきなり儀式中に消えるとペナルティが発動するぜ?」

「はっ。それは熊に言ってくれ。」

「無理だな。俺らは糞マスターの言う事しか聞かねぇんだし。」

「…なら言うなや。さて、次行こうか。よっと。」


 今村は最初から無理だと分かっている要望を無視して次の相手に向かう。


「はっは。やっぱり見つかりましたか。それでは私【欲深き闇より来たる漆黒狐】との勝負『世界経営』を始めましょ。勝敗条件はいつもと同じで。」


 そして狐はボードのようなものを出した。その中央に二つの全く同じ球体が浮かび上がる。


「今回のフィールドでは生命誕生から始めます。それではどちらがより美しく滅びる世界を創るか始めましょう。」

「…時間は同じか?」

「はい。四時間で。」

「反則はなしにするか?」

「今年はなしでいいでしょう。」


 この後も色々なルールを詰めて決めていく二人。そして異世界間の戦争有りで滅びなければ無条件勝利の条件まで足し終えたところで始まった。




 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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