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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第八章~八大罪とその主~
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1.地獄変

「はい、じゃあ教科書の27ページを開いて…」


 今村は子供たちをこの世界に連れて来て、「幻夜の館」で持ち回りの授業を行うことにしていた。


 最初の方は少し休息がてら異世界で色々してきたので三男神に色々教えさせたが、今では帰ってきているので今村が授業を担当している。


「…ところで俺は異世界に行っている間にもう高校3年生だな…本来なら受験勉強とかしてなきゃいかんのだが…まぁいいか。」


 アーラムがこの世界に魔力を入れたおかげで、魔術大学と言うものが出来ていて、そこは完全実力主義なので今村はそこに行くことに決めていた。

 そんなことを考えながら授業をしていると授業はすぐに終わった。その後はすぐに今村は教室と言う名の部屋から出て行く。


「…鈴音はある意味異世界チートやってるよな…」


 ほとんどこの世界と地球に変わりはなく、来た時には逆に驚いていたもののその後はこの世界にないものを見つけて色々頑張っている。


 携帯電話を提供してくれたり(解体バラしてガニアンからの上納金で会社を作り、ネットワークとか言うのを広げた。)

 それでマスメディアが前より更に発達して、鈴音はこの世界で邪神じゃない初のアイドルとして頑張り始めていた。


 初期は色々苦労があったようだ。


「歌上手いけど…アイドルって何?歌手じゃないの?」とか、

「踊ったりしてるけど…ダンサーさん?」とか、

「何か雑誌に載ってるけど…モデルさん?」とかいろいろ言われたらしい。


 まぁ最近は軌道に乗り始めたらしく、俺の先行投資の3分の1ほどの金額を稼いだらしい。


 …何気に膨大な金額なんだがな…


 それはともかく、子供たちの方も土地を買って家を魔術で造らせたり、養ったりしている。魔力がある世界で、基礎から中級編の魔力操作を教えている子供たちだから仕事も多く、お小遣いは自分で稼いでいるようだ。


 これが最近の流れで、今村はそれなりに安定した生活を送れていた。が、どうも馬鹿たちがいるらしいので今村に三男神から別件で依頼が入っていた。


「ん~…地獄が地獄絵図状態だ。」


 何を言っているのか分からないと思うが、今村は今、地獄に来ていた。そしてそこでは鬼や獄卒、それに妖魔や悪魔、化物たちの死骸が大量に転がっていたのだ。


「さってさて…」


 今回の依頼は地獄を支配すれば悪事をなしても問題なくなるという理由で地獄に攻め入った魔力持ちの人間どもの殺戮だ。

 三男神はハーレム要員たちに捕まっていて、更に言うのであれば地獄の救援とか言って逃げるつもりですか?と行けない状態になっているらしい。


 創造神アーラムも守護石を置いて今村を探しに別世界に行っているので助けに来ない、チャーンドは最近冥界の様子がおかしいとのことで出られなくなっている。

 天帝ヴァルゴは…個人的にも世界間的にも嫌いらしいので端から動くつもりがないとのことだ。


 その結果、今村が出向くことに決定した。


「のんびり行ってたら滅ぶかね?じゃ、急ぐか~」


 今村は今の本気で以て地獄城に向かって疾駆した。



















「おぉ…何かラスボス戦みたい。」


 今村が入った先ではすでに虐殺が行われており、執務室とおぼしき部屋で紅の竜がぼろぼろになって人間に囲まれていた。


「綺麗な鱗だなぁ…後で持って帰ろっと。」


 そう決めて何のてらいもなく囲みの一角に近付いて無造作にそこに居た男の首を切り落とした。


「何だぁ!?」

「新手か!」

「先にボロボロの方をやっちまえ!そいつは足止めをして後で総力で以てぶち殺す!」


 囲みの男たちがそう言って紅竜に猛攻をかけようとしたその時だった。その間に今村が入って歪んだ笑みを放つ。


「…『多重返しの復讐法ポリ・ハンムラビ』」


 その言葉の後、男たちは自分の攻撃に似た何かを喰らい、壊滅状態に落ち込む。その様子を見つつ今村はフム中々の出来だ。と考えた。


(一応発動できるようになってきたなぁ~…なら常時敵意と一定ダメージに対してオンにしておくか。今の俺はか弱い存在だし…)


 自分で言って苦笑する今村。後は残党狩りだったので「絶刀・絶牙」の二刀流で皆殺しにしていく。


「んっん~」

「そなた…何故妾を助けたのじゃ…?」

「ん?理由がいるの?特にない。」


 殺しの手を休めずに今村は後ろからの問いに答える。魂の回収も忘れない。そこでふと思った。


「あ~…そう言えばここに来る途中で死にまくってた人たちが居るなぁ…それ、これの中に入れるか。」


 魂の無くなった抜け殻で、比較的に肉体損傷が激しくないものにその辺を彷徨っていた魂をぶち込んでいく。

 その作業が済むと今村は紅竜を見ようとして、何故かそこにいる痴女みたいな恰好をしていた強大な戦闘力を誇る胸を持った美女を見た。


「…何じゃ?」

「…まぁいいか。とりあえず、お前の手下と言うか部下たちはしばらくしたら復活する。で、今回の戦闘の手柄みたいなものは全部あんたがやったことにしな。ついでに俺が足止めでもしてたと言えばいい。」

「…は?」


 今村の言葉にワインレッドの髪をした美女は驚きの声を漏らす。


「理由がいるだろ?すぐに助けられなかった理由。俺の所為にすればいい。で、俺の所には戦闘しに来させないように。問答無用でぶっ殺すから。」

「じゃ…じゃが、それでは主が恨まれる…」

「別にいいよ。」


 どうでもいいという事だ。だが、地獄の女帝はそう受け取らず自分の為に恨まれてもいいという風に捉えた。


「何故…妾をそこまで…一度は害そうとしたのじゃぞ…?」


 彼女は覚えていた。「呪刀」の反応が消えた時に今村に牙を剥こうとしたのを。だが、今村の方は覚えてなかった。基本どうでもいい上、命を狙われるのもざら、また最近よく色んなことをしていて忙しかったから。


「…そう…か。」

「うん。…それにしてもあんたアレだな。この執務室から見るに独りで抱え込みまくるタイプの王か。」


 今村は散乱している書類などを見ながらそう訊いた。すると彼女は頷いた。


「そか。じゃ、これからは俺に頼りな。」

「…え?」

「何人か人を派遣する。一人で抱えんでもいいぞ?」

「な…」


 今村の顔をだんだん直視できなくなってきた地獄の女帝―――サラ・ドラゴニカル・ヘヨルミ。何だかよく分からない感情が芽生え始める。


「それと…このままじゃ次何か来た時に困るだろ。俺が鍛えよう。」

「あ…はい。」


 このまま別れるのは何となく嫌だと思っていた矢先の次から定期的に会うという言葉、サラは内心の動きに自分でも戸惑っていた。


「それじゃ、また今度。」

「あの…名前を聞いてないのじゃが…」

「ん?今村。」

「し…下の、ファーストネームは…?」


 今村は何回かはぐらかすが、変に話さないのも逆に面倒なことになるか…と名前を教えた。


「仁だ。…この辺のことは全部創造神に内緒な?」

「…妾はサラ・ドラゴニカル・ヘヨルミ。さ…サラと呼んでくれ。仁。」

「…まぁいっか。じゃあなサラ。」


 それだけで胸が跳ねるサラさん。今村はそれに気付かずに去っていく。


(よっし。あいつらのリクルート先確保。ついでにあいつ等だったら祓を諦めてこっちに惚れるだろ。あの巨乳好き共は…まぁ、ぼんやりとしか見えなかったけど巨ってか爆って感じだった気もするが…まぁ、どっちにしろ人の恋路は蜜の味ってね!)


 こんなことを思いながら…




 ここまでありがとうございます!



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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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